息もつかせぬ行動力
弊社では自社で運営する大学受験専門の個別指導塾Withdomで得た知見を元に自立学習支援アプリ「tyotto me(チョット・ミー)」を開発しています。
今年の初めよりぜひ使いたいとのお声をいただいた法人様への提供も開始しました。代表新井の登壇するセミナー等で興味を持っていただいて問い合わせてくださる方、導入教室の方の紹介で問い合わせてくださる方を中心として導入教室が徐々に増えてきています。
最近お問い合わせいただいた法人様は、問い合わせから導入まで2日という超スピードでの導入となっており、その行動力と判断力に圧倒されました。
自社で学習塾を運営しつつ、BtoBでサービスを提供している立場から「時代の変化に対応できる学習塾の特徴」が徐々に見えてきたので、今回はそれらを3点にまとめてご紹介させていただきます。
特徴①:生徒、講師、保護者、スタッフの意見を吸い上げやすい環境ができている
一般的な学習塾の関係者と言えば、
- 生徒
- 講師
- 保護者
- 教室運営スタッフ
- 教室長
- 塾長(経営者)
になるかと思います。塾の規模感によってはエリアマネージャーがいたり、逆に教室長と塾長が同じ人だったりするかと思います。
生徒数が50人だとしても、これらの関係者で日常的に関わる人を数えるとあっという間に2倍程度にはなるのではないでしょうか。
つまり、それだけ多くの人の視点が一つの教育現場に集まっているということです。
様々な分野で活動してきた、様々な年齢の、様々な考え方を持つ人たちが数十人集まれば、そこには相当な広さの多様性が生まれます。
学習塾運営で何か課題が発生したとき、定石で言えば過去に起こったケースの中で成功したものを選択したり、経験者の意見を元にもっともらしい方法を取ったりするかと思います。
しかし、社会の変化が激しい今、発生している課題に対して同様のケースは存在しないことが当たり前になりつつあります。
- 大学の募集要項が変わって、求められる人物像が変わった
- 新しい学部ができた
- 定員が変わって去年なら合格していた偏差値で合格できなくなった
入試関連でもこういった変化が日常的に押し寄せてきます。
そういった前例のない状況で適切な判断を下し続けるために、多様な視点からの考え方は非常に有効です。
学習塾の運営者一人で全てを考えて方針立てていくのも良いですが、関係者の集合知を活かして今までにない「共創」の形を作り上げていけることも一つの成功する学習塾の特徴だと思います。
さて、関係者の考えをより効果的に、日常的に引き出していくために必要なのが、近年ビジネスの現場でも注目されている「心理的安全性」です。
心理的安全性とは、そのままの意味ですが、「自分の考えを発信することに対しての抵抗感」ということになります。
例えば、何か意見を思いついたときに、上司に相談しようとしても「そんなのできるわけない」「素人が口を挟むことじゃない」「自分の役割に集中して」などと言われたらどんどん発信しづらくなります。
関係者の中には業界での知識がまだ浅く、考え尽くされた分野に対して組織としてはかなり初歩のレベルに当たる発言をしてしまうかもしれません。
そのような環境で頑張って発信したことに対して否定的な態度を取られると、今後より良いアイデアが出せるように頑張ったり、また発信しようと思ったりできなくなってしまいます。
直近上がってくるアイデアが組織の上級者から見て初歩的な内容に見えたとしても、安易に否定せずしっかりと対話して認めていく姿勢を持っているとメンバーはどんどん主体的に考えて、発信してくれるようになります。
成功している学習塾では、やはり運営スタッフや講師を信頼して、意見を積極的に求めています。
学習塾では、講師は現役の大学生に行わせていることは珍しくありません。そんな学生講師に対しても、「学生だから」「アルバイトだから」という視点で意見を軽視するのではなく、一人の教育者として尊重して意見を求めていく、そんな教室がやはり成功しているように感じます。
特徴②:「ちょっと試してみよう」精神に溢れている
前項でご紹介した高い心理的安全性によって生徒や講師をはじめとする関係者から得られた意見を、凄まじいスピードで取り入れている教室は勢いがあります。
具体的にどんなことを「ちょっと試してみる」のかと言うと…
- 生徒から上がってきた教室のレイアウトの案を実際に試してみる
- 新しく出た参考書を試しに買ってみて、実際に内容を精査して使えそうかみてみる
- 学習管理系の無料アプリを一通りダウンロードして合うものがないか探してみる
- 指導後に生徒に取り組ませているリフレクションの質問項目を講師のアイデアを元に変更を重ねる
こういった内容的にも「ちょっと」したことです。
施策を試すと言うとお金をかけるイメージがあるかもしれませんが、規模感や費用は関係ありません。あくまで、関係者の直感的な改善案を最短で試せる方法をもって検証するということです。
前項で上げた心理的安全性にも関係してきますが、良かれと思って提案したアイデアをすぐに検証してもらえたらとても嬉しいですよね。
たとえそれが結果として採用されなくても、また提案したい、相談したいと思えます。相手を尊重し、承認することが組織の心理的安全性を高めることにつながるのです。
特徴③:塾の理想とする教育が常に発信され、関係者に行き渡っている
学習塾には「教育理念」として掲げられているものがあるかと思います。一般的には代表である塾長が主導して作っていくものだと思います。
この教育理念こそが、なんのためにその学習塾が存在しているのか、何を目指して日々指導にあたっているのかを見失わないための指針となります。
この教育理念という指針があるからこそ、関係者から意味のある意見が出てきます。
指針がないと、関係者から出てくる意見が良いものなのかそうでないのかを判断することはできません。意見を出そうにも、どの観点で「良い」と思う案を考えればいいのかがわからなければ意見の出しようがありません。
例えば、自分たちの学習塾がどうあるべきかが明確になっていない場合、「教室にゲームを置いたらみんなリフレッシュもできて楽しいだろう!」みたいな意見すら肯定も否定もできません。
この例だとまだそれは違うだろうという感覚を持つ人が多いかと思いますが、際どいラインの例を挙げるのは難しくありません。
- 学習塾のフリースペースで生徒同士が交流できる場所を作るべきか?
- 勉強中にお菓子を食べるのはOKか?
- 勉強中に音楽を聞くのはOKか?
- 生徒に質問されたらなんでも答えるべきか?答えないで考えさせるならどこまでリードすべきか?
これらの課題に対して答えを全て塾長の方で用意していたらキリがありません。全てのケースに対応することは不可能です。
となると、こういった「正解のない問い」に対して各自が自分たちなりの答えを導き出せるよう、その根本となる指針を提示していくことが必要です。
成功している教室では、塾長が日常的に想いを塾内外問わず発信し、それを受けて教室長もさらに自分の中で考えて深掘りして発信し、講師や生徒にもそれが伝播していくという形が出来上がっています。
知り合いの学習塾の塾長には、Twitterで匿名での質問を受け付けて、それに対して自身の経験を基本的な理念を踏まえて回答していくことを日常的に、それもかなりの量で行っている先生もおられます。
- 勉強はなんのためにやるのか?
- どうしたら望ましい成果を上げられるのか?
- どういう生徒が運営している塾に合っているのか?
理念をベースとしてこれらを瞬時に判断して発信していく姿勢は、私たち教育者が見習うべき姿勢だと思います。
まとめ
変化に対応できる学習塾の特徴を3つにまとめてご紹介しました。
- 理念に沿って考えられたアイデアを
- できる限り多くの関係者から吸い上げて
- 即断即決で検証できる
これが最強です。
そんな行動力溢れる素晴らしい学習塾の運営者の方々に選んでいただける教育サービスを提供し続けられるよう、私たちも日々精進していきたいと思います!