どうせやるなら日本一になりたい。その想いから豪華客船のサービスマンへ
―まずは齋田さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
齋田:新卒で外資系の航空会社に入社して、その後ブライダル業界に転職しました。ホテルや結婚式場でサービスマンとして働いていたのですが、初めて結婚式の現場を見た時に鳥肌が立ったのを今でも覚えています。結婚式を挙げるおふたりが入場してくる瞬間に、音楽に合わせて寸分の狂いもなく扉が開いて、照明が最高のタイミングで当たって……。
「サービスで、ここまで人を感動させられるんだ」と感動して、この仕事の奥深さの虜になりました。
それからしばらくは結婚式場で働いていましたが「どうせやるなら日本一になりたい」と思うようになり、豪華客船のサービスマンに興味を持つように。そして、四つ星、五つ星ホテルで何十年もキャリアを積んできたような、世界でもトップレベルのサービスマンたちと共に働くことが叶いました。
―すごい!豪華客船では、どんな日々を過ごしていたのでしょうか。
齋田:豪華客船での仕事は、毎日が刺激的でした。設備も、サービスも、お客さまも、これまでに経験してきたものとは全然違う。その分大変なことも多かったですが、「ここで経験を積めば、間違いなく日本、いや世界でもトップレベルのサービスマンになれる!」とワクワクしていました。将来はオランダかイギリスに渡って、執事になろうなんて思っていましたね。
ただ、船上での仕事はとにかく拘束時間が長い。一年の半分以上は海の上にいて、自宅に帰れないのはもちろん、連絡もまともにとれません。そのため、家族との時間のために、退職することに。
ただ、「家族のため」と言いながら本心では納得できていなかったから、当時はものすごく後悔しました。
売上のためだけじゃなく、もっと本質的なサービスの価値を追求したい
―「サービスマン一筋」でやってきたからこそ、途中で挑戦を断念したことを悔やんでいたのですね。そんな齋田さんが、CRAZYに転職しようと思ったのは、どんなきっかけがあったのでしょうか。
齋田:豪華客船を辞めたあと、再びブライダルの世界に戻ったんです。そこでは、サービスマンから始めて、マネージャーや開業担当、支配人まで経験させていただきました。最終的には複数の店舗を任せていただけるようになって、7年ほど働きました。
―順調にキャリアを積んでいたのですね。
齋田:はい。ただ、立場が変わったからこそ、見えてきた課題もあって。それまでの僕は、「いいものを作っていれば、お客さまにも、会社にも評価される」と信じていました。実際、僕が携わった式場の顧客満足度は、当時勤めていた会社の中ではトップクラスだったんですよ。同じ式場で働くメンバーも、「この式場は理想の職場です」と言ってくれていて、誇らしく思っていました。
でも、お客さまへの対応に時間をかけるあまり、生産性の面が追いつかなくなりました。理想と現実のバランスを取ることの難しさに、当時は頭を抱えましたね。
そんな時、心の支えになっていたのがCRAZYだったんです。
―心の支えになっていたのが実はCRAZYだった、とは?
齋田:SNSで流れてくるCRAZYの結婚式の動画を見たり、ユニークな社内制度を知って、感動したんですよ。なんて本質的なことに向き合っている会社なんだろうって。自分が、理想と現実のギャップに悩んでいたからこそ、眩しく映りました。SNSやニュースでCRAZYの話題を見かけるたびに、「違う場所で頑張る同志」だと思って、励まされていましたね。
―そこから、どんな経緯でCRAZYに入社することになったのでしょうか。
齋田:「このまま死ぬのかも」と思うくらい、体調を崩した時があったんです。そのときに、強烈に後悔の念が込み上げてきて。僕は、人生をかけて何か残せたものはあるのだろうか。もっとサービスを突き詰めたかった。売上のためだけじゃなく、もっと本質的な価値を追求したかった。死ぬかもしれないって時に、真っ先に思い浮かんだのがそれだったんですよね。
そしたら、体調が回復したあとに、知人から「CRAZYでサービス部門を立ち上げることになったけど、興味はないか」と連絡が来たんです。
入社プロセスで深く関わった吉田と
「人と人として関わる」 だからこそサービスマンと呼称することを辞めた
―実際にCRAZYに入社してみて、「本質的な価値」を追求しているなと実感したのはどんなところですか。
齋田:一番驚いたのは、サービスに対する考え方ですかね。これまで僕は、ずっと「プロフェッショナルなサービスマン」として働いてきました。正しい所作、完璧なタイミング、丁寧な言葉遣い。それが良いサービスだと思っていましたし、仕事中は「サービスマンの仮面」をまとうのが正しい、と思っていました。
でもCRAZYでは違ったんです。もちろんプロとしての技術は大切ですが、それ以上に「一人の人間として」お客さまと向き合うことを大切にしていた。それが本当に「本質的」だなと。人と人とが向き合うことの価値を、改めて考えさせられました。
そこで、「サービスマンとお客さま」という関係性を超えたいという意味を込めて、自分たちのことを空間そのもののディレクションを行う役目として「ディレクター」と表現することにしたのです。
―印象的なエピソードはありますか。
齋田:CRAZYでは、お世話になっている皆さまを招待する周年イベントを行っているのですが、以前担当した結婚式の参列ゲストが一緒に来てくださったことがありました。結婚式を挙げたおふたりではなくて、参列されたゲストが、ですよ。まさに、「人と人」としてお客さまと接しているから起こった出来事だと思っています。
お客さまをはじめ、CRAZYとご縁が深い方々をお招きしたCRAZY12周年イベント
―そんなCRAZYが、新しい店舗をオープンすることを発表しました。
齋田:はい。横浜で、これまでにない新しいレストラン、そしてレストランウェディングをスタートします。僕はそのGeneral Manager(支配人)を務めることになりました。
―どんなコンセプトの店舗になる予定でしょうか。
齋田:「Immersive Table」というコンセプトで、食事に没入する体験を提供します。これまでの結婚式って、食事をしながら挨拶聞いたり、余興見たりして、おふたりが食事にこだわったとしても、ゲストは食事を味わえない構造になっていました。
CRAZY GRANDE MAISONでは、食事の時間はしっかり食事に集中いただけるように、食事がパーティーの進行の一つとしています。ゲスト全員が同じ料理を一斉に食べてその感動を分かち合う。その一体感が記憶に残ると考えています。
―その新しいスタイルの場所での、ディレクターの役割を教えてください。
齋田:今回、パーティー会場は全席カウンターテーブルになっています。業界としては初の取り組みです。ディレクターは、その中央に立って、各テーブルの専属ディレクターとして場をディレクションしていきます。
だから、目の前のゲストに集中できるし、おふたりやゲストと「人と人」としてより深く関わることができるんです。
―この場を通じて、結婚式をあげるおふたりやゲストに、ディレクターとしてどんな体験を提供したいと考えていますか?
齋田:僕たちが目指しているのはCRAZY GRANDE MAISONでの食事を通じて、お客さまが少しずつ心を開いていく体験です。
例えば、一般的な結婚式だったら「今日のおふたりは綺麗だったね」「食事もおいしかったね」と感想を持つゲストが多いと思います。でも僕らが目指すのは、その先にあります。
「ゆっくり味わって食べたのって久しぶりだったけど、大事なことなんだって思い出した」とか「みんなでおいしいもの食べて、それを共有し合えるって、こんなに幸せなことなんだね」とか、そんな感想を持っていただけると嬉しいですね。そこから、「明日からまた頑張れそう」とか「家に帰って、家族に“いつもありがとう”って伝えよう」と思っていただけると、さらに嬉しい。
料理を通じておふたりやゲストの心を開き、感謝の気持ちを呼び覚ます。それは、人生を少し前に進めるための「勇気」になる。それが、新店舗がお客さまに提供できる価値だと思っています。
そして、それを提供できるかどうかは、僕たちディレクターの腕にかかっているんです。
10日間でも、本気で人生と向き合えば前に進める
―この体験を届けていく上で、大事にしたいことは何ですか?
齋田:僕は、自分の人生を自分の力で前に進められている人じゃないと、本当の意味でお客さまに向き合ったサービスは提供できないと思っています。
僕たちディレクターは、当日おふたりやゲストの一番近くにいる存在です。そこで、人生を少し前に進めるための、勇気を提供していくのが僕たちの役割だとお話しました。
例えば、「両親と長年口を聞いていない。でも、結婚式を機に昔みたいに笑って話せるようになりたい」と思っている新郎さまがいらっしゃったら。当日「この後、親御さまと話すタイミングがあります。一言で良いので、本心を伝えてみませんか?」と新郎さまの背中を押すのは、一番近くにいる僕たちの役目です。そのとき、自分自身の人生を前に進められていない人が、「勇気を出して人生を前に進めましょう!」と人に言っても、説得力がないですよね。
それを実現するために、今年の5月から、チーム全員が順番に10日間の有給を取る取り組みを始めました。
ディレクターチームメンバーと
―どんな効果がありましたか?
齋田:例えば僕は、ずっと自分でお茶の生産や販売をしてみたいと思っていて。その第一歩として、10日間の休みを利用して、九州の憧れのお茶畑にお伺いしたんです。
でも最初にお邪魔した時は、「今が一番忙しい時期なんですよ。。」と少し戸惑ったような表情で迎えられて。それでも、何日も通って、自分にできるお手伝いをしながら理想のお茶の話をしていたら、最終的にはその想いに共感していただき、希少なお茶の葉を分けていただけることになりました。
さらに、直接生産者と会って、想いを聞いた上で仕入れをする姿勢を評価してくださったらしく、憧れのお茶の葉を継続的に取引させていただけることまで決まりました。
これまで何度も「お茶づくりをしたい」と思っていましたが、仕事が忙しいことを理由に、60歳ぐらいに始められたらいいかと、チャレンジしてこなかった。でも、この休みをきっかけに、この夏、オーガニックティーブランドを立ち上げることができました。
今回チャレンジできたことで、人生がぐっと前に進んだような気がしました。
齋田の立ち上げた Organic Tea Brand「FUEKI RYUKO | 不易流行」
―すごい...!まさに、自分の人生が前に進んだ休みだったのですね。
齋田:他のメンバーの例も紹介させてください。あるメンバーは実家に帰って、親御さまに「俺はこの家に生まれてめちゃくちゃ幸せだった」って伝えてきたそうです。
彼は日常でなかなか勇気を出せないタイプだったんですけど、その出来事をきっかけに変わりましたね。とにかく、お客さまとの向き合い方が変わった。もっと踏み込んで、本音で話せるようになったな、と僕から見ても思います。
AIやロボットが活躍する今だからこそ、人間にしかできないサービスがある
―横浜でGeneral Managerをやることへの思いを聞かせてください。
齋田:実は横浜って、僕が日本一のサービスを目指して、前職でサービスマンとしてのリーダー研修をスタートした場所なんです。そして、豪華客船への夢を叶えるきっかけになった場所でもある。
でも同時に、家族との時間のために豪華客船を辞めた、ある意味で夢が終わった場所でもあったんです。
今度は、CRAZYで学んだ「人と人として向き合う」という価値観を持って、この場所でもう一度挑戦できる。それが本当に嬉しいですね。
―最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
齋田:AIやロボットがどんどん進化していく時代だからこそ、僕たちにしかできないサービスがある。それは、自分の人生経験を活かした、目の前の人に一人の人間として関わる接客です。
僕自身、以前は「もっとサービスを突き詰めたかった。売上のためだけじゃなく、もっと本質的な価値を追求したかった」という思いを抱えながら働いていました。死ぬかもしれないって時に、真っ先に思い浮かんだのがそれだったんです。
今の環境で十分に力や想いを発揮できていないと感じている人が、きっといると思います。でもCRAZYには「自由」があります。やりたいことは、自由にチャレンジしてほしい。それには、もちろん責任とリスクが伴います。でも、だからこそ面白いんです。新しいものを創っていくのは大変ですが、それ以上に得るものが多いと思います。
自分らしく働きながら、お客さまに最高の体験を提供する。その先にある、まだ誰も見たことのない景色を、一緒に見に行きませんか。