UUUMマーケティング執行役員・宮﨑航(わたる)が、社内で働く人々にフォーカスし、挑戦や仕事の舞台裏をお届けする「ミヤザキワタルコラム」。
インフルエンサー施策の成功には、インフルエンサーとそのファンダムへの深い理解や的確なアサインを実現する強力なキャスティングネットワークも大切ですが、
アクシデントなく施策を無事に着地させるために必要不可欠な存在があります。
それが、制作進行を担う「ディレクションチーム」です。
数々のYouTubeプロモーションやSNSタイアップ投稿において、クライアントとクリエイター(インフルエンサー)の間に入り熱量をシナジーさせていくディレクションチームは、まさにインフルエンサー施策の舵取り役。
このインタビューでは、彼らが実践する見えないリスクを潰す泥臭い準備から、クリエイターとファンの強いエンゲージメントを広告主のビジネス成果に結びつけるためのマーケター必見のちょっとしたコツまで、最前線のリアルな声をお届けします。
左:宮﨑 航(UUUMマーケティング株式会社 執行役員)
中央:久保田 健介(UUUMマーケティング株式会社 ディレクショングループ)
右:阿部 美咲(UUUMマーケティング株式会社 ディレクショングループ チームリーダー)
目次
- インフルエンサー施策の成功に不可欠な「舵取り役」。その役割とは
- アクシデントを防ぎ、ブランドを理解する。泥臭い事前準備と先回り
- ニーズと「らしさ」をシナジーさせる、プロの翻訳力
- ブランドの信頼を守り抜く。法規制とコンプライアンスへの向き合い方
- イレギュラーを乗り越える「柔軟性」と「対話力」
- 明日から使える、インフルエンサー施策を成功に導く「進行のコツ」
- ディレクションという仕事の「やりがい」と喜び
インフルエンサー施策の成功に不可欠な「舵取り役」。その役割とは
──宮﨑:今日は、UUUMマーケティングのディレクションチーム(以下、DC)といえばこの2人!ということで、阿部さんと久保田さんに来てもらいました。まずは自己紹介をお願いします。
阿部:DCでチームリーダーをしています、入社8年目の阿部です!プライベートではアイドルオタクで、3つのファンクラブを掛け持ちしています。年末に向けてまたライブが続くので、しっかり稼がないと!と思って日々頑張っています(笑)。
久保田:久保田です。入社4年目で、1年目は営業を経験し、2年目からDCに異動しました。ヒップホップなどの音楽カルチャーや、海外のサッカーを見るのが好きです。今日はよろしくお願いします!
──宮﨑:ありがとう!さっそくですが、クリエイターとのタイアップコンテンツにおける「ディレクション(制作進行)」って、ただのスケジュール管理くらいに思われがちだけど、実はぜんぜん違うよね。まずは、ふたりが考える「DCの役割」を教えてもらえますか。
阿部:はい。DCは、営業が案件を受注してから納品するまでの「すべて」を担うポジションです。構成案や動画のやり取りはもちろん、外ロケの際のロケハンや動線確認、撮影許諾の取得、さらにはノベルティ制作や広告配信の進行まで、プロジェクト全体を俯瞰して管理します。営業がクライアント様に、バディ(マネージャー)がクリエイターに寄り添う中で、私たちはプロジェクト全体がスケジュール通りに、かつ最高のクオリティで着地できるようにコントロールする「舵取り役」だと思っています。
久保田:YouTubeプロモーションはじめとするタイアップコンテンツの制作進行においては、「オリエンシート」と「構成案」という2つのフォーマットが軸になります。「オリエンシート」は、クライアント様のニーズや訴求したいメッセージを落とし込むもの。それを受けて、クリエイターが「どんな動画コンテンツにするか」を文字ベースで表現し、事前のイメージすり合わせに使うのが「構成案」です。僕たちはこの2つをベースにしながら、クライアント様の想いとクリエイターのアイデアを現場でどう両立させるかを日々考えています。
アクシデントを防ぎ、ブランドを理解する。泥臭い事前準備と先回り
──宮﨑:クリエイターとのタイアップコンテンツは、クリエイターのこだわりや「らしさ」があるからこそ、ファンとの深いエンゲージメントを生み出します。一方で、そこにクライアント様のブランドメッセージを載せていくのは想像以上に難易度が高く、ともすれば進行上のトラブル、いわゆる“アクシデント”に繋がりやすい側面もありますよね。これをどうやって防いでいるんでしょうか。
阿部:まず一番大事なのは、ご相談をいただけた初期段階で、営業から「なぜUUUMマーケティングを選んでいただけたのか」「なぜこのタイミングで、このクリエイターを起用したいのか」というクライアント様の熱量や意図をしっかり引き継いでもらうこと。ここを把握していないと、調整の方向性がズレて後々のトラブルになってしまいます。
久保田:そうした進行上のトラブルを防ぐための事前準備で言えば、 例えば「エンタメ菓子(組み立てて遊ぶお菓子)」を担当した時のことです。僕らが商材の魅力や仕様を知らないと、クリエイターから構成案が上がってきた時に、それが現実的に可能なのか判断できません。だから、事前にチームメンバーで実際に商材を触って、限界まで遊んであれこれと試してみるんです。そうすることで「構成案にはこう書いてあるけど、現実的にはここまでしかできないから、こういう見せ方にしよう」と、同じ目線で先回りした軌道修正ができるようになります。
▼動画リンク
https://www.youtube.com/watch?v=BkuQxto-MKA
宮﨑:そう言えばオフィスで、みんなで遊んでいたけど、それがあの確実な進行に繋がっていたんだね。
ニーズと「らしさ」をシナジーさせる、プロの翻訳力
──宮﨑:クライアントの伝えたい「ブランドメッセージ」と、クリエイターの「らしさ」がぶつかったときは、どう向き合っていますか?
阿部:実際のところ、ほぼ毎回と言っていいくらいにぶつかりますね(笑)。と言っても、それは決して悪い意味ではなく、双方に熱い想いやこだわりがあるからなので、むしろそうあるべきだと感じています。この場面で私が大事にしているのは「中立の立場に立ち、双方に共感する」ということで、まずはオリエンシートや構成案に書かれている「事実」を客観的に確認します。その上で、「ここは絶対に守るべきブランドメッセージだ」「ここはクリエイターのパワーが活きる部分だ」と、双方が心から納得し、ポジティブな熱量で制作に向かえるよう、最適な形へと翻訳していくんです。
久保田:僕自身、元々営業現場で苦労した経験があるからこそ、施策実施をご決定いただくことの難しさを十分に理解していますし、だからこそ営業メンバー皆さんへのリスペクトはもちろん、クライアント様のプロモーション効果を最大化したいという気持ちは人一倍強く持っています。ある遊技機関連会社様のYouTubeプロモーションでは、クリエイターから「部屋をパチンコ玉で埋め尽くしたい!」「オリジナルのパチンコ筐体を作りたい!」という熱量の高いアイデアが出ました。でも、公開日までの準備期間や物理的な問題で、すべてをそのまま実現するのは不可能でした。
宮﨑:そういう時、ただ「無理です」と伝えるとクリエイターの熱量が下がってしまうよね。
久保田:そうなんです。クリエイターの熱量を活かすことが、結果的にファンに深く刺さり、クライアント様のビジネス成果の最大化に直結する。だからこそ、バディと協議を重ねて「部屋を小さいサイズに区切ってパチンコ玉で埋めるのはどうか」「筐体をゼロから作るのではなく、過去の動画素材を使って筐体の液晶部分をコラボ仕様に差し替えるのはどうか」と言った代替案を導き出しました。ただ不可能なものを切り捨てるのではなく、現実的なビジネスの枠組みの中でいかにエンタメとして昇華させるか、双方にとっての最適解を導き出せた良い事例だったと思っています。
ブランドの信頼を守り抜く。法規制とコンプライアンスへの向き合い方
──宮﨑:最近はステマ(ステルスマーケティング)規制や景品表示法、薬機法などのルールも非常に厳しくなっています。こうした制約の中で、クリエイタータイアップの魅力やコンプライアンスをどう担保しているのでしょうか。
阿部:法律やガイドラインを守るのは絶対ですが、薬機法において「この言葉はNGなので規定の文言を読んでください」とルールでガチガチにしてしまうと、すべてのクリエイターが同じような表現を用いてしまい、結果的に「言わされている感(=広告っぽさ)」をファンに感じさせてしまいます。DCがやるべきは、関連法規をしっかり理解した上で、ルールの範囲内でいかにクリエイターの言葉として自然に馴染む魅力的な表現を導き出せるかを探り当てることです。
宮﨑:非常に高度な調整ですよね。
阿部:はい。ただ、チームには、国内トップクラスのタイアップ実績を通じて蓄積された「NG表現をどう言い換えれば、クリエイターの言葉として自然で、かつ魅力的に伝わるか」という膨大な知見がナレッジとして資産化されています。これを活かして、ルールを厳守しながらもプロモーション効果を最大化する表現を提案できるのが私たちの強みです。
──宮﨑:ステマ規制についてはいかがですか?
阿部:ステマに関しても、単に「ルールだからダメ」と一律に制限するのではなく、本質的に「ファンを欺いていないか」を基準に向き合っています。例えば、タイアップをきっかけにクリエイターが商材を心から気に入り、契約外でも自主的に紹介したいと言ってくれたような場合。せっかくの熱量を無駄にせず、かつステマと誤認されてクライアント様やクリエイターが批判されるリスクを完全に防ぐため、適切な情報開示のあり方を提案します。両者の信頼関係を守りつつ、ポジティブな熱量を正しく世の中に届けるためのコントロールも、私たちの重要な役割ですね。
イレギュラーを乗り越える「柔軟性」と「対話力」
──宮﨑:進行の途中で予期せぬ事態が起きたときの「柔軟性」についても聞かせてください。
久保田:あるタイアップで、「構成案の監修が終わっていないのに、撮影日が目前に迫っている」という状況に陥りました。その時は営業と連携して、「監修が必要なブランド訴求パートの撮影を一旦別日に回し、先にエンタメパートだけを撮影する」ように撮影スケジュールを組み換え、クライアント様に提案しました。これによって監修のための時間稼ぎをしつつ、動画の面白さとブランドメッセージ訴求の両立、そして遅れが許されない期日を確実に守り切ることができました。
阿部:長期契約で複数本の動画を公開していくタイアップ(クライアント様が立ち上げたYouTubeチャンネルへのゲスト出演)も印象的でした。この時は外部事務所所属の芸人さんをキャスティングしたのですが、番組のコンセプトに対して「もっとこうするべきだ」と非常に強い熱量とこだわりを持ってくださったんです。ただ、関係者が多いプロジェクトだったので、その熱意をどう現場に落とし込むか、調整に工夫が必要でした。
宮﨑:クリエイタータイアップって、クライアント様、代理店、制作会社、事務所と関わる人が多くて伝言ゲームになりがちだから、直接対話して意志疎通を図るって得てして難しいんだよね。
阿部:そうなんです。だからこそ、伝言ゲームを避けて通常の進行フローを飛び越え、クライアント様、演者様、制作会社を交えた4者ミーティングをセッティングしました。直接腹を割って話し合った結果、クライアント様も「演者さんの熱意を重視したい」という本音を持っていることが分かり、そこからは方向性がピタッと合い、毎回連続する撮影現場で高いクオリティを保ったままスムーズに進行できるようになりました。
明日から使える、インフルエンサー施策を成功に導く「進行のコツ」
──宮﨑:素晴らしいですね。では、インフルエンサー施策を成功に導くための皆さんの「心がけ」や「コツ」は何でしょうか?今日から参考にできるヒントをぜひ教えてください。
阿部:私の心がけは、「絶対にブレてはいけないベースの死守」と「クリエイターの個性が活きる余白の設計」です。オリエンシートや構成案で関係者の認識を揃えるという土台は確実に守りつつ、現場でのクリエイターのアドリブやノリを許容する余白を残しておく。すべてをガチガチにコントロールしようとせず、自由に遊べる状況を作ってあげることこそが、クリエイターならではのパワーを引き出す秘訣だと思っています。
久保田:僕が意識しているのは、「事実と意見を分けて、客観的に事象を見る」ことです。例えば、クライアント様から「この表現を必ず入れてほしい」という強いご要望(意見)をいただいたとします。しかし、過去の類似動画の傾向やファンの反応といったデータ(事実)と照らし合わせると、それをそのまま動画に詰め込んだ場合、不自然になってコメント欄が荒れてしまうリスクがある。それは結果的にクライアント様のブランドを傷つけることになります。だからこそ、クライアント様の意見をただ否定するのではなく、「このクリエイターのファン層という事実に基づくなら、こういう表現のほうがより効果的に刺さります」と客観的な根拠を添えた選択肢を用意し、リスクを回避しながら最適なクリエイティブを創り上げるようにしています。
ディレクションという仕事の「やりがい」と喜び
──宮﨑:最後に、このディレクションという仕事で、個人的に一番嬉しかったエピソードを聞かせてください。
久保田:僕は、撮影現場でクリエイターさんがめちゃくちゃ満足してくれている姿を見た時や、難易度が高くて調整が大変だったプロモーションを無事に着地させられた時に、大きなやりがいを感じます。
阿部:私たちDCはあくまで“裏方”に徹していますが、プロジェクトが終わった後にクライアント様から「阿部さんのおかげで今回はスムーズにいきました」と名前を覚えてもらえていたり、後日お会いしたクリエイターさんから「先日はありがとうございました」と言っていただけたりすると、本当に嬉しいですね。立場上、プロジェクトの主役にはならないのですが、それでも、自分の役割を評価してもらえるのはやっぱりすごくうれしいです。あるトップクリエイターが関わる案件で、撮影のあとにタイアップとは関係なくご自身のSNSで「今日の撮影めっちゃ楽しかった、動画公開がたのしみ!」って自然に投稿してくれたことがあったんです。その時は本当にうれしかったですね。現場が良い雰囲気でたのしく回せることが、結果的に良いものづくりに繋がるんだなと強く実感しました。
宮﨑:なるほど、現場のポジティブな空気づくりもディレクションの重要な仕事なんだね。今日は、いつもは裏方に徹しているけれど、プロモーションの成否を分けるディレクションチームの熱い想いとプロフェッショナルな姿勢がすごく伝わってきました。阿部さん、久保田さん、今日は本当にありがとう!
【ミヤザキワタルの視点】
インフルエンサー施策の本質は、クリエイターとファンの間に築かれた深い信頼関係にあります。だからこそ、届けるメッセージは熱を持って届くのです。一方で、「ファンに響くか」「意図がずれないか」「スケジュールは維持できるか」といった不安が生じるのも当然のことです。けれど、クリエイターの感性とブランドの想いが「ピタッとハマった」瞬間、想像を超えるスピードとクオリティで最高のコンテンツが生まれます。これこそが、この施策の真骨頂です。私たちが目指すのは、その「ハマる瞬間」を偶然ではなく確実に生み出すこと。リスクを先回りして安全にプロジェクトを導く「強力な伴走者」となることです。泥臭く徹底した現場のリスク管理と、双方に寄り添う推進力。このチームワークがあるからこそ、私たちは数多くのクリエイタータイアップを形にしてこられました。
確実な成果と安全性を両立するインフルエンサー施策なら、ぜひUUUMマーケティングにお任せください。
次回のコラムもお楽しみに!
■ワンストップでの施策提案・実行支援
UUUMマーケティングでは、インフルエンサーを起用した施策はもちろんのこと、クリエイティブ制作や戦略立案から、緻密な進行管理までワンストップで伴走いたします。「自社商材に合う新しい見せ方を提案してほしい」「まずは安全な進行体制について知りたい」といった段階でも、ぜひお気軽にご相談くださいませ。