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薬学部阪大院生がR&Dの道を捨てて、アーリーベンチャーに入社した2つの選択軸

大阪大学薬学部大学院からベンチャー就職を選択
数多の大手企業の研究職への推薦入社が担保される中、
敢えて一般就職を選び、ベンチャー就職を選んだ背景には何があったのか?


ー 阪大薬学部に入ろうと思ったきっかけはなんですか?

一番のきっかけは漫画のドラゴン桜を読んだ影響です。

元々、剣道を小学校3年から10年間続けて、休めるのはテスト前くらい、平均年間約320日を剣道に捧げてきました。夏の大会が終わり引退した後、全く進学のことを考えられてなかったのですが、漫画ドラゴン桜に出会います。

偏差値30から東大に合格している姿を見て、自分も行けるなと、妙な自信をもらって東大に合格するという目標が出来ます。

高校3年夏からセンター試験まで約4ヶ月、偏差値約50からのスタートでしたが、寝る時間以外は全て勉強時間に投下し、トイレ、風呂、食事時間も勉強できるように整えてきました。結果的に、東京大学の合格点には一歩届かず、大阪大学の薬学部を選びます。

選んだ理由は、正直なところ当時は将来のことを深く考えられておらず、身内に医療関係に従事している人が多くて、職種として将来安定出来るだろうと、医学部と薬学部に絞っていました。医学部入学となると当時の私の偏差値だと私立がほとんど。

絶対医者になりたいという訳でも特には無かったので、国公立の中から偏差値が高い順に選んだ結果、大阪大学薬学部へ進学することになりした。


寝る時間以外の全てを費やして、穴が空くほど読み込んだ参考書


ー どんな大学生活を過ごしてきましたか?

麻雀と研究に没頭していました。高校時代スポーツ一本でやってきたのと、福井から大阪に出てきたということもあり、1~3回生は学生時代にしか出来ないことをやろうと、めいいっぱい遊んできました。

麻雀にハマりました。相手の癖や間合いを読むという点で頭の使い方が剣道と通ずる部分があり、強く惹きつけられましたね。また、どんなに手牌が悪くても、その中での勝率を最大化する為には、頭を酷使し、もがき続ける感覚が病み付きになって、気付いたら、大会で優勝したりもしてました。(笑)麻雀にハマった方だとある程度みんな経験した事があるかと思いますが、長い時には36時間くらいは通しで打っていましたね。

4回生からは遊びを絶って、研究室に泊まり込んだ生活に一転します。このあたりから自分が学んでいることに少し違和感を感じ始めるのですが、将来、安定の研究職が保証されていることと、周りのほとんどが大学院に進むので、当然のように大学院に進むという選択をしました。

大学院に進学後は、学部生時代以上に研究に時間を投下してきました。日々ルーティンな毎日を過ごす中で、将来について本気で考えるようになり、自分がやりたいこと、やるべきことと、創薬分野のズレを感じてきました。

無人島で三日間、自給自足生活を友人達と共に


ー 大学院で研究に没頭する中で、将来キャリアにどのような違和感を感じましたか?

大学入学当初から安定就職志望と安易に選んでしまったことがそもそもの間違いだと思っているのですが、研究に没頭していく中で、自分が思い描いているキャリアとのズレは徐々に大きくなってきました。

理由は三点あります。

一つ目は一つの成果が実るまでのスパンが非常に長い点です。完成したとして、効果が世に出るまでにすごく時間がかかります。元々分かっていたことではあるのですが、学部生時代から院時代の約2年間をとにかく研究に没頭し続けて、自分が実現できたことって何なんだろうって考えた時に、自信を持って話せる成果はありませんでした。

一般的に、創薬分野は、発見から実際に市場に出るまでに約10年かかります。3回生の頃、海外旅行も兼ねてインドネシアのボランティア活動に参加しました。その際、発展途上国の子供達の生活を目の当たりにして衝撃が走ります。

日本では病院に行けば直ぐに治るようなインフルエンザや結核といった病気でも、薬が無いが故に生死に関わる状態に陥っている。飢餓に苦しんでいる子供達まで居る。

一度しか無い自分の人生をそんな社会に何かしら貢献したい、自分が出来ることで救える人達を一人でも増やしていきたい、そんな生き方がしたいなって気持ちが芽生えてきて、だからこそ創薬分野への想いが強くなったきっかけだったんですけど、研究職に没頭する中でいつも疑問に感じていたのはそもそも世に出るまでに10年もかかっているとあの子供達は助からないのでは?と人生の時間対効果にスピード感が遅いと感じるようになってきました。

二つ目は成果に対する当たり外れが激しすぎ、結果的に模倣に偏るという点です。薬が世に出る可能性は3万分の1と言われてます。10年を費やして、新しい価値が生み出せるか生み出せないかの世界。

社会課題を解決しようと、自分の人生の大半を費やして、仮に生み出せたとしても、実は世界のどこかで、他の企業で、既にほぼ同様の薬は生み出されているかもしれません。が故に、どこの企業でも過去からの流れの類似品を開発することが多く、本当の意味で社会から全くもって新しい価値が生み出せるのかと言うと、そういったチャンスは極めて少ない。

ビジネスとしては正しいかも知れないけど、どれだけ自分が人生を掛けて情熱を注いで開発をしたとしても、企業からはある一定認められたとしても、社会から本質的に認められているのかというと分からなくなる。現実を聞けば聞く程、どこかもどかしさを感じるようになりました。

三つ目は、資本優位な業界であり、属人的な個性が発揮しにくい点です。これはどこの業界も同じかもしれませんが、初期投資が命の研究職は特に顕著だと感じます。研究開発が成功するかどうかは、投下出来る研究費用に大きく影響を受けます。故に、大規模資本を有している企業が有利になりやすい構図になっています。

研究資本が充実している大企業では、研究設備や研究員数が担保されていて、仕組みも整えられているので、新しい開発は成功しやすし、ただし言い換えればそれは誰かが当たればそれでいい、自分でなければならないという理由が薄くなるということになります。

逆に小規模な中小企業では大手企業ほどの開発予算は取れないですが、個人の役割は大きくなります。ただ、資本力に影響を受けるということは、どれだけ優秀な研究員の人達が集まって、情熱を持って新薬を生み出せそうだとしても、予算が足りないが故に、志半ばにして研究を断念しなければならないかもしれない。自分一人の力では解決が出来ない、外的要因に左右されすぎると感じました。

大学院生活が1年を過ぎたあたりから、今までのように流されたままではいけない。自分がやるべきことは何なのかを探す為に、就職活動を決意します。

研究に没頭する大学院時代
研究職から一転、覚悟を決めて事業会社への就職を考える。


ー 就職活動ではどのような企業を見てきましたか?

最初は銀行や総合商社を中心に、業界は絞らずにまんべんなく色んな企業を見ていました。ただ正直に言うと、説明会に行って、社員の方々とお会いすればするほど、どの業界にもそこまで興味が持てなくなってきました。

どの会社も成果が残せるようになるには時間がかかるし、大手資本主義も特に変わらないし、自分がやらねばならない理由がみつからない。創薬業界と同じだと感じました。

お会いして頂いた社会人の方々に対して凄く失礼な意見だとは思うのですが、そういった正直な気持ちをストレートに相談する中では、「まず働いてから言ってもらってもイイ?」と、凄く真っ当なご指導を頂いたこともあります。

ただどうしても何か心にグッと来るものがみつからず、自分の決意が固まらないまま進んでしまうと、大学院を選んだ時と同じ過ちになると思い、ミスマッチは出来る限り最小化したかった。

そんな中で、私が就職活動の選社軸にしたのは下記の二点です。一つ目は、将来のジョブ選択が出来るキャリアチャンスがある環境です。

学生生活で私がやってきたことと言えば、部活に麻雀に研究。学生という枠組みの中で世界が完結していました。自分がやりたい仕事って何なのか?どんな仕事に適正があるのか?本音の答えが見えませんでした。これだけ変化が早い世の中で、この先の社会人40〜50年続いている企業なんてわからない。大学院に進み研究職としてのキャリアへの危うさを感じてきたからこそ、スペシャリストになるよりも、どんな業界でも活躍出来るゼネラリストなキャリアを選択したいと考えるようになりました。

就職活動の中で、たくさんの社会人の方々から自分探しの為の就職は自分本位だと怒られることもありましたが、

働くなら自分自身納得感を持って、本気で覚悟を決めて働きたい。

その本音は、社会で活躍する為の幅広い経験を積ませてくれる、将来自分のやるべき軸が定まった時には、どんな環境にでも順応出来る、まずは市場価値の高い社会人を目指せる環境をファーストキャリアでは最優先にしてきました。

単身研究室から飛び出して、知り合った就活仲間


二つ目は、情熱を持って仕事に没頭出来る環境です。

過去の選択の是非はありますが、これまで自分は何かを成す時は常に目的意識を持って過ごしてきました。

・剣道時代は、個人全国大会出場、団体全国ベストを目指す。

・受験時代は、医学部薬学部に入学する。

・研究時代は、社会の役に立つ薬が作りたい。

いつも目的が定まれば、全ての時間を捨てて邁進してきました。同じ働く環境を求めるならば、仕事以外の全てを捨てて、本音で働ける環境を探していました。

二つの軸に合致した企業は、ほとんどがベンチャー企業でした。早くから裁量権を任せてもらえてマネジメントレイヤーに上がりやすく、部署間の異動も比較的流動性を持たせてもらいやすく、キャリアの縦も横も幅が広い環境。自分自身で早くから組織を作る経験を積み上げられる、自分の価値が発揮しやすい。ある意味、未完成だからこ一緒に組織をつくっていける。そう思い、ベンチャー企業に絞るようになりました。

「目的が出来たら、全ての時間を投資する。そこまでやっても本質は本当に微かにしか視えません。だからこそ、没頭し切れる環境でないと意味がないと思いました。」


ー Visionaryへの入社を選んだのは何故ですか?

二つの選社軸が最もマッチしたのがVisionaryだからです。

ただ、一つ目の選社軸では他のベンチャー企業とそこまで大きく相違があるとは思いませんでした。より多くの人に影響を与えられる社会人になる、いち早く組織を動かせる人になる為に、自分が最優先で経験しないといけないのはマネジメントだと考えていました。マネジメント経験はどのベンチャー企業でも、結果一つで裁量を任せてもらえそうでしたし、学べるイメージが湧きました。

縦のキャリアイメージは湧いたのですが、Visionaryで感じたのはキャリアの横の広さです。新規事業を理念として最も大事にしている会社なので、事業領域の幅が広いです。会社の成長速度にも比例している話だと思いますが、新規事業が生まれ続けるということは業界専門性の幅も広く、マーケティング、商品開発、システム構築等、具体的なやれる業務の横幅自体も広くなります。

選考中の面談の中で、営業マネージャーの方とお話を中で、業務効率を高めるプログラミングの話をした際に、「それイイ!つくってしまおう!」と入社前から仕事を任せてもらえる、一緒に仕事をするようなご意見も頂きました。このスピード感なら、自分に一早く多くの役割を任せてもらえ、縦にも横にもキャリアが積めそうだと感じました。

ただ特にマッチングを感じたのは、二つ目の軸です。

ベンチャー企業はピンきりで良い企業の探し方がいまいちわからなかったので、就活人気ベンチャーランキングなどを見ながら、一般的な有名ベンチャー企業を見てきました。どのベンチャー企業で働いている人も、発言がみんなかっこいい。楽しく働いている感じが出ている。ただ違和感を感じたのは、何かキラキラし過ぎていて、嫌なことやしんどい部分まで論理的にプラス転換して伝えてくる、大事な考え方だからと頭では理解しながらも、この人達は本気で向き合ってくれているのか?どこかはぐらかされている、ごまかされてる感覚を感じることが多かったです。

そんな中でVisionaryの選考や面談を通じてお会いする社員の方々からは、率直な本音を感じました。会社の内部課題についても正直に「出来てない」と答えてくれる。むしろ会社の課題の話をしている時の方が熱がこもっていたりもして、課題への認識と解決させたい強い気持ちを感じました。

仕事に対する姿勢もシビアで甘やかすことなく私自身の課題も明確に言及してくれて、ただその後のキャリアの可能性もしっかり示してくれる。一番個人に本音でぶつかってもらえていると感じました。

内定後はすぐにインターンシップに参画しましたが、働く中でも個を大切にする姿勢は同じでした。会社が目指す大きなビジョンを共に目指すことも情熱を持って仕事に取り組める要因ですが、何よりもこの人達と一緒に働きたい、仕事に没頭したいと思わせてくれる環境がありました。

インターン時代の同期との戯れ


ー Visionaryはどんな会社ですか?

人を育てることに最も注力している会社だと思います。

事業作りの考え方は、一般的には既存の事業と関連性ある事業に参入したり、ノウハウが溜まっているところから事業をつくっていくものだと思いますが、Visionaryの事業選択は市場から逆算したマーケティングアプローチであり、結局人さえ育っていれば領域の知識なんて後からいくらでも補える。

まずは人が最重要という考え方があります。私はやりたいことを探す為に就職活動をしてきて、今はその探す旅の入り口です。ただ、考えや価値観はこれからの自分の経験の積み重ねの中で、常に変化していくものだと思っています。

いまやりたいことが10年後やりたいこととは限らないですし、30年後も分からない。ただ、それでいいと思ってます。目標や夢は、描いて実現を繰り返しながら、どんどんアップデートしていくもの。走りながら変化させる順応性が大事。スピード感を持ってそういった人生選択をし続けること自体が、人生なのかなって思います。

Visionaryの事業創造の考え方の中には、そういった個人の生き方を実現していこうとする世界観を感じています。現在社員数や規模感で言うと、ミドルベンチャーのフェーズに入っていて企業としての安定感はあるのに、成長率や組織つくりの観点では、まだまだスタートアップのような要素も見受けられます。

これから更に大きな企業になっていったとしても、事業創造を連鎖するからこそ、やるべきことが生み出され続ける。そんな会社だと思います。


ー 新卒配属後はどのようなお仕事に携わってますか?

日本の労働者枯渇による慢性的な採用課題を解決すべく、HR領域のデジタルマーケティングに携わってます。

他社のHRサービスとの大きな違いとしては、デジタルプラットフォームをうまく活用することで、特に採用課題が顕著な『地方創生』に注力している点です。因みに、まさかの上司一人だけの環境です。()

ある意味、インターンシップでの実績を評価してもらえたんだと、良い方向に捉えてます。インターンシップから入社までの期間でも半年働きましたが、毎日のように新しいことに取り組んでる気がします。全然別の事業部からも急に仕事が降ってくるんですよね。()

日に日に業務量が求められるので、ルーティンワークの業務効率化が肝になってくるのですが、そんな時は、工数削減のプログラムの為に、社内エンジニアの方々と連携を取りながら仕組み化を進めます。

新卒入社で配属された部署は、正に私がインターンシップとして参画した際に立ち上がった事業なので、今もほぼ0からシステムを整えている最中です。毎日新たなチャレンジをさせてもらっています。日々学びがあり、変化が多い。それに対応するのは難しいが、だからこそすごく楽しい。仕組みを整えることの楽しさを感じながら、ビジネスの楽しさに触れています。

ビジネスは、自分一人が動くのではなく、自分が主体となりながらも、みんなでつくっていくものなんだなと。

「0→1のタイミングで、ルーティンワークとチャレンジが連続で頭が擦り切れる程、効率化について考え続けています。領域の違う仕事も頂き、毎日大変です(笑)


ー 今後のキャリアはどう考えてますか?

今は、とにかく学ぶ道のりだと捉えてます。ビジネスを楽しみながら、より多くの人達を幸せに出来る方法、20代は自分がやりたいこと・やるべきことをまだまだ探し続けたいと思います。高みに登り、市場価値が高いと言われる社会人へと成長した後に見える価値観は壮大に変わっていると思います。その時には、もしかすると一転して『創薬』の世界に戻っているかもしれません。

『創薬』構造から新卒で自分に出来ることに無力さは感じていましたが、社会的な意義は大いに感じています。決して研究職としてだけの関わり方ではなく、違った関わり方からも社会貢献は出来ると思います。

経験を通じてこれから育む夢の為にも、もっと様々な世界を学んで、どこからでも求められる社会人を目指したいと思います。


ー ありがとうございました!

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