たった2人で「ゼロイチ」をやりきった話。ビジネス部門を主体としたアジャイル組織の作り方 #1

“行動” Wins Arguments

皆さんは、「アジャイル組織」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ソフトウェア開発の現場で用いられることの多いこの言葉は、短いリリースサイクルを繰り返しながら、マーケットニーズとのズレを最小限にとどめ、リーンに開発を進めていくための組織設計のことを指します。

ウォンテッドリーにおいても、アジャイル(迅速)に動くことは部門を問わず称揚されており、「Code Wins Arguments」「Move Fast」「Do More With Less」といった社員の行動指針を示す6つの“Wantedly Values”にも、そのアジャイル哲学が色濃く刻まれています。

参考:6枚のポスターを作って見えた、社内ブランディングにおけるビジュアライズの価値

今回のWantedly Blogでは、株式会社ヌーラボが主催する「Good Project Award 2019」において優秀賞を受賞した、R&D Squadのプロジェクトについて前後編に分けてフィーチャーします。

チーム紹介 〜何を目的に結成されたか〜

テック企業のR&D組織と聞くと、技術調査や技術開発に特化したエンジニアチームを想像されるかもしれません。しかし、ウォンテッドリーのR&D Squadは、Wantedly Visitを中心に新たなマネタイズ領域を生み出すことで、変化の多いこの時代にありながらも事業部としての伸びしろを増やしていくことを目的としたビジネスサイドのチーム。

その立ち上げと同時に開始された今回のプロジェクトでは、全くのゼロベースから「3ヶ月で64の機能開発リリース」という離れ業をたった2人で実現したことが評価され、名誉ある賞をいただくことができました。

プロジェクトメンバーの1人目は、オペレーションSquadに所属し、RPAの導入でメキメキと成果をあげていた震明徹也。「自動化・可視化」の徹底を通じて社内の定型業務に必要とされる時間や工数を圧縮した実績により、RPAに関連するカンファレンスへの登壇や、メディア取材(※)等でも注目されました。

2人目は、アカウントセールスSquadに所属しながら、タレントプール機能等のオプション開発を担っていた越石翔子。アップセル施策をメインに担う部門において、クライアント企業へのニーズヒアリングや提案を行なっていました。

R&D Squadの発足以前から、チームをまたいで各担当者とコミュニケーションを取りながら、施策の立案から実施までボトムアップ的に動いていた2人。しかし、彼らを取り巻く環境は、個々の施策をスケールさせるにはやや不自由なものでした。組織横断的に施策を回すべき人たちが、そのKPIとは必ずしも一致しないミッションを掲げたSquadに所属していることにより、本来の横串的な動きが取りづらくなっていたからです。

幸いなことに、ウォンテッドリーには「やるべきこと」に基づいて意思決定をするメンバーに裁量が与えられるという文化があります。この文脈においての「裁量」とは、「個々のメンバーのやるべきことにフォーカスしやすい環境」と言い換えてもいいでしょう。そこで、デジタルインテグレーション施策を進める震明とオプション開発を担当する越石の2人は、オプションの利用率向上を推し進めるコマーシャルセールスとともに「R&D Squad」として一本化されることになります。

プロジェクト発足まで 〜解決すべき課題と、手段の制約〜

さて、将来投資のために結成されたチームにあって、「投資フェーズのアイディア/プロジェクトを1つでも多く形にする」ことは至上命題。メニュー開発担当としてその“最初の一手”を思案する越石のもとに浮かび上がったのが、顧客調査の結果明らかになった「利用企業の81%がスカウトの運用に課題を抱えている」という課題でした。

中でも、忙しい人事担当者にとって「スカウト候補をリストアップするための時間の確保」がWantedly Adminをストレスなく運用するためのボトルネックになっていることが判明。これでは、候補者に自社の魅力を熱く伝えたり、社員がモチベーション高く仕事に取り組む環境を作ったりという、人事が本来向き合うべき仕事に集中することができません。さらに、このボトルネックを解消することは、新しい出会いに期待をしているユーザーへ価値提供の最大化にもつながるとも考えられます。

ここで、2人の間に浮かび上がってきたのは、「スカウトにまつわる苦痛を取り除けば、Wantedly Adminを利用する採用担当者が本質的な仕事に集中できるようになり、その価値がユーザーにも還元されるのではないか」という仮説でした。ウォンテッドリーのビジネスとしても、スカウトオプションの利用率/利用継続率は、事業の伸び率にも直結する重要な指標であることを考えれば、最初にタックルする仮説としては申し分なさそうです。しかし、その仮説を検証するためには、乗り越えなくてはいけない「手段の制約」がありました。

「エンジニア工数を使わずに、顧客のスカウト課題を解決せよ。」

「次に花開くマネタイズ領域を見つけ、それを1つでも多くパイプラインに乗せる」というR&D Squadのそもそものミッションからしても、担当者にはプロジェクトの立ち上げから実施までを、区切られた時間の中でスピーディーにやりきることが求められます。そしてそのためには、以下の2つの条件をどうにかしてクリアしなくてはいけません。

① Wantedly Visit本体のシステム開発にかけられるリソースは有限である。
② システム実装する前に、コストをかけず仮説検証したい。

これはいわば、ウォンテッドリーの持つ「開発力」という最大の武器を最初から取り上げられた状態。ともすれば「無理ゲー」感もあるこの制約を突破する糸口は、図らずしもR&D Squadの内部からもたらされました。

震明:「それなら、RPAでいけそうです🤖」

顧客のスカウト体験を向上させるためのサービス構築のために震明が用意したのは、RPAツールとGoogle Spreadsheetの2つ、たったそれだけ。かくして、ビジネスサイドのメンバー2人による、「エンジニアなきβ版開発」がスタートしました。

β版開発&提供開始 〜分業せずにサイクルを回す〜

Wantedly Admin本体のシステム開発を伴わないこのプロジェクトを開始させるにあたり、まずは震明が別業務のスキマ時間を利用し、サービスの最小構成要素となるMVP(Minimum Viable Product)の開発を3日ほどで完了させました。

それから3ヶ月の間、ハイペースに機能開発リリースを繰り返すにあたり何よりも重要だったのは、β版提供企業へのフロント業務(セールス/カスタマーサクセス)とサービス開発を「分業せず」に「高速」で回すということ

「高速化」については、ビジネスサイドのメンバーでも扱うことができるRPAとスクリプト言語による開発環境や、各種セールスツールを駆使したワークフローを整えることを最優先で動きます。そうしてプロジェクトのスピード感を担保した上で、「開発、セールス、カスタマーサクセス」という事業全体のフローを震明・越石の双方が分業せずに担いながら行動しました。全てのプロセスに同一人物が顔を出すことで、意思決定の質、スピードをあげることができるからです。

また、機能の追加開発における意思決定に際しても、「その仕様は本当に必要か?」といったような議論を極力せずに、「作って・出して・要らなかったら捨てる」のサイクルを繰り返しました。さらには、課題の優先順位をつけるための時間を少なくし、タスクの鮮度が落ちる前にやりきる環境を作ることで、タスク滞留を防ぎ、交通整理の時間も短くしました。とにかくPDCAを高速で回転させながら、β版提供企業とのフロント業務を通じて得た知見を、企画や開発に反映させることを優先で動きます。

こうした体制を整えつつ施策を回したことが、「3ヶ月で64の機能開発リリース」という成果に結びついたのです。

プロジェクトを終えて 〜どんな収穫があった?〜

2人きりで開発と同時進行で提案を進めた本プロジェクトを通じて、事前のニーズ調査の通り「スカウト候補者リストアップの自動化」にはある一定の可能性があるという気づきを得ることができました。新たなマネタイズ領域としての可能性を探るために設定していた各種指標も、当初の期待通りにクリアできたことが収穫となりました。

R&D Squadとしての初の施策が数字になって表れたことはもちろん、ツールによる機能開発の簡便化、コミュニケーションコストの削減、網羅的なオーナシップ......こうした工夫によって、「リソースの有限性にとらわれず、“行動 Wins Arguments”でアジャイルに施策を回す」ことを実践できたことは、ビジネスTribe全体の資産として今後も活かしていけそうです。

それでは、具体的にはどのようにビジネス組織にアジャイルな取り組みを定着させることができるのか......。記事後編では、「デジタル・インテグレーションの時代における『組織人』の未来像」という全てのビジネスパーソンに関連するテーマについて、越石・震明へのインタビューを通じて掘り下げていきたいと思います。

(※)参考リンク:震明が登場した記事

小さく試すなら、選択肢に入れたいクラウドRPA|日経クロステック

ウォンテッドリーで実践するベンチャー企業のRPA活用術|RPA HACK

【連載】1人RPA担当者のためのRPA推進のポイント_テスト導入フェーズ編 第1話 | RPA BANK

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