「攻めるバックオフィス」の誤解を解きたい。法務×経理キャリア対談 #2

弁護士・公認会計士としてウォンテッドリーの管理部門にジョインした植田貴之と仁位元信の対談。これからの士業のキャリアパスについて語り合った前編に続き、後編では彼らが所属するコーポレートチームについて話を聞いていきます。

「愛されるバックオフィス」ーー そんな言葉がよく似合うウォンテッドリーの管理部門の秘密を探るうちに、管理部門が持っているべき「プロ意識」や「正しい攻めの姿勢」について新たな気づきが浮かび上がりました。

テック企業ならではの情報共有の仕組み

写真左:植田貴之(法務)、写真右:仁位元信(経理)

ーー テック企業であるウォンテッドリーに入社して、驚いたことやわくわくしたことはありますか?

仁位:
なんといっても、毎週金曜日に開かれる「Demo Day」ですね。エンジニア、ビジネスサイド、コーポレート、部門を問わず自らの施策や成果についてプレゼンする機会になっているのですが、初めて参加した時には素直に「すごい」と思いました。今まではずっと会計という限られた領域中で働いてきたので、エンジニアやビジネスサイドの人が何をやっているかはほぼ理解できていなかったですから。

植田:
確かに! Demo Dayがあることで毎週会社が少しずつ成長しているんだという実感が持てますよね。

仁位:
あとは、みんなプレゼン慣れしているところですかね。ただただ施策と成果を並べるだけでなく、異なるKPIを持っているチーム外の人にも「おっ」と言われるような伝え方を工夫していて。どんな発表でも否定されないので新卒が話すことも多いですし、それぞれの専門領域に敬意を払い合うような文化があるのも、良いと思いました。

植田:
僕は、GitHubで仕事をすすめるというのは新鮮で、良い文化だなと思っています。自分がインハウスとして入社する前は、外部の顧問弁護士の方が社内のGitHub上で社員とコミュニケーションを取ってくれていたのですが、その時の情報がそのままの形で残っていて。

以前、人事の大谷さんが「契約書とソースコードは同じ」「今居ない人・これから来る人のための仕組みを作る」という意図のもと、法務コミュニケーションをGitHubにすべて移管していて、自分はそれを引き継ぐ形でジョインしたんですね。なので、これまでの契約書レビューの経緯や過去のリサーチ状況の把握などは、基本的にGitHubを見るだけで完結できて、驚くほどスムーズにスタートを切ることができたのを覚えています。

仁位:
いろんな部門のレポジトリを渡り歩けば、どの部署で今何が起こっているか、誰にでも分かるようになっているのが良いですよね。普通の企業だと、コーポレート側にGitHubを導入しようという発想自体がない。それを全社に導入しているのが面白いです。

植田:
あとは、GitHub上にissueを立てる際に必ず「Why」から内容を伝えるところかな。どんな些細なことでも、本当にそれをやるべきなのか軽い議論が起こる。それって、物事を合理的に進める上ではすごく良いことですよね。だから、何をやるのにも間違いが起きにくく、議論を介在させるからこそ、誰でもやりたいことをやれる環境にある。

情報感度の高さもエキスパートの証明

仁位:
あとはみんな、情報感度が異常に高いんですよね。正直コーポレートって、自社のことだけ知っておけばなんとかなるという面もある。でも、ウォンテッドリーでは他のベンチャー界隈で何が起きているか、動向をしっかりウォッチしていて、朝に公開された外部情報がランチタイムにはさっそくチームの話題になっている。こうしたアンテナの張り方も、ウォンテッドリーのコーポレートチームに加わって驚いたポイントです。

植田:
管理部門はそれぞれがエキスパートになることを目標としていて、だからこそ良いものがあったら取り入れようという姿勢が大きいんです。実際に他の企業の管理部門の方と情報交換をしたり、業務フローやツールについて議論したりということもよくやっています。そういった社外の情報に対する感度の高さを見ると、素直にプロだなって思います。

また、社内だけを見ても、うちの管理部門は忙しい時に誰もそれに対して文句を言わないし、自分の専門分野ではない業務も当然のように手伝ってくれるので、本当に助かっています。

仁位:
「コーポレートチーム」というくくりの認識が強いというか。

植田:
そう、法務、経理、というくくりよりは「コーポレートチーム」で仕事をしているという意識が強い。逆に法務、経理とくくられることの方が珍しいというか……。もちろんそれぞれメインの担当業務はあるけれど、それ以外はチームでやっているというイメージ。

管理部門が事業のスピードを左右する。

ーー コーポレートチームの一員として、事業部とどのような関わり方をするのがベストだと考えていますか?

仁位:
その点で言うと、植田さんはとにかく社内の情報のキャッチアップが早いんです。事業部との接点が常にあるからこそ、向こうも「なにかあったら植田さんに相談しよう」という雰囲気ができている。

植田:
色々なチームとのつながりは作っておきたいなとは思っています。僕の目線ではありますが、安心して使ってもらえるプロダクトにしていきたいとは常々思っていて、それを実現するためにはビジネスサイドだけでなくエンジニアの理解や協力がないといけない。早い段階からエンジニアの人とコミュニケーションを取ることは意識していました。ビジネスサイドも同様で、なにか問題が起きた時や起きそうな時には法律に関係のないことでも、何でも聞いてもらいたい。

「法務」という言葉で括られると、法律を振りかざして、様々な場面でブレーキをかけてくる人みたいに思われがちなんですが、そうではなくて、自分が潤滑油のようになって、各チーム間の利害を調整したり、コミュニケーションを繋げたりする役目も担っていきたいです。

仁位:
社内で何かを進めようとなった時には、プロジェクトの動線上にいつも植田さんがいますよね。

植田:
そうなることが理想だと思っていますね。でも経理も同じで、お金の問題は必ず発生するわけで、様々なプロジェクトに積極的に関わっていくという役割が期待されているんじゃないかなと思います。

ーー 仁位さんは経理として事業作りに貢献するために意識していることはありますか?

仁位:
なるべく情報のキャッチアップを早めにして、事業部のプロジェクトが動く時には最低限の負荷で進められるようにしたいという意識はありますね。

あとは現在の会社の状態をいかに早期に把握するかが大事だと思っていて。適時に経営状態を把握することで使える予算が増えることもあるので、ビジネスサイドのアクションを加速させるためにもスピード感をもって実績把握ができるフローを整えていきたいです。

植田:
社内の情報を拾うのは本当に大変ですよね。当然逐一報告はしてくれないので、色んな所に顔を出して情報をまとめないといけない。難しいけれど、ツールで可視化できることはするなど、しなければいけないことはたくさんあると思っています。

成長のための準備こそ、管理部門の「正攻法」。

ーー 今後事業のスケールに合わせて、どのようなコーポレートチームを作っていきたいですか?

植田:
よく新しいことに挑戦する管理部門に対して「攻めるバックオフィス」と言うけれど、僕はこの言葉があまり好きではなくて。というのも、「攻めるバックオフィス」って言葉は「とにかくスピード最優先で、グレーゾーンぎりぎりを攻める」というイメージで受け取られがちだと思うんですよね。そうではなくて、しっかりとリスクの洗い出しを行い、そのリスクを踏まえた上で的確な、時には大胆なジャッジをするというのが、僕の理想としている「攻める」なんですね。

仁位:
「攻める=速ければ良い」と思われてしまいますもんね。

植田:
意思決定は大胆にして良いと思うけれど、その判断の基礎となるリスクアセスメントはかなりこだわってやっています。やはり、そこが一番大切なので。

個人的な目標は、事業の成長スピードに合わせて、コンプライアンス面が遅れないように準備をし続けることです。フェーズが変わるとやらなければならないことも変わると思うので、そこに間に合わせつつ、誰が入ってきても仕事が回るような体制も整えていかなければと。

仁位:
人が変わってもちゃんと走り続けられる組織というのは、必須ですね。属人性から脱して、いつでも業務を他の人に渡すことができるチームになれば、自然と自分の仕事も段階が上がっていくと思いますし、組織の成長に合わせて違った価値が発揮できるようになる。さらにその成果を発信し続けることで「ウォンテッドリーの管理部門はイケてる」と思ってくれる人を惹きつける組織になれる。そんな正のスパイラルが作れたら最高だなと思います。

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