「SNSのデザインって、センスでしょ?」——よく言われます。でもWaveでSNSデザインを担当しているEさんの頭の中は、ほとんど"設計"の話でできています。
▍まず「止まる理由」から逆算する
見た目より先に考えるのは、「どうすれば指が止まるか」です。スクロールを止められるのは最初の0.5秒。そこで何を見せれば止まるのかを、伸びた投稿から逆算して設計します。かわいい・かっこいいは、その次。
具体的には、直近1ヶ月で伸びた投稿を20本ほど並べて、冒頭に何が置かれているかを分類します。テロップか、動きのある画か、人の表情か。この比率が月によって変わるので、毎月見直します。
▍4つの指標でしか判断しない
サムネ・テロップ・配色は、全部「保存されるか」「最後まで見られるか」の指標で判断します。見るのは再生数・保存率・プロフィール遷移率・視聴維持率の4つだけ。
たとえば視聴維持率が冒頭3秒で半分に落ちていたら、その投稿はデザインから作り直します。逆に最後まで見られていれば、同じ型をもう一度試す。好き嫌いで決めないので、議論が短く済みます。
▍作り直しの判断は、早いほうがいい
作ったものに愛着が湧くと、数字が悪くても「もう少し様子を見よう」と思ってしまいます。ここは意識的に切り替えるようにしました。
いまは投稿から48時間で判断します。伸びていなければ、次の企画では同じ型を使わない。捨てる判断が早いほど、当たる型に早くたどり着けるからです。
▍テロップ1行に30分かけることもある
地味な話ですが、テロップの文字数と改行位置は毎回悩みます。スマホの画面で見たときに、1行が長すぎると読まれません。かといって短すぎると意味が伝わらない。
実機で確認して、読めるかどうかを毎回見ます。パソコンの画面だけで判断すると、ほぼ失敗します。
▍1本のデザインができるまで
実際の流れを書きます。企画が決まったら、まず参考にする投稿を5本選びます。次に、その5本の冒頭カットだけを並べて、共通点を探します。
そこから構成案を2パターン作って、チームに見せます。ここで意見をもらって1つに絞る。作り込むのはそのあとです。最初から1案を完成させると、方向がずれていたときの手戻りが大きいので。
▍センスが要らないわけではない
ここまで設計の話ばかりしましたが、センスが不要という意味ではありません。同じ設計でも、配色や余白の詰め方で仕上がりは変わります。
ただ、センスだけで戦うと再現できない。設計で8割まで持っていって、最後の2割をセンスで詰める——という順番だと思っています。だから未経験でも入れます。設計は学べるので。
▍作品ではなく"結果"まで見届ける
自分が作ったものが、そのまま次の判断材料になる。作品として褒められて終わりではなく、次に何を変えるかまで自分で決められることが、この仕事のいちばんの面白さだと思っています。
デザインだけで完結しないので、分業で腕を磨きたい人には向かないかもしれません。ただ、自分の判断が数字に直結する環境は、そう多くないと思います。
▍数字が良くても、直すことがある
保存率が高くても、コメント欄が荒れていたら作り直します。数字だけ追うと、短期的に跳ねても、担当タレントのイメージを損なうことがあるからです。
ここはチームで基準を決めています。過度に煽る表現、他者を下げる比較、誤解を招く切り取り。この3つは数字が出ても採用しません。
長く応援されるアカウントを作るのが目的なので、1本の再生数と引き換えにするものではない、という判断です。
▍未経験から入る人へ
私自身、入社時はSNSのデザイン経験がありませんでした。最初にやったのは、伸びている投稿を毎日3本ずつ模写することです。
模写すると、なぜその配置なのかが手で分かります。理屈から入るより早いので、最初の1ヶ月はこれだけやっても損はないと思います。
最後に
この設計を、撮影と編集の側から一緒にやってくれる人を探しています。作ったものがあれば持ってきてください。無くても、何を面白いと思うかを聞かせてもらえれば十分です。
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