マーケティングMG × クリエイティブMG 対談
松井敬祐(マーケティングMG)× 田中章太(クリエイティブMG)
前編では、マーケティングとクリエイティブそれぞれの仕事内容や連携、
「案件広告で当たりを取る」ことの定義、そして企画づくりの決め手について伺った。
後編では、ふたりの意見がぶつかったときの着地点や、
当たりを取り続けるための日々の心がけ、
そして「いい広告」の定義について語ってもらう。
Q6. おふたりの間で意見がぶつかることはありますか?そういうとき、どうやって着地点を見つけますか?
松井 正面からぶつかることは基本ないですね。田中さんのインプット量・アウトプット量を信頼しているので、クリエイティブについては田中さんの意見をメインで尊重しています。自分の意見は「提案」として出して、うまく落とし込んでもらうイメージです。
田中 意見の言い合い自体はあります。たとえばある案件の訴求で「松井さんはこっちの訴求で行きたい」「私はこっちの方がいいと思う」という場面は普通にあります。そういうときは「まず試してみよう」で動きます。1本出してみて刺さらなければ別の訴求に切り替える。お互いが「俺のやつを採用しろ」というエゴはなく、クリエイターとして素直に言い合える関係だと思っています。
松井 最終的に「あ、これでいけるやん」とふたりで落ち着くことが多い気がします(笑)。
Q7. 当たりを取り続けるために、日頃から意識していることや個人的にやっていることはありますか?
田中 24時間、日常生活のすべてを広告の視点で見ています。テレビをつけていても「このデザインはなぜ伝わるのか」「この見せ方の感覚はどこかで使えないか」とずっと考えている。居酒屋のメニュー表を見ていても「このメニュー表、見やすくないな、なんでだろう」って(笑)。気になったデザインは写真を撮ってデザイナーにシェアしたりもします。
松井 感情を大事にする、ということですね。「当たったものは言語化できない」という言葉を信じていて、リサーチや他社分析は当たり前のこととして、それ以上に自分がふと感じた感情──「これ、なんかいいな」「こういう時代の空気ってあるよな」──をクリエイティブに落とし込む意識があります。言語化できないものをインプットし続けることが、感覚を磨くんだと思っています。
Q8. 新しくチームに入ったメンバーに「当たりを出す感覚」を伝えるとしたら?それって教えられるものだと思いますか?
田中 教えられるなら、全員当てられますよね(笑)。ある程度のレベル、たとえば50〜100件の獲得・・・なら、私たちが言語化したノウハウを忠実にやれば取れる可能性はあると思っています。でもトップレベルの当たり(300件超)は言語化できない領域です。過去に当たった記事の「型」を渡してそれ通りに作ってもらっても、一度も同じように当たったことがない。脳科学的に言うと、感覚は右脳、言語は左脳にあって、右脳で感じたものを左脳で完全に言語化することはできないそうです。広告もクリエイティブも同じで、当たったものを言語化して横展開しようとしてもうまくいかない理由はそこにあると思っています。
松井 結局は量だと思います。インプットとアウトプットの圧倒的な量が、当たる感覚を生む。大谷翔平の話を聞いても野球が上手くならないのと同じで、やらないと身につかない。「ぼーっと見るんじゃなく、圧倒的にやり続けてください」としか言えないですね。
Q9. 「いい広告」と聞いて、おふたりが思い浮かべる定義を教えてください。
田中 私は、いい広告イコール当たる広告だと思っています。少なくとも私たちが手がける獲得型の領域では。
松井 私は「記憶に残る広告」かな。子供の頃に見たCMを今でも鮮明に覚えている・・・そういうもの。映像が良かった、コピーが刺さった、音楽が耳に残った。成果は関係なく、という観点でいくと、そういうものが「いい広告」だと思います。
田中 そこで逆に聞きたいんですけど、私たちはそういう「いい広告」を作れているんでしょうか?
松井 作れていないというか、意図して作っていない(笑)。私たちが作るのは「その瞬間の購買欲を高める広告」で、目的が違う。潜在層に届けるブランドCMとは別のステージなんです。当たる広告といい広告は、重なる部分はあれど、目的が完全に一致するわけではないですよね。
「当たる広告」と「いい広告」──ふたつの問いが交差した対談はここで幕を閉じた。数字と感覚の間で、言語化できないものを言語化しようとする二人の姿に、広告の仕事の奥深さが滲んでいた。
登場人物
松井 敬祐(マーケティングMG)
大阪のマーケティングチームのマネージャー。広告運用者のタスク管理、目標数値の進捗管理、メンバー育成を担当。自身もクリエイティブ制作に携わりながら、チームが成果を出せる環境づくりに注力している。
田中 章太(クリエイティブMG)
大阪のクリエイティブチームのマネージャー。メンバーの制作物の品質管理とフィードバックを行いながら、自身も新規案件や重要案件のライティングを手がけるプレイングマネージャー。