「選択肢の多さが、必ずしもより良い決断に結びつくとは限らない」
ということを示唆する、心理学の有名な実験があるそうだ。
なんでも、6種類と24種類のジャムをそれぞれ販売した場合を比較すると、6種類の方が立ち止まった人の購入率が高かったのだとか。
あなたも、なんとなく心当たりがあるかもしれない。
選択肢が必要以上に多いと、脳が思考停止に陥ってしまい、そこから非合理な選択をしたり、はたまた決断を先延ばしにしてしまったり…
今回インタビューさせてもらった新卒の高野 将也(たかの まさや)さんも、獲得したそれぞれの内定先が魅力的すぎるゆえ、悩みに悩んだ人間の一人だった。
ジャムくらいなら、選んだのがマズければ来週は違うものを買えばいいし、今日もし決められなかったら、明日は家にあるバターでも塗ればいい話だ。
でも、就職はそんな訳にいかない。
将也さんの、就活時の葛藤から実際に入社を決めた今の心境に至るまで、根掘り葉掘り聞いてみた。
置き土産に部長へ向かって「俺のなにが分かるんすか!!」
「俺さ、ほんとは去年で卒業だったはずなのよ」
開口一番、カロリー高めな留年話。そう、本来なら将也さんは、もう一年早く社会へ飛び立つ予定だった。しかし、諸々あって単位不足。内定をもらっていた地元の総合商社には、事情を説明した。結局、大学へ通って授業に出る傍ら、“インターン”という形で内定先へも通い始めることに。
ただ、その会社がすこぶる面白くなかった。先輩も、つまらなさそうだった。その姿が数年後の自分だと思うと、気持ちは徐々に冷めていった。そんな矢先、自身の働く支店へ部長がやって来た。初対面の自分に向かって、厳しくいちゃもんをつけてくる部長。
帰り際、将也さんに向かって「まあ君からは、誰も商品を買わないと思うけど」と捨てゼリフ。その瞬間、将也さんの溜まっていた全てのうっぷんが解き放たれた。
「初対面のあんたに、俺のなにが分かるんすか!!」
気持ちを入れ直して就活再開
「ある意味、その商社で伝説を残したよね(笑)」
当時のことを笑いながら振り返る将也さん。結局、またイチから就活をやり直すことに。カレンダーはもう、7月に変わっていた。
就活を再開するにあたり、将也さんは改めて「3つの軸」を設定した。
① 自分の好きなこと軸
② 自分のやりたいこと軸
③ 予備
①の好きなこと軸は「アパレル」、②のやりたいこと軸は「採用」、そして③の予備は「一点突破で、すごくいい人に出会ったときとか」だった。
前年の経験を生かし、入念に「軸」を定めた将也さんは、次々と内定を獲得。①のアパレルは大手セレクトショップ、②の採用は大手人材会社、そして③の予備枠に『wevnal(ウェブナル)』がハマった。
当初は蚊帳の外だったwevnal
「俺の中では、完全にアパレルと人材しか選択肢になかったね」
面接した時の人が面白かったからという理由で、「予備枠」に残っていたwevnal。ただ将也さんの頭の中では、当初は実質「アパレルか人材」の二択だった。
結局、アパレルか人材なら、後者の魅力が勝った。アパレルと人材の仕事で得られるスキルを天秤にかけたとき、汎用性が高いのは人材の方だと判断した。
残った問題はwevnalだった。
「wevnalは、ある意味ここまで“人の素晴らしさ”で残ってた。だから最後の決断をする前に、もう一度wevnalの皆さんに会っとこうと思って」
オフィスへ行くと、自分の中でwevnalを「予備枠」へと導いた、激熱社員が迎えてくれた。かけられた言葉は
「どうした。お前、俺に背中を押してほしいのか?」
改めて会うと、やっぱりwevnalの人たちの熱さに惹かれた。
激熱社員と、常務と、そして社長が部屋にやってきた
「こっちはめちゃくちゃ悩んでる状態なのに、そんな感じで迎えてもらったら、『最後の一押しが欲しいです』って言わざるを得ないよね(笑)」
常務からは、その激熱社員さえもが感嘆する、全く嘘偽りのない
「俺がお前を絶対一人前にする」
という言葉。その時点でもう、ヤバかった。
(弊社wevnalの太陽神・常務)
そんな折、新たな刺客が会議室へと入ってくる。社長だった。
「おー!高野―!調子どう?」
「僕wevnalに入ります」
内定式を直前に控えた、9月も終わりの決断だった。
実は内定をもらった直後にも、社長から直々に長文のメールが届いていた。
「一会社の社長とか常務が、こんなクソガキの何を評価してくれてるんだろうと思って。そこまでされたら、賭けてみようってなるよ。もうね、最後は振り切り」
大手二社の内定をすっ飛ばし、大穴だったwevnalへ
そうした経緯を経て、滑り込みでwevnalへの入社を決断した将也さん。
今、実際にインターンとして働き始めて、なにか芽生えた思いなどはあったのだろうか。
「同期から辞める人を、一人も出したくないよね。この『人の面倒を見る』みたいなことが、仕事軸でやりたかった『採用』の領域と被ってくるっていうのもあるけど」
自分がインタビュー前に将也さんへ抱いていた「無愛想なクールガイ」という偏見と、実際に出てきた言葉の温かみとの間に、高低差ありすぎて耳がキーンとなった。
「キャリアアップとか、他にやりたいことが見つかったとかなら、また別よ?要は辛くなってとか、ウェブナルを嫌になって辞める人を出したくないなってこと。やっぱりさ、そういう別れが一番つらいじゃん」
インタビュー中にも、実際に同期同士の仲の良さが垣間見られた。同期である、アメリカ帰りの元コックさんが乱入(?)してきて、その場で将也さんと今晩の飲みアポを取り付けようとしていた。
普段からも、同期とは頻繁にご飯へ行き、そのまま夜通しテレアポリストを作ることもあるという。
「留年で同級生から1年遅れてる分、それを巻き返さなきゃって気持ちもあるんだよね。wevnalなら、それだけの濃密な時間を過ごせる、仲間と環境があると思う」
その鋭い視線の先には、規格外の野望が灯っていた。
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