楽天市場のデータベースをゼロから構築! “トガリまくった”経歴を持つ「データ分析×マーケティング」のスペシャリスト
陳野友美
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大学卒業後「手に職をつけよう」とフリーランスのシステムエンジニアに。その後、アメリカのSIerに就職した後、黎明期の楽天株式会社に入社。10年以上にわたり、楽天のマーケティングの基盤を支える。その後、2社の企業を経験したあと、2015年12月よりランサーズ株式会社の顧問に。2017年4月、クオント株式会社新設に伴い同社顧問に就任。
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■ 楽天のデータベースをゼロから構築したデータのスペシャリスト
「トガッた経歴」を持つ社員が多いクオント株式会社。
データ分析のスペシャリストとしてQuantのシステムの根幹を支えている陳野は、大学卒業後、独学でシステムエンジニアリングを学び、フリーランスのSEとして活躍していた過去があります。またその後、黎明期の楽天で、ユーザーマーケティングのためのデータベースをゼロから構築したという猛者。
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現在はクオント株式会社の顧問として、事業の中核を担っている陳野に、そのトガりまくった経歴とQuantに感じている可能性について聞きました。
■ 新卒フリーランスとして独学でシステムエンジニアに
大学卒業後「手に職をつけよう」と思い立った陳野。企業には就職せず、フリーランスのSEとしてキャリアをスタートさせました。
陳野「そのころはまだ『フリーランス』なんて言葉も一般的ではなかったですね。大学の教授はかなり心配して就職先を斡旋してくれたりしたんですけど『わたしはそっちじゃない』と感じてお断りしました。もちろん、不安もあったし悩みましたけど、何より自分の意志を大切にしたかったんです」
SEの道を選んだのは、直感的に「これかな」と思ったから。エンジニアリングは、本を読んだり人に聞いたりして、独学で学びました。さまざまな企業に出入りしながら、アプリケーションエンジニアとして実績を積んだ陳野は、4年間のフリーランス経験ののち、アメリカのSIerに就職することとなりました。
■ 手に職があれば働き方は自由。アメリカのSIerに就職しリモートワーク
なぜ陳野は、日本ではなくアメリカの企業に就職したのか。その理由は「手に職があればどこででも働ける」という考えがあったから。就職とともに渡米するつもりでしたが、ビザの許可が下りるまでは、日本のクライアントのもとでリモートワークをすることになりました。
陳野「クライアント先では、ECサイトの運用を担当しました。そのとき、データを使ってユーザーに継続的にアプローチできるのが、すごくおもしろいなと思って。ECの未来に可能性を感じたんです」
ECへの興味が高まったことに加え、なかなかビザが下りなかったこともあり、転職を決意した陳野。そして、当時黎明期を迎えていた楽天株式会社に入社することにしたのです。
陳野「転職のときは、いろいろな企業が選択肢に上がったんですが、直感的に『ここかな』と。結果、10年以上勤めてますから、その直感は間違っていなかったということでしょうね」
■ 「データ分析×マーケティング」を極めるキャリアのスタート
陳野がはじめに楽天で従事したのは、ユーザー向けのマーケティング部署の立ち上げ。実はそれまで楽天市場では、出店者向けのマーケティングしか行っていませんでした。つまり、ユーザー向けマーケティングとはいうものの、分析すべきデータベースは存在せず、それを作るところからのスタートだったのです。
陳野「サーバを立ててデータベースを作るところから管理や保守まで、最初はすべて自分ひとりでやっていました。しかも気がついたら、会社のみんながそのデータベースを使っていて! システムが止まったときの影響範囲が大きすぎて、サーバが落ちたら一目散にデータセンターにダッシュするみたいな、気が休まらない生活をしていましたね(笑)」
陳野が作った分析用のデータベースは、楽天市場のさまざまな機能を支える存在となり、社長直々にメッセージが飛んでくることもあったとか。その後陳野は、会社の成長とともに少しずつ役割を変えながらも、データ分析のスペシャリストとして、多くの事業やプロジェクトに関わっていきました。
陳野「データベースを管理しながら分析をしている時期もあったり、データウェアハウスの構築をしている時期もあったり。事業戦略部の立上げに参加したとき、はじめて足立さん(クオント株式会社代表取締役社長 足立和久)とご一緒しました。ほかにもいろいろな部署の手伝いに駆り出されていましたね。『データ分析×マーケティング』というスキルは、汎用性が高いんだと思います」
■ 草創期のQuant事業。責任者から直々にオファーが
「データ分析×マーケティング」のスキルで楽天市場の成長を10年以上支え続けてきた陳野。しかし、部署異動をきっかけに転職を意識するようになります。
陳野「副事業長として直販事業の立上げに参加したのですが、そのときふと、本当にいろいろなことを経験してきたなと思ったんです。と同時に、この会社でできるひと通りのことはやり尽くしたんじゃないかと感じました。それで外に出ることに決めたんです」
楽天退社後、陳野は当時まだ一般的ではなかったいわゆる「格安スマホ」の事業を手がける会社に転職。「データ分析×マーケティング」のスキルを用いたデジタルマーケティングはもちろん、実店舗の立ち上げからマスメディア向けのPRまで、マーケティング業務全般を担当しました。1年ほど勤めたのち、スマホ決済のアプリを手がけるスタートアップ企業に転職。ここでもマーケティング業務全般を手がけました。
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「データ分析×マーケティング」のスペシャリストとして、充分すぎる経歴を積んできた陳野。その知見を立ち上がったばかりの新規事業に役立ててほしいと切に願ったのが、当時ランサーズ株式会社でQuant事業の責任者を務めていた足立でした。
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陳野「足立さんから直々に『お願いしたいことがある』と。そのころQuantはランサーズの一事業で、名前と構想だけが決まっているという状況でした。話を聞いてみると、今ある膨大なデータに価値を与える必要があるということがわかって。それなら私にもできると判断したので、お誘いを受けることにしたんです」
■ Quantはマーケティングの課題を包括的に解決するはず
Quantチームにジョインした陳野は「データ分析×マーケティング」のスペシャリストとして、その知見を存分に発揮。
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心強いパートナーとして、事業を支え続けてきました。
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そしてクオントが独自で開発した、多種多様なデータを用いてコンテンツやライターを評価するシステムは、すでにふたつの特許を取得し、その価値を発揮し始めています。
もはやQuantにとってなくてはならない存在である陳野。最後に、彼女が思うQuantがもたらす可能性について聞いてみました。
陳野「マーケティングってものすごくいろいろな側面があるんですよ。だからクライアントの悩みも本当に多岐にわたっている。でも、それを包括的にサポートできる企業は今のところありません。だから、Quantがその役割を担っていけたらいいと考えています。マーケティングに関わるすべての要素をつなげて考えたうえで価値あるものを提供していく。簡単なことではありませんが、データの力を活用すれば必ず実現できるはずだと信じています」