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(前編)MAGELLAN5周年記念対談──CEO×初代プロダクトオーナーが語る、広告効果分析ツールNo.1までの道のり

データサイエンスカンパニーであるサイカは、誰もがデータにもとづく正しい判断ができる世界を目指し、マーケティング成果を最大化させるサービス「ADVA(アドバ)」を展開しています。

2020年に発表したADVAの先駆けとなったのが、2016年にリリースした「MAGELLAN(現ADVA MAGELLAN、以下マゼラン)」。統計分析を活用することであらゆる広告の効果を可視化するマゼランは、効果が見えにくいテレビCMのようなオフライン広告の効果も可視化し、国内No.1の広告効果分析ツールに選ばれました。

2021年9月にリリース5周年を迎えたマゼランは、これまでいくつもの大きな壁を乗り越えてきました。たどってきた道のりを、構想段階から苦楽を共にしてきたCEOの平尾喜昭と、初代プロダクトオーナーで現サイカ開発本部プロダクトマネージャーの岩澤利貢が振り返ります。

本記事は、前編・後編の二本立ててお届けします。(後編の記事はこちら

クライアントのオフィスで描いた理想図

平尾 喜昭/Yoshiaki Hirao
サイカCEO。父親の倒産体験から「世の中にあるどうしようもない悲しみをなくしたい」と強く思うようになる。慶應義塾大学総合政策学部在学中に統計分析と出会い、卒業直前の2012年2月、株式会社サイカを創業。創業前にはバンドマンであったというユニークなキャリアも持つ。

プロダクトマネージャー・岩澤利貢(以下、岩澤):5年前、僕がサイカの採用面接を受けた際、すでに平尾さんの頭の中にマゼランの構想はありましたよね。あの面接で話した後、即座に作ったモックが、今のサービスの原型になっていると思うと感慨深いです。

どうやってマゼランの構想を思いついたんですか?

CEO・平尾喜昭(以下、平尾):サイカは創業当初、統計分析を用いたコンサルティグ業をしていました。コンサルティングをする中で気付いたのは、自社の事業に対して問題意識と仮説を持っている企業担当者が自ら分析するのがベストだということ。でも、既存の分析ツールは難しすぎる。そこに課題を感じ、誰もが簡単に統計分析ができるサイカ初のプロダクト「adelie(アデリー)」を開発したんです。

さまざまな業界・業種にアデリーを紹介していましたが、クライアントの実に9割がマーケターでした。マーケターの方から、社内向けにレポートを作ったり、分析をもとにした戦略を構築する過程で、「こんな分析はできないか。分析だけじゃなく、予算配分まで提案してくれないか」という要望もいただくようになって。

当時のクライアントのオフィスにお邪魔して、ヒアリングし続けた内容をA3の紙にまとめたものが、マゼランの構想図になりました。

岩澤さん:マゼランはお客様のオフィスで生まれたんですね。

平尾さん:そうなんです。そのA3の紙は、まだ家に置いてあります。岩澤さんが面接に来たのは、その骨子が生まれて1ヶ月後くらいでしたよね。

岩澤さん:最初はアデリーのプロダクトオーナーとして面接を受けていたんですが、いろいろと話していくうちに、僕がやりたいこととマゼランの目指していることが一致することがわかって。面接そっちのけで、理想のサービスについてあれこれ議論したのを覚えています。

平尾さん:すぐに意気投合して入社が決まり、入社までの期間で岩澤さんがプロトタイプを作ってくれて。それがほぼ、現在のマゼラン。すごいスピード感でしたね。

岩澤さん:プロトタイプを作ってからは、価値検証に必要なデータをもらうために、企業に無料で統計分析を提供しました。そこで価値を感じてくださって、今も付き合いがあるお客様もいますが、振り返ってみると、あの施策は成功とはいえませんね(笑)。

平尾さん:たしかに。無料なら試したいと言ってくれる企業は多かったけれど、なかなかアクションまではコミットしてもらえなくて。分析結果を渡して終わりになってしまうことが多かったですね。

岩澤さん:懐かしいです。

未知の手法で、古い慣習を書き換えれるか

岩澤 利貢/Toshitsugu Iwasawa
開発本部プロダクトマネージャー(PM)。2015年8月にサイカ入社。面接の場で平尾と意気投合し、マゼランの構想を一緒に考えてきたサイカの生き字引。PM以前はセールスを担当し、500社以上の担当者とお会いした経歴を持つ。

岩澤さん:なんとか価値検証を終えてから、僕はプロダクトオーナーと営業を兼任するようになりました。プロダクトがまだ完成していなかったから、膨大なデータをもとに、手元で計算した分析結果を資料にまとめ営業する。あれは地獄のような作業でした(笑)。

平尾さん:本当によくやってくれたと思います。岩澤さんの頑張りもあって、営業のアポイントは増やせたけど、そこで大きな壁にぶつかりました。「統計分析を用いて広告効果を測定する」という新しい考え方が、なかなか受け入れられなかったんです。

「統計」の概念自体がまだ市民権を得ていなかったので、「理論的にはわかるけれど、実際に効果出るの?」という疑問を持たれることが多くて。

岩澤さん:「成果が出た事例はあるの? 実績はあるの?」ってよく聞かれましたけど、スタート直後だったので、そんなものあるわけない。なんとか事例を作ろうと必死にもがいていたのを覚えています。

平尾さん:広告業界の古い慣習も、僕らにとっては逆風でした。その頃は代理店と広告主である企業が持っているデータ量の差が大きくて、代理店が今よりも力を持っていた時代。広告のROIを企業側が把握して、代理店に交渉するみたいな商習慣はあまりなかったんです。

今でこそ、テレビCMの効果に対して疑問をもつ企業が出てきましたが、当時は、ROIの不明確さは問題視すらされず。営業に行った企業から「ROIなんて、見ていないよ」と、直接言われたこともありました。

岩澤さん:あの頃は苦しい経験も多かったと思いますが、サービスを信じる気持ちが揺らいだことはなかったですか?

平尾さん:お客様のニーズに対して、誠実に向き合って作ったサービスなので、マゼランへの確信が揺らいだことはなかったですね。必要としてくれる人がいると思っていたし、広く受け入れられるのも時間の問題だと信じていました。

今でも「広告はROIの世界ではない。データで科学するものではない」と言う人もいますが、そうした企業の割合は減ってきています。経営全般がデータドリブンになる中で、ROIを気にしない企業に投資する株主も、ついていく従業員も少なくなると思うので、よりマゼランの描いていた世界に近づきつつあるといえるんじゃないでしょうか。

メンバーの大量離職。生まれた「XICA WAY」

岩澤さん:サイカにとっての逆風といえば、社内の反発もありましたね。

平尾さん:メンバーの離職のことですね。マゼランをリリースした直後くらいに、それまでやっていたプロダクトを閉じて、マゼランに集中する意思決定をしました。その結果、多くのメンバーが会社を去っていった。

マゼランの可能性を信じて下した決断だったけれど、うまく受注が取れていない状況に疑念を持つメンバーもいて。ライバルとなるサービスがあったら少しは違ったかもしれないけれど、マゼランには競合もいないし、そもそも市場があるかもわからない。

成果がなかなか出ない中で、プロダクトの価値を信じきるのはタフなことだったと思います。メンバーがプロダクトやその先のビジョンを信じられるように組織を導けなかったのは、代表としての自分の反省です。

岩澤さん:あの頃は、辛かったなあ。なんとか結果を出そうとしているのに、社内ではプロダクトに対する批判の声も上がっていて、なかなか成果につながらない苦しさがありました。

平尾さん:当時、30名いたメンバーは15名まで減ってしまいました。でも、結局そこで残ったメンバーは、今組織の中核をなしている。うまくいかない状況にぶち当たったときに、誰かのせいにして「自分にはどうにもできない」と思うのか、「自分の力で状況を変えられるはず」と思うのか。自分を責めるのとは違って、自分の力を信じられる自己効力感みたいなものが大事で、それの有無が当時のメンバーの選択を分けたんだと思います。あの時期を乗り越えた経験は、とてつもなく大きな財産になりました。

岩澤さん:あの経験をもとに、サイカメンバーの行動規範を明文化した「XICA WAY」をつくり、その中に「ジブンゴト化する」という項目を入れたんですよね。

平尾さん:そうですね。今まで無意識に共有できていると思っていた、働く上で大切にしたいことを、改めて言葉にして伝えることにしたんです。そこからの採用は「XICA WAY」に共感し実践できる人を採用するようにして、その結果、壁に打ち当たっても前向きに乗り越えていけるメンバーが徐々に増えていきました。

生まれ変わったサイカで、再スタートを切ることができたんです。(続きは後半へ)

[インタビュー・文] 佐藤史紹 
[企画・編集] 川畑夕子(XICA)

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