牧場の“数字”を、もう一度まっすぐ見つめ直す話
目次
相場は「価格」じゃなくて「利益」で見ないといけない
牛を見る目線は、人によって変わる
DGという数字が、未来の伸びしろを教えてくれる
肉付きより大事なものがある「骨格(フレーム)」という考え方
「繁殖何頭ですか?」に、即答できるか。
TAPは、現場の“当たり前”を、言語化して残していく
終わりに
「相場って、結局…高いんですか?安いんですか?」
会計事務所として牧場の数字を見させていただくなかで、ふと湧いてくる疑問があります。でもそれは、決して“揚げ足取り”ではありません。
むしろ逆で、現場の人ほど当たり前すぎて言語化しないことを、僕らは数字の側から見てしまう。だからこそ、すれ違いが生まれる。
今回のYouTubeは、そのすれ違いを一度テーブルの上に出してみる回です。
元牧場経営者の佐々木が、遠慮なく、でも愛情を込めて、現場のリアルを言葉にしてくれました。
相場は「価格」じゃなくて「利益」で見ないといけない
市場の平均相場が高いか安いか。
それ自体は確かに一つの指標です。
でも佐々木が話していたのは、もっと本質的なことでした。
同じ値段がついても、昔と今では“利益”が違う。
経費の前提が変わっているから。
「値段が戻った」だけでは、経営は救われない。
そんな現場の温度を、さらっと言い切るのが佐々木らしいなと思いました。
牛を見る目線は、人によって変わる
牛の値段は、血統、体型、背中、さまざまな要素で決まる。
でもそれ以上に面白いのは、買う側の事情で“価値”が変わること。
繁殖用として買われる牛は、繁殖農家もセリに参加するから相手が増え、価格が上がる。
つまり同じ牛でも、誰が必要としているかで値段が跳ねる。
この構造って、少しだけ人材市場にも似ている気がします。
「いい人」の定義は、環境と目的で変わる。
だからこそ、理解が深まるほど“戦い方”が見えてくる。
DGという数字が、未来の伸びしろを教えてくれる
動画の中で印象的だったのが「DG」の話。
1日あたりどれくらい体重が増えるか。
それが、成長の見込みを示すひとつの指標になる。
DGが高ければ「伸びる」
DGが低ければ「伸びにくい」
もちろん牛づくりは、数字だけで語りきれません。
でも、“勘と経験”に寄りすぎると、判断の軸が人によってブレてしまう。
だからこそ、数字は未来への共通言語になる。
肉付きより大事なものがある「骨格(フレーム)」という考え方
“肉がついていればいい”わけじゃない。
むしろ、10ヶ月くらいの牛なら骨格(フレーム)を見る。
フレームができていれば、あとで肉がついても耐えられる体になる。
この話を聞いて、僕は少し胸が熱くなりました。
派手さのある成果より、土台。
短期より長期。
見栄えより、本質。
この価値観が、TAPがクライアントと向き合う姿勢にも、そのままつながっている気がしたからです。
「繁殖何頭ですか?」に、即答できるか。
そして動画の後半。
空気が少しだけ引き締まる場面があります。
「繁殖何頭いるんですか?」
「これぐらいかな…」
「餌いくらですか?」
「だいたいこれぐらいかな…」
佐々木は笑いながら、でもハッキリ言います。
“だいたいじゃ困る”
この一言は、責めているんじゃない。
現場の未来を守るための言葉です。
数字が分かれば、経費が見える。
経費が見えれば、利益が見える。
利益が見えれば、次の一手が打てる。
一次産業は、複雑で、でも可能性がある。
「生きていればお金になる」
その言葉の重みは、現場を知っている人にしか言えないと思いました。
TAPは、現場の“当たり前”を、言語化して残していく
この業界は、長く続いているのに、マニュアルが少ない。
だから面白い。
でも、だからつまづく。
だったら、誰でも扱えるように“見える化”したい。
佐々木が現役時代にこだわったのは、その思想でした。
そして今、その思想をYouTubeで続けています。
現場の人にとっては「当たり前」でも、
次の世代にとっては「宝物」になる知恵がある。
TAPは、それを言葉にして残していきます。
終わりに
もし動画を見て「このテーマも話してほしい」があれば、ぜひコメントでも直接でも送ってください。
“どこが分からないのか”を教えてもらえることが、僕らにとって一番のヒントになります。
次回も、ちゃんと濃い話をします。
(たまには、ちょっと薄い話もしながら)