約半数をリファラルで採用するSalesforceの成果を支える「コアバリュー採用」とは|共感採用はなぜ必要か vol.02【Event Report】

世界シェアNo.1の顧客管理(CRM)・営業支援ツール(SFA)を提供するセールスフォース・ドットコム(以下、Salesforce)は、毎年20%以上の売上拡大を続ける注目の成長企業です。直近ではコミュニケーションツールSlackを買収して話題になりました。

「共感採用はなぜ必要か」の第2回となる今回は、Salesforceのリクルーティング シニアマネジャーである佐田浩一氏をお招きして、リファラル採用を中心に会社の拡大を担う同社の採用戦略・手法についてお話を伺いました。

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株式会社セールスフォース・ドットコム
佐田浩一 氏

2012年 株式会社セールスフォース・ドットコムに営業担当リクルーターとして入社。現在は、営業及び営業関連部門の採用のマネジメントを担当する他にブランディングなども担う。エージェント、企業人事にてIТ+採用領域では約20年のキャリアがある。

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採用規模が拡大し続ける中でリファラル採用を維持する採用体制とは

ーー本日はよろしくお願いいたします。まず、Salesforce(日本法人)の採用規模からお話を伺いたいと思います。

佐田浩一氏(以下略) : 従業員数は2021年1月末時点で2,700人ですが、ここ数年は毎年数百人規模の採用をしており、会社の拡大と共に年々採用人数は増えています。採用手法はリファラル採用とダイレクトリクルーティングが中心で、一番少ないのがエージェント経由の採用。私の入社した2012年当時はエージェント経由がメインでしたが、現在は約半数がリファラル採用になっています。

ーーそれだけの数をリファラルで採用するのがまず驚きなのですが、どのような採用体制になっているのですか?

Employee Successチーム(人事)にリクルーティングチームは属していますが、リクルーターは他の人事業務は行わず採用活動に専念しています。体制は以下のようになっています。

この中でもっとも多いのは私たちリクルーターです。一人ひとりが四半期ごとで定められた採用目標を達成すべく活動をしています。また「ソーサー」は各採用媒体から見込み候補者を発掘します。リクルーティングチームの中のインサイドセールスのような役割です。加えて現在力を入れているのが社内キャリア開発の「インターナルリクルーター」。こちらは社員が自分の意志でキャリアを開拓する社内公募制度を促進するリクルーターになります。

ーー社内の職種で採用に苦労されているポジションはどこになるのでしょうか?

やはり営業職ですね。主な理由は採用しなければいけない数が多いからです。弊社の現在の成長水準を維持するために営業リソースの拡充が急務で、かなり多くの人数を採用しなければなりません。その上、弊社のコアバリューにフィットする人材でなければならない…。だからこその苦労があります。

リファラル採用のペースの維持を可能にした3つの取り組み

ーー事前の取材から、Salesforceのリファラル採用が上手く行っている理由を、3つのトピックスにまとめさせていただきました。ここからはそれぞれについてお話を伺いたいと思います。

1. コアバリューに沿った人材の採用

ーー「コアバリューにフィットした人材」はSalesforceの採用のもっともベーシックな方針と言ってよいのでしょうか?

はい。弊社には創業以来、大事にしているコアバリュー(会社のベースとなる価値観)があり、それにフィットする人を採用するのが大原則です。理想論かもしれませんが「この人はこのスキルがあるから」といった理由のみで採用すると長続きしませんし、社員のエンゲージメントも低くなってしまう。

コアバリューに共感してくれる人材を採用し続けると、バリューに合った人材が入社し、入社した社員がリファラルでバリューに合う人材を連れてきてくれるといったプラスの連鎖も生まれます。結果的に「同じ価値観・志を共にする人たちと働く心地よい職場環境」が整ってくるんです。

ーーひと口に言うのは難しいでしょうが、Salesforceのコアバリューはどのようなものでしょうか?

弊社ビジネスにおけるコアバリューが4つあり、「信頼」「カスタマーサクセス」「イノベーション」「平等」です。

私たちは、お客様をはじめとする関係者から、会社としても人としても「信頼」していただくことを大切にしています。その関係を通じてお客様に変革をもたらすような「カスタマーサクセス」を実現したいと考えています。「イノベーション」は製品も、ビジネスモデルも現状に満足せずに、変革しようということ。「平等」はジェンダー、LGBT、障がい者、マイノリティーのアライ(連帯者)であることを表明して、より平等で多様性を受け入れる世界、職場環境の実現のために努力することです。

このような価値観に共感してもらえる人材に入社していただくことで、エンゲージメントの高い職場環境になり、リファラル採用の良い循環も生まれると考えています。

ーー実際的な話になるのですが、面接で候補者がバリューフィットしているかどうかは、どう見極めているのでしょうか?

コアバリューに沿った形のインタビュー項目(コンピテンシー)がセットされているので、ある程度の見極めができると思っています。とはいえ、すべての候補者に同じことを聞くわけではなく、職種や人によって聞くことの違いはあります。

ーー面接におけるスキルとバリューの質問配分はどのように決めていますか?

とくに決めているわけではありませんが、私自身は、6割が経験・スキルで、4割がバリューくらいの配分が適当ではないかと考えています。

ーー入社後にバリューが本当にフィットしているかどうかの見極めは、どのように行われているんでしょうか?

入社後はV2MOMというビジョンと目標を明確化する仕組みがあり、コアバリューに沿った形で個々人の目標設定に落とし込んでいきます。したがって、自分自身がフィットしているかどうかは割と可視化しやすいと言えます。業務をストレスなくこなせて目標が達成できれば、その人はコアバリューを体現できていると判断できます。

業務が上手くいかないケースには2つのパターンがあり、1つは単に成果が出せていないケース。これは時間をかけて育成すれば変わっていきます。もう1つは、会社のバリューに合わない場合で、これは何ともしがたい。だからこそ採用時にコアバリューにフィットしているかの判断を大切にしています。

2. エンプロイージャーニーに沿った呼びかけ

ーー「エンプロイージャーニーに沿った呼びかけ」とはどういうものでしょうか?

一言でいうと、採用前から入社後活躍するまでのオンボーディングプロセスに沿った形で、各フェーズに合わせた社員に対するアプローチを行うものです。

具体的には、入社2週間前からエンプロイージャーニーがスタートします。入社前にウェルカムメッセージ、入社後に「おめでとう」のメールを送り、入社1ヶ月後には社員紹介を依頼するメールを送っています。もちろん私たちリクルーターからも入社早々新入社員にリファラル採用の声掛けを行っています。入社後の熱い気持ちのうちに、いっしょに働きたい人はいませんかと問いかけるのです。

入社1年後には、転職クチコミサイトへの入力依頼も行っています。その頃には「会社にとって採用が重要だ」と自部門のマネージャーやリクルーターから何度も聞かされているので、「自分も協力しなくては」という気持ちになっていると思います。リファラル採用で一番重要なのはこの気持ちです。

ーーエンゲージメントの向上とリファラル採用は密接な関係があるのでしょうか?

エンゲージメントあってのリファラル採用だと思います。事実、エンゲージメントが高く、上手くいっているチームほど、リファラル採用にも熱心で結果を出しています。

エンゲージメントを高めるために役立っていることの1つに、弊社のセレブレーション文化があると思います。私は来年入社10年になるのですが、入社10年になると「KOA club」というメンバーになり、長期に渡る貢献に対し、グローバルのエグゼクティブが労いをしてくれるセレモニーに招待されます。現在はコロナ禍でオンライン開催となっていますが。いずれにせよ、働くモチベーションを高める取り組みを会社が作り出してくれていると感じています。

3. 事業部の巻き込み

ーー事前にいただいた質問でとても多かったのが「事業部を巻き込んだ採用活動をどう実現するか」でした。Salesforceはこの点がとくに強いという印象ですが、いかがでしょうか?

私が入社した9年前に最初にびっくりしたのがこの点です。こんなにも採用が事業部と密接しているのかと。担当する営業本部の週次で行われる売上会議の最初の議題に「採用」があり、数名のVPの前で毎週採用状況の報告が必要でした。当然進捗が良くないと怒られることもあったのですが、それだけ経営幹部も採用に本気であることが伺えると思います。ただ思い返すと入社当初は採用に関して事業部を巻き込むというより、事業部に巻き込まれる感覚だったかもしれませんね。

売上をはじめとする事業の目標を達成するには、人材の採用が必要です。こちらは当然のことかもしれませんが、弊社では「採用することが前提の予算目標の設定」が行われています。つまり、ビジネスの目標から逆算して採用人数が決まるため、必然的に採用を意識しないリーダーはあり得ない。弊社では先ほど申し上げた全社員の「V2MOM」が公開されますが、採用に本気なリーダーの目標の中には当然、採用目標が含まれています。つまりそのリーダーの目標がリクルーターの目標になるので、協力関係が生まれざるを得ないわけです。

弊社CEOのマーク・ベニオフが毎日確認している数値は、「売上」「解約率」「採用」の3つと聞きます。これは当然日本のリーダーたちも同様で、ビジネスリーダーからリクルーターに「何かできることはないか」と言ってくるほど環境、土壌ができていると言ってよいと思います。

ーー採用チームと事業部が切り離されている会社は、まずどこから事業部の巻き込みを図ったらよいのでしょうか?

採用目標があるとしたら、それがどのように決まった数字なのか、ロジックを明らかにすることがまず必要だと思います。「なぜそれだけの人数が必要なのか」が明確になれば、その上で「リーダーが動かなければ、採用目標も達成できない」といったことを膝詰で議論すべきではないでしょうか。それでもリーダーが動かないとすると「そもそも本当にその人数が必要なのですか?」という話になってくると思います。

ーーリファラル採用で紹介される候補者は転職潜在層になりますが、どのような対応を行っていますか?

紹介いただく方の大半は転職を検討している段階にいないため、リファラル採用を主要な採用戦略にしてはいけないと思います。目標を高く立てすぎても難しいです。トレーニングと同じですぐに結果が出るわけでもなく、地道にやり続けることが必要だと思います。1、2年時間をかけて施策を行い社員に周知をし、タイミングがあった時に紹介を行ってもらうために活動をし続けることが大事ですね。

ーーリファラル採用において、参考になる話をたくさんお聞きできて大変有意義な時間でした。本日は貴重なお話をありがとうございました。

時代の変化に伴い、採用への考え方はアップデートしていく必要があります。
以下の記事では、これからの採用に必要な基本的な考え方や、採用のトレンドについてわかりやすくまとめています。

「採用がうまくいかない」とお悩みの方は、採用への考え方をアップデートすることで、自社にマッチした人材の採用に繋がるでしょう。

【採用の新常識】上手くいかない採用から脱却するために必要な考え方
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