グローバルで通じるPdMになるために 大企業からスタートアップへ |Career Insight〜求職者の心理〜 #2 食べチョクPdM 信太紀子氏

SaaSを開発・提供しているようなスタートアップでは見られるようになりましたが、日本の企業においてはまだまだニッチな職種が、プロダクトマネージャー(PdM)です。実際、人材も乏しいと聞きます。

Wantedlyを活用してスタートアップに転職し、現在も活躍する方々の転職体験にフォーカスし、採用活動のヒントを探っていく本企画。第2回目は食べチョクを運営するビビッドガーデンでPdMをされている信太紀子氏にインタビューを実施。これまでのキャリア、転職の際に意識してきたポイント、意思決定の肝、これからのキャリアなどを伺いました。

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株式会社 ビビッドガーデン
PdM
信太紀子

2012年新卒でソニー株式会社にソフトウェアエンジニアとして入社。その後、Sony Interactive Entertainmentへ異動し、PlayStation 4、PlayStation 5のPdMを務める。(3年間はSan Francisco Office にて勤務) 2021年3月、株式会社ビビッドガーデンに一人目のPdMとして入社し、現在に至る。

PdMとしてシリコンバレーでグローバルを体感

食ベチョク 採用

――本日はよろしくお願いします。まずは、信太さんのこれまでのキャリアについて、聞かせてもらえますか。

グローバルビジネスに興味があったこともあり、新卒でソニーに入社しました。しかし配属されたのは、カメラで撮影した画像をクラウドで整理するアプリを制作する部署。海外との関わりはほぼありませんでした。自分が理想とする仕事内容とは違っていましたが、グローバルビジネスへの思いを抱きながら働き、その後社内の異動制度を活用。2年後にはPlayStationの商品企画を担当するグループ会社に移ることができました。

国内で2年間働いたのち、念願が叶いシリコンバレーのオフィスに赴任し、グローバルビジネスに関わるようになります。

――PlayStationは世界中にユーザーがいますし、まさにグローバルなプロダクトに関わるチャンスを掴んだのですね。職種や具体的な業務についても教えてもらえますか。

ソニー入社時はソフトウェアエンジニアでしたが、PlayStationの事業に移ってからは、プロダクトマネージャー(PdM)を担当していました。マーケター、デザイナー、エンジニアと協力しながら、クラウドゲーミングに必要な各種機能を企画・開発・実装していきます。たとえば、世界中何百万人ものプレイヤーと同時にゲームを楽しめたり、コミュニケーションを充実させるような機能です。

目標達成のために会社を辞め、次のステージへ進む

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――実際にグローバルビジネスに携わってみてどうでしたか。

人生が変わるような、大きな経験を得ました。というのも、シリコンバレーに行くまでの私は、自分のキャリアについて、それほど深く考えていないタイプでした。言ってみれば、ソニーという大企業にいるから、安心安泰だろうといったマインドです。ところが現地で出会ったメンバーの多くは、キャリアについて明確な指標や考えを持っていました。

――それはどのような考えですか。

彼ら・彼女らは、転職やキャリアチェンジが当たり前であり、会社は自分の人生を幸せにするため・目標を達成するための場所である、言い方を変えれば、会社は利用するものだと。会社のために働くという、日本人の多くに見られるマインドとは真逆でした。

実際、キャリアや目標を達成できたら、あっさりと次のステージ、つまり、別の会社に転職していく。そんなメンバーから見たら、新卒で5年もソニーにいる私は、稀有な存在に映ったのでしょう。実際「ノリ(ニックネーム)はよほど大きな目標があるからソニーに5年もいるんだね」と、言われましたからね(笑)。

――同僚の言葉を受けて、次第に信太さんもそのようなマインドにシフトしていったのですね。

ええ。そこから、あらためて私がソニーで達成すべき2つの目標を掲げ、それらを成し遂げることができたらこの環境を離れ、次のステージへ進むことを決めました。1つ目は、ゼロから新しいプロダクトを開発し、ローンチまで達成すること。2つ目は、まさにPdMの役割になるのですが、チームメンバーをしっかりとマネジメントすることです。

国内でマネジメントをしていたときは、多くのメンバーが日本人だったため、それほど苦労しませんでした。ところがシリコンバレーに来てからは、私が望んでいた環境でもあったのですが、まさにグローバル。国籍や文化、思想など、多様なメンバーがいるため、かなり苦労しましたね。

――シリコンバレーでの仕事は日本で働いていた時とは大きく違うようですが、とくに苦労したところを教えてください。

日本では考えられないことですが、私の提案に納得しないと、まったく仕事をしなかったり、とにかく意見をぶつけてくるメンバーがいました。また、私の言ったことに納得がいかないと上司に掛け合い、私をチームから外すか、それとも自分を外すのか、どちらか決めてくれというメンバーもいました。それぐらい皆、自己主張が強いんです。

そして実際、辞めていくメンバーもいました。ですからもう、とにかく面と向かって対話を続け、どこが納得いかないかを聞き出すようなマネジメントを、ひたすら毎日繰り返すような環境でした。ときにはホワイトボートやPlayStationの実機を使って説明したり、時間と根気をかけ、何とかチームがまとまるような努力を続けました。

そのような環境に揉まれていくうちに、「これがグローバルスタンダードなんだ」と腹落ちすると共に、アメリカに渡った意味があったと実感しました。

転職の絶対条件はPdMとしてのキャリアが築けること

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――ソニーでの目標を設定してから、どのように転職活動を行っていったのですか。

はい。在職中から人事の友人などに相談し、アドバイスをもらっていました。また、キャリアやスキルなどを記載したレジュメを、転職活動を本格的に始めたらすぐに使えるよう、適宜ブラッシュアップしていました。向こうでの転職活動のスタンダードであるLinkedInにも、登録していましたね。

時間が空いているときには、Google、Twitter、Facebookといった、シリコンバレーのメガベンチャーの募集要項などもチェックしていました。ただ自分の望むジョブタイトル(職種)のジョブディスクリプションを見ると、その多くが「master’s degree is required」。つまり、大学院卒の修士号が必要でした。

私は学部卒だったので、あらためてビジネスをアカデミックな観点から学び、望むジョブタイトルを手に入れるため、2019年8月に帰国。2020年4月から早稲田大学のMBA(経営学修士)に入学しました(現在も在学中)。

そして、2020年11月、当時関わっていたプロジェクトであるPlaySation5がローンチ。ここで掲げていた2つの目標を達成したこともあり、達成感と次のステージを考え始め、転職活動に本腰を入れるようになりました。

――日本で転職活動をするにあたり、まずはどのようなアクションをしましたか。

まずはあらためて、これからの進むべきキャリアを考えました。具体的には、「ゲーム」「PdM」どちらのキャリアを取るのか、伸ばすのか、ということです。この2つを失うと自分のこれまでのキャリアを活かせなくなってしまう。私は仕事以外でそれほど「ゲーム」を熱心にプレイするほうではなく、この業界にずっといたいわけでもなかったので、結果として、PdMのキャリアを伸ばしていこうと決めました。

もうひとつ、これまでは大企業で、グローバルなプロダクトに携わってきたため、実際に自分のやるべき仕事の範疇は、かなり限定されていました。そこで次のステージではより幅広い業務に携わろうと。つまり大企業ではなく、スタートアップ・ベンチャーがいいだろうと。そこでスタートアップを中心に、PdMのジョブタイトルで採用をオープンにしている企業を調べ、候補を絞っていきました。

――選考を受けた企業はどのように探していったのでしょうか。転職サービスなどに登録したのですか。

いえ、地道にGoogleで気になる企業名を検索し、各採用ページから自分に適したポジションの求人を探していきました。いわゆる大手の転職支援サービスに登録すると、自分が望まない企業からも、多くのスカウトメールなどの案内が送られていることを知っていたので。たくさんの中から自分が興味ある企業を見つけるよりも、自分から興味がある企業に応募したかったんです。

――なるほど。意図しない案内を受けることで、転職活動が遠回りになってしまうこともあります。候補を絞っていくなかで条件面など、絶対に譲れないポイントはありましたか。

繰り返しになりますが、PdMのキャリアが明確に築ける環境であること。それでいながら、これまで経験してこなかったような業務も担えること。Wantedlyに登録したのも、スタートアップが多く掲載されているからです。

候補に挙げた企業は20社近くあったのですが、面談を重ねていくうちに、自分が理想とする職場はかなり絞られていきました。理由は、日本ではまだまだPdMのポジションが正確に浸透していないことでした。ジョブタイトルとしては確かにPdMで募集しているのですが、実際に面談で詳しく聞いていくと、PM(プロジェクトマネージャー)業務であったり、PO(プロダクトオーナー)よりの業務だったり、あるいはエンジニア業務に近いなど、私がこれまでキャリアを重ねてきたPdMとは、乖離する会社が少なくなかったからです。

――ビビッドガーデンさんの募集はどうやって見つけたのでしょうか。

実は以前から、社会問題解決につながる興味のあるビジネスを手がけていると気になっていたんです。実際、食べチョクのユーザーでもあったので、「食べチョク 採用」で検索したところ「PdM募集」とWantedlyで募集が掲載されていたため、応募に至りました。

プロダクトに対する愛や情熱に溢れるメンバーの存在が入社の決め手

食ベチョク 採用

――興味あるサービスであったことも影響していると思いますが、最終的にビビッドガーデンさんに入社を決めたポイントはどこだったのでしょう。

いくつかあります。まずはPdMとしてキャリアを築けるかどうか。言い方を変えると、私がこれまで行ってきたグローバルスタンダードなPdMの業務ができるか、という点です。

この点においては、カジュアル面談も含め4度の面接を繰り返す中で、実際にチームのメンバーとなる、エンジニア、マーケター、さらには代表まで。多くの人とコミュニケーションする中で、会社ならびに各人がPdMに求めている役割が一致していることが分かりました。さらに、私の果たすべき役割とも合致していたので、ミスマッチが起こらないだろうとの結論に至りました。

また、私が入社する前までPdMがいなかったことも大きかったですね。必要とされている、これまで培ってきた経験を存分に提供できる、求められている場だと感じました。

面談や面接だけでなく体験入社もしたのですが、それらのフローで、あるポイントに注目していました。それは、そこで働く社員の方の価値観です。具体的には、これから一緒に働く仲間として、フィーリングがマッチするかどうか、という点に着目していました。

実際に話してみると、ビビッドガーデンのメンバー全員から、食べチョクや生産者に対する愛や想い入れが伝わってきました。それらは私も同じくプロダクト開発で重要視しているポイントでしたから、この人たちと一緒ならいい仕事ができる。そう思いました。

面談が終わる度に、人事担当の方が心のこもったメッセージを当日すぐに送ってくれたのも、好印象でしたね。多くの企業はお決まりのテンプレートでしたし、それが当たり前だとも思っていたので。

――選考中に受け取ったメッセージはどんな内容だったのですか。またどのあたりに、心がこもっていたと感じたのでしょう。

嬉しかったのは、メッセージが私に向けたパーソナルなものだったことです。信太さんがビビッドガーデンでやってみたいことについてこの点でよく理解できた面談でした」とか「信太さんのキャリアのこの部分が、当社で活かせると考えています」といった、その日の面談内容の感想を具体的に送っていただいたんです。

また、これは後から聞いた話ですが、ビビッドガーデンの人事担当は一人ひとりの応募者にテンプレートを使うことなく、オリジナルのメッセージを作成しているそうです。そして必ず、面談の当日に送っていると。真剣に向き合っていただいているのは、面談やメッセージを通してひしひしと伝わってきました。

――逆に、入社を悩んだポイントはありましたか。

そうですね。正直に話すと、給与で悩みました。他にも内定をもらった企業はいくつかありましたが、はるかに高額な条件を提示してくださった、外資系企業などもあったからです。ただやはり自分としては、キャリアアップを優先したい。このようなことを総合した結果、ビビッドガーデンに入社しようと決めました。

――他社の採用フローや担当者とのコミュニケーションなどで、違和感を覚えたことがありましたら、参考までに教えていただけますか。

どこの企業も真摯に向き合っていただきましたが、強いてあげるとするならば、専門的なスキルが必要にも関わらず、ジョブディスクリプションでは明確にしておらず、面接の最終段階まで進んでから、課題などで必要になってくる企業が何社かありました。できれば最初の段階で、明示してくれるとありがたいと感じましたね。

目標はグローバルに活躍するPdMに成長すること

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――本日はありがとうございました。さいごに、今後の目標などを聞かせてもらえますか。

まずはビビッドガーデンのPdMとして、食べチョクを安定、そして成長させることが、現時点での一番の目標です。2021年3月に入社したばかりなので、現状の確認をしつつ、改善できるところから取り組んでいる段階です。

その先の目標としては、先ほど説明したように、ビビッドガーデンで達成すべき目標は何のかを、明確にしていくことです。

――今後、MBAを取得することで働く場所や仕事の可能性も広がっていくかと思いますが、日本を飛び出して挑戦することに興味はありますか?

そうですね。興味はあります。ただシリコンバレーやアメリカに固執しているというわけではありません。さまざまなグローバルビジネスに携わることで、多くの経験を積む。その結果、どのような課題にぶつかっても乗り越えられるような。そんな一人前のPdMになっていくのが目標です。

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