最小人数で1兆円企業を目指す組織づくり|#10 RevComm 代表取締役會田武史氏

スタートアップに必要な「採用・組織づくり」のポイントについて河合聡一郎氏と探求する連載。今回は、音声解析AI電話、MiiTel(ミーテル)を提供する株式会社RevComm代表取締役の會田武史氏です。2017年に創業してから1年でプロダクトを完成させ、リモートOK・フレックスでの組織づくりを行っているそう。組織作りの秘訣について、河合聡一郎氏が聞いていきます

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スタートアップの最適な採用方法

スタートアップ企業において、採用は非常に重要なミッションです。そして、会社のフェーズによって、適切な採用手法は変わるもの。成長フェーズに合わせた採用ができるかどうかで、採用成功の確率は大きく変わってきます。

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株式会社RevComm
代表取締役
會田武史氏

三菱商事株式会社に入社し、自動車のトレーディング、海外市場での販売/マーケティング施策の企画・立案・実行、クロスボーダーの投資案件・新会社設立、政府向け大口入札案件、M&A案件等に従事。2017年7月に株式会社RevCommを設立。

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小4で「起業する」と決め「やること探し」に没頭

revcomm 採用 会田

河合聡一郎氏(以下、河合):本日はよろしくお願いいたします。個人的に対談を非常に楽しみにしておりました。會田さんは三菱商事を経て株式会社RevCommを創業されています。そもそも最初のキャリアに三菱商事を選んだ理由や、どうして起業を志したのかをお伺いしてもよろしいでしょうか?

會田武史氏(以下、會田):私が「起業する」と決めたのは小学校4年生のときです。父や祖父は文房具の会社を経営していました。もちろん、2人をリスペクトしていたのですが、小4にもなると自我が芽生えて反骨心も生まれ「同じ分野で父と祖父を超えてやる。自分でオーナーシップを持ってビジネスを行い、日本を世界に発信する」と思ったのです。

「起業する」と決めてからずっと「何を通じてビジネスをするのか」を探していました。転機になったのが大学時代にアメリカに留学したとき。2008年にリーマンショックが起き、マクロ経済がズタボロのなか、ルームメイトが起業して「言わんこっちゃない」とばかりに失敗したんです。でも、めげずに「次、何しようかな」と言ってのけた。彼のその一言が私に取っては衝撃的すぎて(笑)。私も「やりたいことが見つからない」と言ってないでとにかく挑戦しようと。そこから、NPOプロジェクトや社団法人、学生団体を立ち上げに挑戦しました。

その頃にビズリーチ(現ビジョナル代表)の南壮一郎さんやfreeeの佐々木大輔さんに出会い、アドバイスをお願いしていましたね。南さんからは「タイムマシン経営でアメリカのモデルを持ってくればいい」と聞き、不動産や中古車のCtoCサービスを調べていました。でも同時に「起業は燃えるような熱意がないと失敗するな」と直感的に思ったので、燃えるような熱意を持てる領域を探そうと一度就職活動をすることに。そこで三菱商事に入社を決めたんです。

河合:なるほど。起業までのステップが非常に独特で面白いです。まずは「起業の意思決定」からマインドセットの持ち方を知り、ビジネスの見つけ方を学ばれたのですね。何より、南さんや佐々木さんといった素晴らしいスタートアップの経営者が近くにいらっしゃるのは、非常に稀有だなと思います。その中で、就活で向き合いながら「何をやりたいのか」を自問自答されていたんですね。最終的に、どうやって起業の分野を選んだのでしょうか?

會田:忘れもしません。三菱商事に入社して6年目のウクライナ駐在中にふとこの先を想像しました。30年後に人生を振り返って、起業をしなかったら「あれ、なんであのとき挑戦しなかったんだろう」と心に黒い穴が空くと思ったのです。この感覚は大学生の頃にルームメイトの言葉で衝撃を受けた以来のこと。「何も進歩していない」と思い、あらためて起業の軸を考えはじめました。

起業を考える上でこの先、テクノロジーの発展は外せません。ですから、「3~5年後に来るテクノロジー」と「日々自分が苦痛に感じること」の2軸で起業する領域を考えました。前者の「テクノロジー」では「量子コンピュータ」「ブロックチェーン」「ディープラーニング」の3つを思いつきました。

revcomm 採用 会田

會田:「量子コンピュータ」は面白いのですが、市場はまだまだでデファクトスタンダード(事実上の標準基準)が決まるのは、まだ数年先です。挑戦する領域としては少し早い。

「ブロックチェーン」はいわばオンライン台帳でパラダイムシフトを起こすような要素技術です。でも、仮想通貨ではトランザクションを確認するマイナーが「なぜ確認してくれるか」と言えば、「仮想通貨の値上がり期待」があるからです。ブロックチェーンを用いて個人情報を管理する際、マイナーたちに「どうインセンティブを設計すればいいのか」は相当難しい課題。「金融庁の規制の中で、金融機関や社会構造をも巻き込まなければいけない」と思ったのです。

そして「ディープラーニング」の領域。実際に世に出ているサービスは、要素技術を超えて応用技術に入っています。応用技術に入ったときに何が重要か。それは「データ」です。もはや2010年代後半からデータ取得合戦に入っているので、私には詰将棋に見え「戦略を考えられれば勝てる」と思ったのです。

そして、自分が苦痛に感じていたのは「高いコミュニケーションコスト」です。日本社会では「何を言ったか」ではなく「誰が言ったか」で物事を決定する節があり、極めて生産性が落ちている。生産性が高いコミュニケーションをAIで解析して、営業時の成約率向上や解約率、教育コストの低下を目指す。このアイディアが音声解析AI電話、MiiTel(ミーテル)に繋がります。

revcomm 採用 会田

エンジニアは4つのタイプを見極めて採用

revcomm 採用 会田

河合:軸を決めて、事業領域を決められたんですね。それらの思考プロセスも非常にロジカルです。そうしてスタートされた会社において、最初の仲間集めや組織づくりはどのように行ったのでしょうか?

會田:当初は「気合と根性」でエンジニアに会いまくっていました。エンジニア交流会やFacebook、LinkedInで「いいね」を押し、「人を紹介してください」と頼み込む。でも、これはやっぱり効率が悪かったです。

効率が良かったのは「ダイレクトリクルーティング」です。実際、ダイレクトリクルーティングを活用しはじめて3ヶ月間で創業エンジニア3人を採用。2017年11月中旬からプロダクト開発に着手して、2018年2月にはα版ができ、5社に使ってもらいながらヒアリングをかけブラッシュアップしていきました。そして2018年7月にβ版、10月に正式版をリリースしました。

河合:創業時から経営者が採用にコミットして、何より活動量を担保されているスタンスは素晴らしいですよね。ダイレクトリクルーティングで3か月で3名のエンジニアの採用も見事です。とはいえ、會田さんご自身はエンジニアの経験もエンジニア採用も経験がありませんよね。必要となるエンジニアの定義や、バックグラウンドをどのように見極めたり、口説いたりされていたのですか?

會田:それはビズリーチ(現ビジョナル)CTO竹内真さんのアドバイスが効きました。「エンジニア採用ってどうしたらいいんですか?」と聞いたら、「エンジニアには4タイプがある。アルゴリズムに強い人、アーキテクチャに強い人、アプリケーションに強い人、マネジメントに強い人」と教えてくれました。

revcomm 採用 会田

會田:よくある間違いは、声の大きいアプリケーションエンジニアを雇ってシステム的に良くないものが出来上がること。すなわち、プロダクト作りをマンション建設にたとえた場合、アプリケーションエンジニアがいれば、リーフレットを作ったり外観を格好良くして見た目の良いものができます。しかし、入居してから「シャワーの水が出ない。水の配管を考えていなかった」というトラブルが起きる。まずは、「アーキテクト(設計)ができるエンジニアを探す。なおかつ、マネジメントに強いエンジニアはCTO候補です」とアドバイスしてくれました。

そして、実際にエンジニアを見極める方法も明快でした。面談のなかで「こんなプロダクトを作りたいんですけど、アーキテクチャはどうすればいいですか?」と聞いたとき「すぐにホワイトボードにアーキテクチャを書きながら構想を話せる方が創業エンジニアとして必要な人材」とのこと。

実際、RevCommCTOの平村は、面談で事業構想の話をしたら、可動式のホワイトボードに設計図を書き出して「ここはこうすれば〜」と話してくれました。彼は当時アクセンチュアに在籍してマネージャーとして評価もされていたので、最初は業務委託で開発をお願いし、8か月後に正式にCTOとして入社しました。

スタートアップなのに、フルリモートとフレックスOKな組織づくり

河合:創業期のエンジニア採用に苦戦している経営者にとって、竹内さんからのアドバイスは採用をする順番も含めて非常に勉強になりますね。わかりやすく見極めるためのポイントも綺麗に整理されています。そうして、事業・組織づくりに取り組まれていく中で、会社・組織の拡大を考えはじめたのはいつからだったのでしょうか?

會田:創業当時から「エンジニア」「マーケティング」「セールス」の順番で必要になると思っており、順次採用していきました。マーケティングはインバウンドマーケティングが重要だと思っていたため、プロダクトローンチ前から採用していました。セールスが入社したのは2018年秋の正式ローンチ後です。

やはり、先を行く経営者の皆さん「採用が大事。気合と根性」とおっしゃいますよね。私もそう思います。ただ、採用の成功体験はマクロな状況やその方の特性などによって変わります。逆に失敗の体験は一般化されている場合が多いため、先輩経営者には「何をやったら駄目ですか」と聞いていました。

河合:野球の故野村克也監督の言葉「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」ではありませんが、おっしゃる通り、成功自体はさまざまな変数があります。失敗自体は、やはりある意味で再現性がありますものね。「このタイミングでこれはやらなくて良い」「これは必ず対処しておかないと失敗に繋がる」など、先人から逆算思考で学ぶことは非常に重要だと思います。

revcomm 採用 会田

會田:とはいえ、周囲の経営者から「絶対無理、失敗する」と言われたにもかかわらず貫いたものがあります。それはフルリモートとフレックス。「スタートアップは部活動だから、みんなで集まっているのが重要。そこにカルチャーが生まれる」とアドバイスされたのですが、結局納得のいく理由がなかったんです。MiiTelの場合は、短期的に資本も人も集めて行くモデルではないので、極端なことを言えば「一度、組織づくりは失敗してもいいかな」と思っていました。

現在は、組織の在り方が変わる転換点にあると思います。昨今、組織論として「ティール組織」や「ホラクラシー」が語られ、同時に「コーチング」「ワークエンゲージメント」「1on1」などが注目を浴びています。ブロックチェーンの技術により、決済の世界は中央銀行が発行する中央集権からPeer to Peerが重要になりました。それが組織論でも同じことが起こっている。中央集権のトップダウンなマネジメントから、1on1でエンゲージメントを上げ、個々人のモチベーションを上げる経営が重要になっていく過渡期です。物理的な空間を共有せずとも一緒に働ける在り方が重要なのでフルリモートとフレックスをOKにしました。

河合:たしかにスタートアップ創業期において「カルチャーや一体感を醸成する」ためのセオリーからは外れますね。周囲から反対されながらもフルリモートとフレックスを実施して、何か問題はありませんでしたか?

會田:問題は起こらなかったですね。リモートワークにせざるを得なくなったコロナ禍の2020年以降により効果を実感しています。リモートワークするに当たっては、採用・オペレーションの両軸で工夫をしています。採用に際しては精神的に成熟し、プロフェッショナル思考もありながら、カルチャー醸成にも関与できる、フルリモート・フレックス環境にあった人材を採用するべく基準を設けています。

またオペレーションにおいても、自社サービス等を活用しながらフルリモート・フレックスであっても定量・定性面で精度高く評価・フィードバックできる工夫をしています。結果、フルリモートでも社員が安心して働ける環境となっていますし、さらには個々の社員が積極的にカルチャー醸成に関与してくれていることで、フルリモートワークの弊害を上手くカバーできています。

ただ、人数が2020年の1年間に3倍に増えたので、物理的な人と人のつながりをしっかり担保する施策は一層強化していきたいと考えています。たとえば、1か月1回の全社ミーティングのあとに親睦会を行ったり。フルリモートOKでも、みんなが集まれるオフィス空間は担保しています。

河合:場所を問わずに働き方を任せるのは、成果を重視しているという意味でもプロフェッショナルファームの働き方に親しいですね。その際、どのような基準や指針で、組織運営や意思決定、評価等を行っているのでしょうか?

會田:要素を分解すると「広報」「採用」「教育」「配置」「評価」「報酬」「労務」「文化」という8つのバリューチェーンがあります。それぞれの領域を「戦略」「企画」「マネジメント」「実行」の4つに分割した全32グリッドで見ています。

revcomm 採用 会田

會田:「評価」や「報酬」はバリューチェーンの後ろ側。「広報」「採用」をしっかりやらないといけない。弊社は構造化面接を取り入れており、「何が必要か」をすべて言語化して見極めています。もし採用後に活躍していなければ、そもそも設定した項目自体が間違っている。採用時に構造化して見ているポイントと評価・報酬制度がしっかり一致していることが重要です。それぞれ必要な項目に応じて人材を抽出しアプローチできるWantedlyのダイレクトスカウトも活用しています。

河合:このバリューチェーンも素晴らしいですね。キャディ代表である加藤勇志郎さんの「シフトレフト」の話を思い出しました。事業も成長されているので、付帯して組織において必要な機能や人数も大きく増えているのでしょうか?

會田:私は「社員数は少なければ少ないほどいい」と思っています。だから、1人当たりの付加価値相当額を増やす取り組みをして生産性を上げたい。1人当たりのMRRが5000万円になれば、100人いれば50億。年間のARRが600億になるので、100人で時価総額1兆円企業も夢ではありません。だから、RevCommの社員数を「何年以内にここまで増やしたい」とは話していません。

自分が幸せになるために他人を幸せに

revcomm 採用 会田

河合:企業においては、ファウンダーが思い描いているビジョンやミッションに紐づいて事業やValueがあると思います。そして、それらを実現・体現していく中で、組織のカルチャーができると考えているのですが、會田さんが普段大事にしている言動はありますか?

會田:「世のため人のため」ですね。私が「やりたいこと探し」をしていた高校2年生の頃に哲学書を読みふけっていたんです。「生きるとは」を考えて、結論は「人の幸せのために生きる」だったんです。

そもそも、「幸せとは?」を考えたとき、幸せの主語を定義しなければいけません。その主語は自分です。すると、「自分とは誰?」という話になります。でも、自分を考えてもわからない。近代哲学の祖デカルトは「我思う故に我あり」と語っています。あるいは仏教の般若心経では「色即是空空即是色」、自分とは何者でも無い「空」なのであると語られています。それは生物学的に見ても人間は原子の集合体なので正しいのですが、私としては「それって思考停止なんじゃないか」と思い納得できませんでした。

論理的なアプローチに限界を感じたので、観察論というアプローチに切り替えました。そのなかで「自己相対性理論」という考えを編み出します。要は、友達に接する自分、先生に接する自分、家族に接する自分は微妙に違いますよね。自己があって他己があるのではなく、自己は他己によって定義されている曖昧で相対的な存在だと気付いたのです。ですから、周りを蹴落として自分だけが幸せになるのはあり得ない。自分が幸せになるために他人を幸せにするんです。

他人を幸せにする方法はたくさんありますが、私はビジネスで世のため人のために仕組みづくりをして、その結果で自分自身も幸せになる。だから、帰するところは自分のため。私は究極の自己中なんです(笑)。

河合:非常に哲学的なアプローチで面白いですね。そして理性と感性のバランスもあり、それが組織づくりに色濃く反映されていると感じました。本日はありがとうございました。

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