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Wantedly Journal | 仕事でココロオドルってなんだろう?

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伝わらないことを覚悟する。それが分かれば自分自身と向き合える

グリー株式会社 安心・安全チームマネジャーの小木曽健が見つけたコミュニケーションの気づき

グリー株式会社

2017/02/16

炎上をはじめインターネット上で毎日のように起きるネットトラブル。起きないに越したことはないですが、ふとした拍子に起きてしまうのがネットの世界の怖いところ。では、どのように対処すればいいのか。また、どうすれば仕事を含めた自身のコミュニケーション能力を高めていけるのか――。

前回に続き、語っていただくのは学校や企業でネットトラブルについて講演をおこなっているグリー株式会社の小木曽健(おぎそ けん)さんです。

前編▶成り行きで入ったコールセンターから、年間依頼数 2,000件の話題の講演をつくるまで

炎上からは逃げられない。向き合い方が大事なポイント

小木曽さんは、インターネットとの正しい距離感を伝えるために全国津々浦々をまわっています。年間で2,000件もの講演依頼があるというほどのプロフェッショナルなだけに、炎上から逃げる方法を知っているのかと思い、質問をぶつけてみました。

「いえいえ、逃げられないんですよ、ネットで炎上を起こさないコツは前回お伝えした『玄関ドア』でOKですが、炎上させてしまった場合は向き合うことが大事なんです」

では炎上とどのように向き合えばいいのか。

「ネットの炎上は、車で人身事故を起こしてしまった時と同じように考えるんです。逃げたら確実に問題が悪化します。だから絶対に削除したり、アカウントを消したりしちゃダメなんです。それだと主導権を失い、収拾がつかなくなります。逃げずに、謝罪、説明、そして『ありがとう』です。この『ありがとう』は前回お話した、相手の意表を突いてトラブルの主導権を取り戻すことを目的としたアクションです。炎上投稿で非難していた相手から『指摘してくれてありがとう』なんて言われたらビックリしますし、叩く気が無くなりますからね」

こう語る小木曽さん。炎上の対処法はかつて従事していたコールセンター業界での経験に答えがありました。さらに具体的な話としてこんな例を挙げてくれました。

延焼を食い止める。キーワードは「笑い」

「例えば炎上させてしまった企業がおこなう謝罪リリース。謝罪する側の対応のまずさが、状況を悪化させたという例が山ほどあります。これは個人のネット炎上対応にも共通する部分です。

謝罪をおこなう側が意識すべきなのは、何に対する謝罪なのか、謝罪すべきポイントはどこか、という点です。謝罪リリースの失敗では、せっかく謝罪しているのに、そのポイントを見誤り、謝罪が世間とのギャップを生じさせて再炎上するというケースが多いんです。個人の炎上でも、謝罪したのに火に油、というパターンがよくあります。「謝罪」→「説明」→「ありがとう」の段階を踏まず初っ端からミスしているんです。またちょっと変わった炎上事例で考えると、例えば広報担当者によるSNS公式アカウントへの誤爆(間違ってプライベートな内容を投稿してしまう)などの場合は、もう一段上のレベルで対応が求められます」

もう一段上の対応。そのキーワードは「笑い」だと言います。

「いかに上手に『穏やかな笑い』に持っていくかですよね。僕は須藤元気さんが好きなんですけど、彼の言葉で『人間はコミュニケーション上で笑いが発生すると、その相手を嫌いになれなくなる』というのがあります。だから笑いというのは重要だし、僕も講演の中でも『伝える力』を強めるために、笑ってもらえるシーンを作っています。企業のまじめな公式アカウントで誤爆なんて、どれだけ恰好つけたって取り繕いようありませんから、失敗を素直に認めて、できれば上司ポジションの人が「いや、お恥ずかしい、体制見直します。担当の彼も明日から頑張るので引き続きよろしくお願いします」くらいの柔らかい対応をして、笑いを誘う、ファンを増やす、それくらいの余裕でちょうどいいんです。笑うということは、相手のことが嫌いじゃなくなるわけですからね。」

人間はコミュニケーション能力が低い

ポイントを見さだめ、機転を利かせて、延焼を食い止める。これはネット炎上に関しての対応策ですが、このような対策が必要とされるということは、まだ世の中がインターネットの特性を理解してないからなのでしょうか――。

しかし小木曽さんは「そもそも人間は誰しも、自分が思っているよりコミュニケーション能力が低いんです」と少々違う見解を示してくれました。

「よく、人間のコミュニケーション能力の素晴らしさ、なんておっしゃる方がいますけど、実は人間って情報を伝える能力、理解する能力があまり高くありません。だって、相手がいま頭の中で考えていることって、最終的にはわからないじゃないですか?それはわからなくていいからだと思うんです」

その理由をこう続けます。

「もし人間にテレパシー能力があって、お互い考えていることが相手にすべて伝わるとしたら、恐らく地球は3日で滅びるでしょう。高度なコミュニケーション能力は弊害をもたらします。だから私たちに本来“ほどほど”のコミュニケーション能力しかもっていないんです」

だからこそ、自分の発信するものに関して、伝わっていないかも、という意識をもつことが必要で、その姿勢が、“伝える工夫”や自分の慢心を戒める力にもつながり、日々の仕事を充実させているとも言えます。

仕事とは3つの幸せを得られるもの

年間2,000件もの講演依頼をすべてこなすのは難しく、「実際には300件くらいが限界で、お断りをしているケースもたくさんあるんですけど、その代わりにこういうのありますよ、とご提案できるよう、私の講演を教材化して無償で配布しています。受け取られた方がそのまま講演を再現できるキットを作ったんですよ」とのこと。

もちろん小木曽さん自身が足を運んでダイレクトに伝えられればベストなのですが、まずは一人でも多くの人にインターネットの正体を知ってもらいたいと、さまざまなアプローチで啓発活動を繰り広げている小木曽さん。全国を行脚するなど多忙な日々は続きますが、そんな小木曽さんにとって「仕事」とはどのようなものなのでしょうか。そのヒントは、貴重なオフの時間に見たテレビ番組から得たと語ります。

「ある会社の障害者雇用について取り上げたドキュメンタリーの中で、こんな言葉が出てきたんですよ。『人間の幸せは“ほめられること”、 “役に立つこと” 、 “必要とされること”、 “愛されること” の4つで得られる。つまり愛されること以外の3つの幸せは、働くことによって得られるんです』と紹介されていたんですね。ものすごく納得しました」

伝わらないという覚悟

仕事をする上で、人から認められること。いわゆる"自己承認"ですが、それが社会にとって貢献しているのならば、非常に幸せなことです。時間や予算の制約とも戦いながら、全国でネットの正体を伝え続けている小木曽さんが、仕事において一番重視していることとは何でしょうか。

「カスタマーサポートの時代でもそうでしたけど、やっぱり最後は伝わらない覚悟です。それができると、自分自身とも向き合うことができる気がします」

伝わらないことを覚悟することで、仕事に臨む心境も少し変わってくるのかもしれません。

「自分の存在理由をきちんと確認するための作業なのかもしれないですね」

話すことで人の心をつかむ。学生時代にはミュージシャンを目指していた小木曽さんが、1つの仕事に就いたことから発見したアイデンティティは、誰にでもつかめるもの。それは自らが取り組む仕事にどうやって意味づけをしていくかという大切な作業なのかもしれません。

前編▶成り行きで入ったコールセンターから、年間依頼数 2,000件の話題の講演をつくるまで

Information

11歳からの正しく怖がるインターネット: 大人もネットで失敗しなくなる本 ― 小木曽健 (著)  

本インタビューでも触れている炎上についてや、ネットを安全・安心に使うための「絶対に失敗しない方法」を詳しくイラスト入りでわかりやすく紹介。

11歳から大人まで、インターネットとうまく付き合う方法が載っています。

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