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Company

「日本の伝統工芸を元気にする」中川政七商店CDO・緒方恵さんが考える職場の一体感とエネルギー

CDOという肩書きへの決意と、中途採用者のミッションとは

2017/11/17

中川政七商店は、手績み手織りの麻織物を扱うことからはじまった創業300余年の奈良の小さな老舗企業。現在は、「日本の伝統工芸を元気にする」をビジョンに掲げ、伝統工芸品をベースにしたSPA型小売業を確立し、急成長を遂げています。

現在、中川政七商店でCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)として働く緒方 恵(おがた けい)さんに、CDOという仕事についてや、中途採用者の役割についてお話を伺いしました。前職では新卒で東急ハンズに入社し、いくつかの部署の異動を経てオムニチャネル推進部の所属に。そこでSNSの運用やデジタルマーケティング、アプリケーション開発などに携わりました。それまではデジタルについて何も知らなかったと語る緒方さん。異動してはじめてデジタルコミュニケーションを体感し、そのおもしろさにのめり込んでしまったそうです。

さて、中川政七商店は緒方さんにとって“はじめての転職”先です。一体どんな印象を持っていたのでしょうか?(2017年9月)

中川政七商店の“マーケット全体”を視野にいれたビジョンに衝撃を受けた――。

―最初の印象はどうでしたか?

「前職の頃から中川政七商店のことは知っていました。売上も成長を続けているということもあって、会社は順調なんだと思っていたんです。でも、実際に現社長の十三代 中川政七と話すと、彼は自社の売上・利益が上がったことだけでは事業を“順調”とは捉えていなかった――。彼のビジョンは『日本の工芸を元気にする』。自社の売上・利益だけでなく、工芸業界全体のマーケット、職人、その家族、地域、すべてが活性化することを目指していたんです」

現在の工芸業界はバブル崩壊後の売上の激減、職人の高齢化、後継者の減少など、たくさんの課題を抱えています。緒方さんは、自社だけでなくマーケット全体を視野に入れた十三代社長・中川政七氏の危機意識にショックとともに共感を覚え、会社が一丸となって課題を解決していく姿勢に強く興味をもったそうです。

「以前は、自分たちのお客様への満足度を向上することは考えていたけれど、マーケット全体を改善しようという視野は持っていなかったので……。さらにマーケティングの意義も時代とともに移ろいゆく中で、お金を使うなら、“社会意義のある場所に使いたい”という消費行動も増えています。いままで自分の理解が足りなかった部分が、中川政七商店でピンときたというか、社長の話を聞いて腹落ちしたんです」

中川政七商店らしさとは、一体感と風通しのよさ

中川政七商店は会社の一体感が強いと語る緒方さん。その理由に社員全員が「日本の工芸を元気にする」という共通のビジョンを見つめていることを挙げています。
そこには共通する“中川政七商店らしさ”があるそうです。

―中川政七商店に転職して、驚いた点はありますか?

「風通しのよさですね。一般論として、企業で新しいことをしようと企画を立てても、上司からリスクを理由に却下されてしまうことって多いと思うんですが、中川政七商店では一度もありません。もちろん、リスクやリソース配分の話はあるんですが、やりたいと思ったことが却下されたことがない。風通しのよさは、他社の一般的な話と比較すると別次元です。また、横のつながりやミーティングも非常に活発ですが、そこでネガティブな会議を見たことがありません。それはすごいことだと思っています」

―その理由はどこにあると思いますか?

「中川政七商店のビジョンが明確で、みんなの仕事に明確な役割があるからできることだと思います。さらにみんなが“日本の工芸を元気にしたい”と同じ方向を向いて切磋琢磨しあうので、一体感も非常に強いです。そういった意識の人が集まるのは、採用の際、社長が必ず面接から関わるので、それも関係あるのかもしれませんね」

―面接では社長が必ずいらっしゃるんですか?

「そうです。最終面接は社長が100%行います。あと人事考課にも社長はすべて出席しています。普通、人事考課にすべて出席する社長ってなかなかいないと思うんですよ(笑)。面接では、極端に中川政七商店らしくない人は採用しないという話もあるくらい、その点にこだわっているんです。たしかに、この会社には“中川政七商店らしくない”人はいません」

社長・中川政七氏は、会議など社員が集まる時間を利用して、中川政七商店の仕事の中の小さな課題が自社のビジョンに直結していることを、いつも説明するそうです。中川政七商店にある“らしさ”は、社長が先頭に立ち、社員のモチベーションを揃えることを決して怠らないからこそ発揮されるものでした。

―緒方さんの考える、“中川政七商店らしさ”を教えてください。

「例えば、弊社では接客を“接心好感”と置き換えて呼んでいます。これは『接客』という言葉単体だけでは何をするか明確ではないから、『お客様との交流で心に接し好感を得ること』と、販売員としてやるべきことを言語化しています。また、『こころば』という会社の価値観を言語化したカードを全員が持っているんですが、これも“らしさ”を形成するピースですね。中川政七商店は価値観や業務に関しての言語化を徹底して行っている会社なんです」

そんな中で、言語化できない部分もあるといいます。

「言語化できないのは空気感やノリですね。ただこれは日々の議論やコミュニケーションで統制が取れている部分です。社内では、商品の“らしさ”って、最終的には議論で決めています。社員同士がロジック部分で意見を交換した上で、『こっちの方がうちらしいよね』って、最後は感覚の一致でもって決まることが多いんです。これができるのは、これまでのクリエイティブの蓄積と日々の議論の内容をみんながインプットしていること、そして『こういうらしさがある』という空気感の共通認識ができあがっているからだと思います。ただ、僕が中川政七商店らしいかというと、ちょっと微妙になってきちゃうんですけど(笑)」

中川政七商店こころばカード

 ―ええっ! (笑)どこらへんが“らしくない”ですか?

「僕はみんなみたいに、“いい人”でも“真面目”でもないです(笑)。みんな物腰も柔らかいし、人の話を真摯に聞いて、自分には何ができるか返してくれる……。うーんと、性格が柔らかで優しくて、全部を包んでくれる……なんというかオーガニックコットンのような社員がたくさんいるんですが、僕はどちらかというと“イロモノ”なんで(笑)」

“CDO”という肩書きは、“会社のデジタル宣言”

CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)という役職で中川政七商店に入社した緒方さん。中川政七商店のCDOの役割は、一般的なCDOとは少し違うと語ります。

―CDOとしてのお仕事はどういったものなのですか?

「CDOという言葉自体がかなり新しいんですが、定義としてはデジタルを主軸にしたマーケティングの責任者であり、かつ会社全体のデジタライゼーションを主導する役職のことです。つまり、マーケティング領域においてデジタルマーケティングの立ち位置がサブ的な役割でなく、主軸として捉えられるようになった結果、CDOという役職が生まれたんです。ですので、会社でCDOをたてるということは、その会社にとってマーケティングの重み付けの変更をするという意味があるんですよ。でも、中川政七商店では“CDO”という肩書きを一般的な意味とは違う意味合いも込めているんです」

―それはどういうことですか?

中川政七商店のCDOは『これから、中川政七商店ではこれまであまりやってこなかったデジタルを超やるぞ!』という会社の意思表明のひとつ。それを会社に携わる全員に知ってもらうために、CDOという役職を作りました」

―既存組織の変更という役割りではなくて宣言という意味でしょうか?

「そうです。“中川政七商店はこれからデジタルをやります”という開国宣言。またさらに、“これからこの会社はデジタルコミュニケーションをするんだ”と他部署の社員にも感じてもらうため、『デジタルコミュニケーション部』という組織を、既存の部署を統合して作らせてもらいました。僕が中川政七商店にCDOという役職で入社して、デジタルコミュニケーション部を作ったのも『緒方という人間が、これからこの会社でデジタルをやっていくよ』という旗印のようなものなんです。部署名をデジタルコミュニケーション部に変えた理由は、部署の名前そのものが会社内では重要な周知というコミュニケーションを担うからですね。他の部署の人にも何をしているのか想像できる屋号にすることで、この部署がどんなことをしているか業務のイメージをしてもらえます。その意味でも、僕のCDOという肩書きは“会社のデジタル開国宣言”なんです」

―実務の部分では何を求められていると感じますか?

「入社したときに社長から言われていることでもありますが、僕はデジタルを持ちこむだけではなく、本質的には既存の規定の中で変わったほうがいいと思う部分を壊して、変えていく役割。これは僕だけじゃない、中途採用者全員の役割だと思います。中途採用の役割は、会社の既存の空気を読まないフリをして、“新しい風”を持ちこむこと。もちろんあまりに突飛なことはできませんが、守破離の、守・破を見守りながら、“離”を追求することが重要な役割だと思うんです。僕はCDOという肩書きをもって、デジタルを導入するという役割ですが、本質的には未知領域の開拓と革新マインドの持ち込み、啓蒙を求められていると考えています。デジタルというのは、あくまで社内に新しい風を起こすための手段でしかないですね」

―前職とは会社規模も違いますが、業務の差を感じることはありますか?

「大きな差はないです。デジタルは手段であって目的ではないので、大きな目標に向かって、みんなで進むための選択肢がひとつ増えただけだと捉えています。とは言いながらもちろん、違う会社なので文化含め日々勉強ですが、以前からいる社員の方は全員、僕の声を真摯に受け止めて、考えて応えてくれる素敵な方たちなので、とても楽しいですよ」

―入社して1年と少し経ったと思いますが、順調に進んできたんでしょうか?

「正直、まったく順調ではないです(笑)。前職であれば、パートナーとして優秀なエンジニアとか、マーケターが一緒にいたんですが、中川政七商店はデジタルが始まったばかりなので当然まだいません。よって上流から下流まで全て自分で手を動かしているので自分の本来求められている仕事に対するパフォーマンス・スピードが非常に遅いと実感しました。自分はこんなに仕事ができないやつなんだと毎日痛感しています(笑)。前職では誰かに任せることができていた領域もやらなければいけないことでイメージ通りに階段を登れていませんが、とんでもないスピードで成長してくれているメンバーもたくさんいますし、無理だと思っていたのに達成できた目標もあるので、今後は楽しみです。」

―社内のコミュニケーションの面で変化はありましたか?

「最近、やっと周りを上手に巻き込むことができるようになったんじゃないかな? 長く在籍している社員には『急に変なやつが入社してきた』じゃないですけど(笑)、そんな風に思われることがあったかもしれませんが、1年が経って完全な外様ではなくなったと思います」

―少しずつ、仲間になった感がありますか?

「はい。ただ、僕は新しい風を起こす役割なので、意図的に会社に馴染みすぎない努力も、引き続きしていきます。でもそれと同時に、誰よりも中川政七商店のファンでもあるようにありたいと思っています」

「中川政七商店らしくない、外様で変なやつ(笑)」と自分を語る緒方さんですが、広報の方は「そんなことはありません!」 と笑顔で否定をされていました。緒方さんが入社して新しく登場したデジタルという接点も長く在籍する社員に馴染んできたそうです。
後編では、人生で初めて転職をした緒方さんの仕事への考え方を中心にお話を聞いていきます。

後編▶中川政七商店への転職は、「強くてニューゲーム」。何をするかより“誰とするか”で最強のパーティーをつくりたい 

Interviewee Profiles

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緒方恵
中川政七商店 チーフ・デジタル・オフィサー
2005年東急ハンズ入社。バイヤー、VMD担当を経てWEBチームに異動。ECサイト運用から始まり、デジタルマーケティング・ソーシャルメディア・新規デジタル事業開発などを横断的に担当する何でも屋として、さまざまなWEB/デジタル施策の開発及び運用統括を担当。 2016年5月末に東急ハンズを退職し、同年8月から株式会社中川政七商店に入社。中川政七商店のWEB/デジタル領域全てを担当している。

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