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Wantedly Journal | 仕事でココロオドルってなんだろう?

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たどり着いたのは秋葉原 ―IoT開発で切り開く「自分たちが欲しい未来」

「Gatebox」のハードウェアエンジニアが語る、仕事との"運命的"な出会いとは

Gatebox株式会社

2016/02/02

お邪魔したのは、ハードウェア系スタートアップ企業の聖地『DMM.make AKIBA』にオフィスを構える、株式会社ウィンクル。世界初のホログラムコミュニケーションロボット『Gatebox』を1月18日に発表し、現在大注目の同社。今回は、その最先端技術に携わる、IoT開発1年目の儀間 匠(ぎま たくみ)さんにお話を伺ってきました。


ウィンクルは、「クレイジーメイカー」をスローガンに掲げ、クレイジーで革新的な製品を生み出すことを 志して活動するIoTスタートアップ。

発表から間もない『Gatebox』についてはもちろん、Wantedlyの利用で知り、わずか1日で決めたという同社との運命的な出会いと、"ハードウェアエンジニアとしての素質" とも言うべき少し変わった「癖」についてもお話いただきました。今後への期待にこちらまで胸が躍ります。

まずは、現在のお仕事について伺ってみました。

次元の壁を壊す「Gatebox」

儀間さんが現在手がけているプロダクト「Gatebox」。一見、コーヒーメーカーのようなその円筒形の中に現れるのは、なんと自分が愛するキャラクターです。これまで画面(モニター)が阻んでいた壁・距離を越え、キャラクターがユーザーとコミュニケーションをとるために『次元を超えて、逢いにくる。』のです。

発表直後からtwitterではトレンドワード入りを果たすなど、現在話題沸騰中の製品です。

発表まで、どのくらいの期間をかけられたのでしょうか。

「"好きなキャラクターと一緒に暮らそう" というコンセプトのもと、昨年2月頃から企画が立ち上がっていました。私が入社した5月からハードウェア開発が始まり、先日1月18日の発表となりました。内部の特殊な技術を用いた投影機工をはじめとした筐体(きょうたい)の設計から量産のディレクションまで、Gateboxのハードウェア部分はすべて、私が担当しています」

IoT開発には慣れていらっしゃるんですね。

「IoT開発は経験がなくて、インターネットと何かを繋げるデバイスの開発自体、この会社ではじめて行いました。インターネットの仕組みもあまり理解していなかったので、そこはすごく困りましたね。『IoT』という言葉も知らず「なんだそれ?」といった感じだったんです。ただ知識は全くありませんでしたが、この会社であれば面白いこと・なにか先進的なことができるんじゃないか、と思うところがありました。その直感で選んでしまったんです」


大手鉄鋼メーカーへの新卒入社

「大学時代は機械工学を専門にやっていました。その頃から、「なにか、ものを作りたい」という気持ちがありましたが、具体的になにをすればいいのか・なにを作りたいのかが自分自身ではわからなかったんです。ですから新卒入社では、ものづくりができるような大きなメーカーに入社しました」

具体的には、どんなお仕事をされていたんですか?

「鉄鋼メーカーだったので、鉄を作るための生産設備の設計や改良をしていました。期間は2年半ぐらいです。仕様やスケジュールをつくって、あとは協力会社にお願いするという流れが多かったので、実際手を動かすということはあまりなかったです」

そこから転職を考えられたのは、どうしてだったのでしょう?

「一貫して何かに取り組むことができなかったことは大きいですね。実際に手を動かして、しっかりと設計・開発していきたいなという気持ちが出てきました。そこで、アミューズメント業界のメーカーへの転職を決意したんです」


スキルの向上を実感した、遊技機開発

実際に手を動かしはじめたというわけですね。

「そうですね。そこでは、パチンコとかスロットといった遊技機を作っていました。カラクリとして中で動く、いわゆるおもちゃの部分です。有名アイドルのタイトルなどを手がけたりもしていました。設計の知識が身につく実務も多かったので、スキルが上がってきたことを自分自身で感じることができました」

転職の目的が果たせたのですね。

「はい。ただ、その会社でも1年半ほど手を動かしたあと、もっと広い分野でいろんなことをやりたいなという思いが出てきました。どこか、修行をさせてもらえるようなところはないかな、と探しはじめたんです」

「修行」ですか ? 

「はい、やはりもっと設計のスキルを上げたかったですし、遊技機だけではない他の分野でも自分のスキルを上げたいと思ったんです。そこでネットで色々と検索し、Wantedlyと出会いました。" こういったサービスがあるんだ! " と。そこで、はじめてコンタクトを取ったのがウィンクルだったんです」

当時のことを、CEOである武地さんにも伺ってみました

「弊社はハードウェアを取り扱っていますが、実は当時ハードウェアエンジニアとしてフルコミットしてくれているメンバーはいなかったんです。ずっと外部の方にお願いし、なんとか回している状態だったので、儀間からの応募が来た時には“ きたー!“ と喜びました。IoTとは違うものの、これまでもメカのお仕事をされていましたし、すごくいいなと思ったんです」


運命を感じる、ウィンクルとの出会い

そして、儀間さんは株式会社ウィンクルの門を叩きます。武地さん曰く、その時の儀間さんの印象は現在とは少し異なるものだったとか。

「1度目に会ったときは、すごくおとなしかったですね。そこは現在とは少し違います。ただ、IoTやITに詳しいわけではなかったのですが、それでも弊社の事業や実現したいことに対して非常に共感してくれて。趣味も合いましたし、週末にもオフィスに来てもらい、プロジェクトを少し手伝ってもらうことにしたんです」

その趣味とはなんでしょう?

「アニメです。社内にも好きな人が多いので、みんなでアニメ映画観賞をすることもあります。秋葉原を探索したり、どのキャラが一番好きかというのを総選挙をしたりすることもあるんです。それは、4時間ぐらい議論しました」

4時間もですか!

「アニメじゃなくても良いのですが、何か1つ熱狂的に“ これが好きなんだ!“ というものを持っている人が集まっています。儀間のように、アニメとものづくりが大好き! という人も大歓迎でした。しかし、何よりも驚いたのは翌日すぐに「入社したい」と言ってきてくれたことです」

そのときの儀間さんのお気持ちも伺ってみました。

決め手は何だったのでしょうか?

「それは、ここであれば一気通貫してものづくりに取り組むことができると直感したことです。これまでは、座組だけを作る・設計だけを行うといった携わり方で、そこを改めたかったんです。ウィンクルは、自分で座組を作って、そのあとの設計から部品の調達・量産まで全て行うことができる環境だと感じました。広くスキルを向上させたいと考えていたので、修行場所として適しています。もちろん秋葉原という土地も好きですし、アニメやキャラクターにはすごく興味があるので、1日中楽しいことに囲まれて仕事できると感じたことも大きな理由ですが」

業務も社風もすべてがフィットするなんて、直感は本物だったんですね。

「そうですね、運命的なものを感じました。特に鉄鋼メーカーでは年配の方も非常に多くて、あまり自分を出せる場ではありませんでした。ウィンクルで同じ趣味の仲間に囲まれて、ここだ!と本当に思いました」

「自分を出せる」のは、趣味に限ったことではないようです。

「あとで、「あの時言えばよかったな」といったことは思いたくないので、しっかりと意見を言うようにしていますし、それができる場所です。意見の衝突もありますが、いいものができるのであれば絶対に意見は言ったほうがいいと思っています。そういった意味でも、自分を出すことができていますね」


会社の夢が自身の夢になる

実際に入社されて、感じたことを教えてください。

「自分の想いや意思が、プロダクトにダイレクトに反映されるところが気に入っています。メーカーでは、タスクとして振られたものを処理する作業をしていたので。今は、やりたいことや作りたいものをはっきりと伝えて、みんなにいいねと言ってもらえれば、どんどん形になっていくので、そこは私にとって劇的な変化でした」

そこは、CEO武地さんもこだわっておられるポイントのよう。

「メンバーの意見の反映というのは、すごく意識していますね。まずは自分たちが楽しく作るということを大事にしているのと、あとは自分たちが本当に使いたいと思えるものを作ろうという方針でやっているので。妥協されてしまうと、結局その人はその製品を使わなくなってしまいますよね。それでは困るんです」

「スマートホームの製品って、自動でテレビがついたり部屋があったかくなったり。自動でなにかができるというものが多いんですが、ぼくはそれは少し違うんじゃないかなと思っているんです。ただ便利なだけじゃなくて、Gateboxのように、あたたかい生活につながるものがいいんじゃないかという思いがあります。そういう、ぼくらが望んでいる未来を作りたいですし、ぼくらが考えるスマートホームはこれだ! というのを見せていきたいなと思っています」

そのビジョンについて、儀間さんはどうでしょうか。

「よく、『未来』と言われて想像するのは空飛ぶ車やタイムマシンだと思うんですけど、それって自分が思い浮かべる未来じゃなくて、誰かが既に想像した未来だと思うんですよね。そういうものではなくて、自分で思い描いた未来っていうのを自分とみんなと作っていければと思っています。それが私の『やりたいこと』になりました」

「この会社には、自分の知らなかったことがすごく多くて。入社以降、IoTをメインでやっているんですが、今は本当に大きな興味を持っています。学生時代からずっと、なにを作ればいいのかがわからなかったわけですが、ウィンクルに入社して『こういうものを作りたい』『こういうことがやりたい』という具体的な夢を、この会社が描かせてくれたという感覚があるんです」

会社のビジョンが、ご自身の夢になったんですね!

「はい。本当にそうなんです」


ハードウェアエンジニアとしての素質

最後に、勉強熱心な儀間さんのその熱さがよくわかるエピソードをご紹介します。「ものづくり」の経験についてお伺いしたところ、こんな回答が。

「これまで『このハードウェアを使ってこれがしたいんだ!』っていうものがなかったこともありますが、とにかくハードウェアを作るということが好きで。たとえば、3Dプリンターを分解して、3Dプリンターを組み立てて、その3Dプリンターを使って3Dプリンターの部品を制作して、また3Dプリンターを作ったり」

目が回りそうです…

「どうやって動いてるんだろう、ということが気になるんで、買ってバラしたくなるんですよ。学生時代はバイクがすごく好きだったので、バイクの部品を作ってバイクを組み立てるんですけど、でも乗るのはあまり好きじゃない。結局、作って、置いて、見て、部屋に戻ってアニメを見ていました。はじめて分解したのは、小学校6年生のときです。親が持っていたPCを分解して、親が戻ってくるまでになんとか元に戻しました」

「自分でメモをとっているんです。たとえば、部品の強度を増すためにこういう設計しているんだろうな、といった意図を読み取りながら見ています。どんどん知見を貯めていくのが面白いですね」

ハードウェアエンジニアになるべくしてなった儀間さん。導かれるように入社したその経緯にも、運命のようなものを感じてしまいました。

今後は、製品化に向けて「Gatebox」のクオリティをさらに高めるフェーズ。採用強化につき、Wantedlyから同社オフィスに訪問すると、渾身の出来栄え「逢妻ヒカリちゃん」(Gateboxに現れるキャラクター)と対面することができる特典つきだそうです。「今後は、いろんなコンテンツ・キャラクターをもってる会社さんとコラボレーションもできればと思ってます!」とのこと。

ウィンクルの事業が見せてくれる未来が、今から待ち遠しくて仕方ありません。


Interviewee Profiles

儀間匠
株式会社ウィンクル エンジニア
1988年 大阪府堺市出身。2011年 新日鐵住金株式会社に入社し、生産機械の改良設計・管理業務を担当。その後スキル向上を目指して転職し、アミューズメント機器の設計・開発業務に従事。現在は株式会社ウィンクルにてGateboxの設計・開発から量産までのものづくりの全工程に関わり、最高の製品作りに励んでいる。
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武地実
株式会社ウィンクル 代表取締役
1988年広島県広島市出身。 2011年に大阪大学工学部とHAL大阪夜間課程グラフィックデザイン学科を卒業。(株)エムティーアイに てスマホアプリのディレクションを担当し、2013年に退職。その後複数のスタートアップで活動しつつ、ク ラウドファンディング「CAMPFIRE」にて60万円を調達して光でつながるスマホアクセサリー「AYATORI」 のプロトタイプを開発。2014年2月に(株)ウィンクルを設立し、「AYATORI」の量産・販売を行う。現在は、 デジタルなキャラクターが人々と共に暮らす世界の実現を目指し、ホログラムコミュニケーションロボット 「Gatebox」の開発に注力している。
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