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あまのじゃくな編集者が、世の中に埋もれている価値を掘り起こしていく。

周りと逆張りしていたら、いつの間にか「現代ビジネス」の編集者に

株式会社講談社

2015/10/02

今回話をうかがったのは、「現代ビジネス」の編集部で編集者として活動し、外部メディアでも数多く執筆している、佐藤慶一さん。現代ビジネスは、第一線で活躍するビジネスパーソンやマネジメント層に向けて、プロフェッショナルの分析に基づいた記事を届けるメディア。

佐藤さんは、編集部で、ライターさんが書いた記事を読者が読みやすいよう編集したり、じぶんでも企画・取材して記事を執筆したりしています。じぶんの調べたことをメモしておくために始めたブログ「メディアの輪郭」も、今ではfeedlyの購読者が約2000人、無料ニュースレターの購読者が約400人を超える人気のメディアに。

最近では、サイボウズ式と一緒に、「ぼくらのメディアはどこにある?」というメディアも立上げ、日々編集業務に追われているそう。

そんな彼に、これまでを振り返ってもらい、地元の佐渡島での生活やNPO団体、greenz.jpとの関わり、そして、ライター、編集者としてのキャリアについて、ランチを食べながらざっくばらんにお話をうかがいました。

埋もれている価値を掘り起こして届けたい

まずは、佐藤さんが大学生時代に関わっていたNPO・NGOについて。

「大学のゼミの専攻で、難民問題を勉強していて。3年生のとき、タイの難民キャンプに行ったのがきっかけで、NPO団体に幅広く関わるようになりました。それで、そもそも社会課題や解決に向けた取り組みが日本で全然認知されていないことに強い問題意識を感じて、どう伝えたらいいんだろう…って悩んでいたころに、『greenz.jp(グリーンズ)』を見つけたんです。」

greenz.jpは、”ほしい未来”をつくるためのヒントを発信するWebマガジン。”共感”を生むグッドアイデアで社会を動かした実例を日々紹介しています。当時佐藤さんが感銘を受けた記事が、ハーバード大の学生が開発した自家発電型のサッカーボール「SOccket」の記事

「『社会課題×クリエイティブ』でこんなに素敵なアイデアが生まれるのか、とびっくりして。その記事を書いた植原正太郎さんに会って話をしたことや、ソーシャルデザインという考え方(社会的な課題の解決と同時に、新たな価値を創出する画期的な仕組みをつくること)に強い関心を持ったことで、greenz.jpに参加できないかと考えるようになりました。実は一度選考で落ちてしまったんですけど、負けじと再度応募して受かって、greenz.jpのライターインターンとして活動し始めました。」

greenz.jpで、主に海外のグッドアイデアを紹介しているうちに、日本のNPO団体のボトルネックは情報発信にあるのではないか、と気づいたのだそう。

「NPO団体の情報発信と、書き手の情報発信はどこか似ている気がしていて。『これだけ時間をかけたんだから読まれるだろう』と安易に考えたり、『ここに解決しないといけない問題があるんだ!』って力説したりしても、読者にとっては何も関係ないこと。読者の日常生活とNPO団体の活動との間にある乖離を、ITやSNSを駆使して編集していくことが必要だなと感じました。」

「逆に海外では、『どうやったら読者がこっちを向いてくれるか』を本気で考えていて。たとえばフェアトレード商品だったら、どうやって製造されていくのか、誰がつくっているのか、それが普段の生活とどれだけ密接なのか、見せ方やストーリーへの巻き込み方をよく考えています。ただ日本の場合は、『こういうフェアトレード商品です』と置いてあるだけ。どうして高くても買う価値があるのかストーリーや文脈づくりがあまりうまくないなと思っています。そこの部分を『編集の力』で盛り上げたくて、編集者を目指したところがあります。」

これまで、周りと逆張りで生きてきた

新潟県佐渡島出身の佐藤さん。大学のときに埼玉に出て、英語学科で国際関係論を勉強し、現在「現代ビジネス」編集部で編集者として働いています。

その経歴が不思議だったので、これまでどのようなことを考えて進路を決めてきたのか聞いてみました。

「地方にいると、他の人との差別化って難しいんです。スポーツができるとか、勉強ができるとか、そのくらい。気軽に行ける場所も限られてくるし、進路でさえどうしても似てきます。じゃあどう差別化していったらいいかっていうと、周りがとらない選択肢をひたすら取っていくこと。底辺校から大学に進学するのもそうですし、大学で英語学科を選択したのもそう。英語学科出身なのになぜか出版社で勤めているのもそうですね。」

周りとは違う道をひたすら進んでいったんですね。

「そうですね。もしかしたら、じぶんを読み解くキーワードは『あまのじゃく』かもしれないです(笑)。時代のメインストリームがこっちなら、自分はあっちに行く。じぶんの中に軸はないんですけど、周りと逆張りをしているので、実は軸を立てやすいんです。」

そうなると次は、Webではなく、紙媒体とか?

「そうですね、紙媒体。それか、紙ですらないかも。たとえば、田んぼでコメつくっちゃうとか(笑)。カフェとか場づくりも、メディアっぽいつくり方できるんじゃないかなぁって。」

軸足を、ライターから編集者に

佐藤さんが、講談社の「現代ビジネス」で働くきっかけがWantedly経由なのだそう。

「大学の頃、就職活動をしていなかったんですが、編集者の募集がWantedlyで出始めていることを知って、それでときどきチェックしていたんです。たまたまWantedlyを見ていたときに、ちょうど「現代ビジネス」が募集を出していて。まだ一人も応募がなかったので、これはチャンスだと思い応募しました。」

面談でどんな話をしたんですか?

「当時の編集長の瀬尾と、どんなことをやりたいのかという話をしました。『ソーシャライズ』という、若くして活躍している人や、新しいはたらき方をしている人などを紹介するコーナーがあって。政治経済には興味ないけどそこだけはやりたいです、と言ったのを今でも覚えています。その連載は、先ほど話した植原正太郎くんやイケダハヤトさんなど、グリーンズ出身の書き手が多く執筆していて。自分のこれまでととても親和性がありました。」

「あとは単純に、『現代ビジネス』だったら、大勢の人に見てもらえる。ビジネスマン向けのメディアに異色を入れる意味でも、NPOや地方の情報が入っている方が面白いかなと思って。ここで、普通とは違うことをどんどんやっていきたいと言いましたね。」

その入社から2年が経ち、入社当時を振り返って変わったところはありますか。

「ライターから編集者に軸足をしっかり置くようにしています。編集者として働いているのですが、僕はまだライターの意識が強いので。というのも最初、編集者って最低限ライターとしてできないといけないという先入観があったので、写真もライティングも全部やっていたんです。でも、他のジャーナリストの記事と並ぶと全然読まれていない。有名な方だと、1本で100万PV。僕がどんなにがんばってもまだその規模の記事は出せていません。もちろんニッチな分野ということもあるんですけど。それに、書き起こしもして記事構成もやって写真も撮って、ってなると、単純に時間が取られて全然編集ができないんですね。『価値を広める』っていう目的を達成するためにも、編集業に徹してスキルを伸ばすべきだなと感じて。」

「なので、今後はできるだけ書く本数を少なくして、あと全部の時間を編集に当てようと考えています。他は、新しいライターさんや新しい写真家さん、新しいイラストレーターさんなどを探すことに時間を使っていくつもりです。」

これまで以上に、編集者としてのスキルを高めたい

現在は、編集者としてどのような一日を過ごしているんですか?

「平日の午前中は、メディア系の人やメッセージをもらった人と基本的に会っていますね。お茶かランチして、そのあと出社してます。出社してから、帰社する19時までずっと、ライティングと編集。ライターさんからもらった原稿を編集して公開したり、取材に行った記事を書いたりしています。」

編集者としての業務は、多岐にわたるんですね。そういった仕事を通して、いま、佐藤さんが果たしたい「編集者」の役割ってなんなのでしょうか。

「編集者は今までなかった価値の発掘し、素材がちゃんと活きるようなキャスティングをして、世にその価値を提案していくことだと思っています。現状だと、キャスティングが一番苦手。いいライターさんといいカメラマンさんをセッティングできるよう、もっと色んな人と出会って、巻き込んでいかないと、と思っています。」

最近の出来事で、印象的だったことはありますか。

「先日『ぼくらのメディアはどこにある?』の取材で、ハヤカワ五味さんにインタビューしたんです。彼女は完全に監督気質で。『私がつくると遅いから優秀な人につくってもらう』って言っていました。まだ20歳なんですけど、かっこいいなぁと思いました。」

・自分も品乳ブラもメディアといえる――20歳・ハヤカワ五味の「人に影響を与える」という仕事
・「自分でやったほうが早い」は10代で捨てた――ファッションデザイナー・ハヤカワ五味が5つの肩書きで働く意味

「今回の取材で撮影をお願いしたのが、三浦咲恵さん。個人的に注目していたモデルさんを撮影していたり展示をしていたりして知りました。ただ、五味さんと雰囲気が似ていたんです。知り合いではなかったので、直接メッセージして。普段は紙媒体の撮影が多いみたいなんですが、お願いして本当に良かったです。『フィルムで撮っちゃいますよ』とか、向こうから提案してくれることが多くて。あとは撮った写真を一枚一枚自分たちにもわかるように見せてくれたりとか。そういう配慮がはじめてだったので、ご一緒できてとても楽しかったです。」

ちなみに、編集者の中で注目している方はいますか?

「編集者じゃないですけど、tofubeatsさんには注目しています。じぶんと同い年で、メジャーデビューもしているんですけど、アルバムの全曲フル試聴というチャレンジングな試みをやっていたり、メジャーならではのキャスティングなど、とても勉強になることが多いんです。同世代の編集者の中で一番すごい人って言われたら、彼だと思います。音楽でいうところのプロデューサーにはすごい編集者が多い気がしています。 編集者って言うと、紙媒体の編集者の名前とか挙げる人が多いんですが、もっと広い意味での『編集者』になりたいですね。紙とかWebとかって手段にすぎないので、メディアや編集を広く捉えて使っていきたいという思いが強いです。」

しばらく潜って、力を蓄えたい

周りと逆張りで生きたいと言いつつも、そこには確かに「埋もれている価値を届けたい」という強い意思を感じました。

最後、佐藤さんはどんな方向に進みたいと考えているのか聞いてみました。

「大学生時代に受けたインタビュー(『しばらく、潜らせていただきます。』)でも話したんですが、もう一回潜伏して力を蓄えようかなと思っています。こそこそ努力して、成果や結果のなかで見せたいんです。さっきも言ったんですが、紙媒体だったり田んぼでコメつくったりして、既存や未知のメディアの新たな形を探したい。なのでまずは編集畑に潜って、ソーシャルもリアルも含めて世の中の動きをよく観察し、自分が逆張りをしていくためのスキルや知識を付けていきたいと思っています。」

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Keiichi Sato
エディター, 現代ビジネス
編集者。1990年新潟県生まれ。greenz.jpやWebプロダクションでのライティング・編集を経て、2013年6月より講談社「現代ビジネス」エディター。海外メディアの動向を追う個人ブログ「メディアの輪郭」も運営。BLOGOSやハフィントンポスト日本版、Fashionsnap.comなどに転載されている。 Twitter: https://twitter.com/k_sato_oo
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