ハッセルブラッドの名は、写真の黎明期からカメラとともにありました。はじめはカメラ関連の製品販売を行っていましたが、その後、カメラの生産を始めます。フォトグラファーのことを常に考え、カメラの最高の画質、信頼性、万能性を追求するという伝統的は、半世紀以上も前から続いています。ハッセルブラッドのカメラの背景には、製品と同じくらい魅力的なストーリーがあります。
lunar-oldskool3_Flat今から150年以上も前の1841年、スウェーデン西部のヨーテボリという港町で、ハッセルブラッド家は貿易会社F.W. Hasselblad & Co.を設立しました。ヨーロッパ大陸にほど近いヨーテボリは、イギリス、オランダ、デンマーク、ドイツ、および他の多くの国々と歴史的に貿易が盛んで、国際的な貿易会社にとって理想的な土地でした。F.W. Hasselblad & Co.はすぐに、スウェーデンで最も成功している貿易会社となり、新たに急成長していた写真分野の製品の輸入を始めます。
この会社の創業者の息子で、熱心なアマチュアフォトグラファーだったアーヴィッド・ヴィクター・ハッセルブラッドが社内に写真関連部門を立ち上げますが、このとき、「この部門ではあまり利益を得ることができないだろうが、少なくともタダで写真を撮ることができる」と言ったとされています。
アーヴィッド・ヴィクターが、この分野が持つ可能性について誤解していたことはすぐに分かりました。やがてこの写真部門は、F.W. Hasselblad & Co.の中で最も大きな部門に成長したのです。カメラとフィルムの輸入という試験的に始めたビジネスが、最終的にどのように発展するのか、当時の彼には想像もつかなかったでしょう。