【COO代行のリアル(利益編)】 V字回復の処方箋① “忙しいのに儲からない”を1年で終わらせる
サマリー
新シリーズは、きれいごとを捨てて「カネ(利益)」だけを扱う。
「忙しいのに金が残らない」会社の多くは、コスト削減が足りないのではない。
売上が伸びても営業利益が積み上がらない“構造”を放置している。
その中心にあるのが、値決め(プライシング)の失敗だ。
本稿では、値上げの恐怖を超えて利益を残すための、現場のリアルを公開する。
※本記事は、薄利多売の業界や下請け構造を含め、「業界構造を踏まえた利益改善」を前提に書いています。
この記事で分かること
- 「お客様のために安くする」が、なぜ経営判断として危険になり得るのか
- 薄利多売でも「価格が触れない状態」がなぜ致命傷になるのか
- 客離れを起こしにくい値上げのロジックと伝え方
- 【実録】震える社長に“値上げの決断”をさせた現場介入の手順
- AIでは埋められない「値決めの覚悟」の論点
こんな経営者におすすめ
- 売上は伸びているのに、手元にキャッシュが残らない
- 業界が薄利で、価格を上げる議論がタブー化している
- 値上げの必要性は感じるが、踏み切り方が分からない
- 社員の給与や投資を増やしたいのに、原資が作れない
「いい人」をやめろ。経営者は「集金人」であれ
いきなり嫌なことを言う。だが、ここから目を逸らすと会社はじわじわ死ぬ。
もしあなたの会社が、朝から晩まで働いているのに利益が残らないなら。
それは社員の能力不足ではない。景気のせいでも、競合のせいでもない。
売上が伸びても営業利益が積み上がらない“構造”を放置している。
その最たる原因が、値決め(プライシング)だ。
「お客様に喜んでほしいから、価格は据え置こう」
「相場より高いと嫌われる」
聞こえはいい。だが、その“優しさ”のツケはどこへ行く?
上がらない社員の給料。更新されない設備。先細る投資。
そして、サービス品質の低下。
“お客様への優しさ”を、社員の人生(給与)で支払っているのに気づいているか?
COO代行が最初にやるのは、社員面談ではない
私がCOO代行として現場に入って最初にやることは、社員面談でも組織改革でもない。
PL(損益計算書)の粗利と販管費を睨み、電卓を叩くことだ。
そして社長に言う。
「社長、来月から価格を上げましょう。
ちまちました数%じゃない。20%上げます」
ほぼ必ず、社長は青ざめる。
「客が離れる」「営業が反乱を起こす」と言われる。
その反応は正常だ。値上げは怖い。人間なら当然だ。
AIに聞けば、「市場調査して受容価格を…」と優等生な答えが返ってくる。
でも現場は、そんなに上品じゃない。
恐怖との戦いだ。
【実録】震える社長と、冷徹な私
ある製造業の社長は、値上げ通達メールの送信ボタンが押せず、30分固まっていた。
私は隣で、同じことを繰り返した。
- 「このままだと、利益が残らず投資が止まります」
- 「今の品質は、この価格に見合っていない。自分たちの仕事を卑下しています」
- 「離れる客は“価格でしか見ていない客”です。そこに消耗するのは終わりにしましょう」
最後は、半ば強引に背中を押し、送信させた。
社長は頭を抱えた。「終わった」という顔をしていた。
「客数」は減った。だが「利益」は残った
結果を言う。顧客の一部は離れた。怒鳴られもした。胃も痛くなる。
でも、残った顧客の多くはこう言った。
「最近どこも上がってるしね」
「対応が早いから、多少高くても頼むよ」
売上は大きくは変わらない。
だが、利益額は跳ねる。
そして、さらに重要な変化が起きる。
離れていったのは往々にして、
「安い価格で無理難題を押し付ける」「現場を疲弊させる」層だったりする。
現場の業務量が減り、良い顧客に集中できる。
結果、品質が上がり、紹介が増え、また強くなる。
ここで大事なことを言う。
薄利多売の業界でも、“値決めが触れない状態”は健全ではない。
なぜなら、価格を1〜2%動かすだけで死活問題になる構造は、
すでに経営の主導権を失っているサインだからだ。
AIにはできない「値決め」の覚悟
プライシングの教科書は「価値に基づいて価格を決めろ」と言う。正しい。
だが、実行するのは人間だ。
「うちにそんな価値があるのか?」
その自信のなさが、適正価格への道を塞ぐ。
だから外部のCOO(私)が要る。
第三者の目で「価値はここにある」と断言し、
恐怖の横に立ち、決断させる。
AIはロジックをくれる。
だが、震える手で値上げを通達する体温まではくれない。
私が提供しているのは、究極的にはこの「覚悟」だ。
さあ、電卓を持て
もし「忙しいのに儲からない」と嘆いているなら、今すぐ計算してほしい。
- 価格を1.1倍(10%)にしたら、利益はどうなる?
- 1.2倍(20%)なら?
- 逆に、値上げで客数が2割減っても、利益総額は本当に下がるのか?
シミュレーションだけならタダだ。
もし「計算上は値上げすべきだが、怖くてできない」
あるいは「どういうロジックで顧客に伝えればいいか分からない」
そう思ったなら、私を呼んでほしい。
あなたの背中を押し、ときに悪役になって“ボタンを押させる”準備はできている。
「いい人」で会社をじわじわ殺すか。
泥をかぶってでも、利益を残す経営者になるか。
選ぶのは、あなただ。
この記事のまとめ
- 利益が残らない原因は、景気よりも“構造”にあることが多い
- 薄利業界でも、価格が触れない状態は危険信号になり得る
- 値上げは数字の調整ではなく、顧客と現場を守る意思決定
- AIがくれるのはロジック。恐怖を超える体温は、人が補うしかない
なお次回は、「コスト削減」ではなく、「触ってはいけないコスト/触るべきコスト」の話をする。
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