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UI/UXデザイナーに感じる身の危険と対策

筆者のアンテナの張り方が適切でないのか、近頃わりと静まってきたように感じられる「UX」がらみの話題性。たいせつにするのが当たり前になったからか、もっとたいせつなことにフォーカスしているのか、それともほかの事情があるのかは環境によって異なるだろう。とくにそれらがなんたるかを評価しようとは思わない。「でもまだ『UI/UX』と併記してるんだ」とは思う。UXポリスはちゃんと警備しているのかしていないのか…。
筆者がポリスの代わりに警備を代行しようとまではしないが、デザイナーを求める多くの企業のため、そしてデザイナーに限らず人が自分の長所をいかして活動できるよう助力するために本ストーリーを贈る

主旨

・UI/UXデザイナーの役割を整理する
・Wantedlyのプロフィールページにリンクするストーリーをこさえる

ターゲット読者

・「言われてみれば、なぜUIとUXが併記できるのかうまく説明できないかも」と思った方
・人材の採用担当のうち、とくに公開する文字情報や伝達方法を考える方
・ソフトウェア開発を受託する事業にかかわる営業担当
UXポリス

ゴール

・UIとUXを併記するとよい効果が得られるか、読者が検討する
・万が一よい効果が得られそうにない場合、読者が所属企業の採用担当に本ストーリーのURLを伝える

本文

UIとはなにか

ユーザーインターフェース(User Interface)の略記。Wikipedia英語版には、UIとは

the space where interactions between humans and machines occur

だと記されている(2019/08/13 14:24 UTC)。訳すと「人間の動作や機械の挙動で両者が互いに影響しあう場所」といったところだろうか。とりわけ情報技術の分野(IT)のUIは、人間がほしい情報を求めるとほしい情報が手に入るよう設計されるのが求められ、さらには、人間がほしいと認知する前にほしいと思われるであろう情報を提供する能力も求められる。もちろんPCやスマホの画面のみならず、「あ」を押すと「『あ』が押された」とコンピュータに送信するキーボードも立派なUIだ。

ここまで読めば、見ため(の美しさ)だけをさす言葉ではないとわかるはず。ITのUIとは、人間と機械がそれぞれどんな影響を受けるかに配慮しながら、それぞれが認知した情報を伝えあうやさしさの場所なのだ

UXとはなにか

ユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略記。この場合のエクスペリエンスの訳語は「体験」であって差しつかえがなさそうだが、ある特定のサービスや製品つまり体験対象のUXが語られる際には、たいてい体験時間外の内容にも言及されるもの。言いかえると、ユーザー非エクスペリエンスがあってはじめてユーザーエクスペリエンスが成りたつ。

たとえば、フィールドアスレチックのある公園で縄をつかんで昇って遊ぶとしよう。
この場合、縄に触れて遊んでいる時間が体験時間だが、そもそもそのフィールドアスレチックのある公園の存在をどのように知ったのか、知ってから行くまでどんな計画を要したのか、車で行くのか電車で行くのか、渋滞しがちな道なのか遅延をおこしがちなのか、遊んだあとにのどがかわいて何を飲むのか、帰りしなに疲れてどんなお店に立ちよるのか…、こうした実地の体験時間外の事象もふくめ、なにをしてどう感じるのかがユーザーエクスペリエンスだ

デザインとはなにか

道すじを立てて設計すること。
IT業界でデザインと聞くと、ウェブページやスマホ画面のグラフィックデザインを想起する場合が多かろう。しかし見ためをととのえることは、作業領域のほんのごく一部であり、フォトショやイラレの作業成果物はいわばうんこみたいなもの。価値が低いものと言いたいのではなく、出るまでの過程がどんなものだったかでそのうんこの価値が決まると言いたい。
たまに、出てきたうんこを見て「もっとイケてる感じにして」と評価するような話を耳にするが、イケてるうんこにするには過程を改善するとよいのであって、イケてないうんこをあれやこれやいじってみても、そのイケてなさはたいして変わらないのでムダ。筆者はこれまで「うんこは間違っていません」と言いはってきた。いや…、まじめな話で、間違っているうんこなんて存在しないだろう。期待どおりでないとすれば、食べたものがダメで胃腸の調子が悪くなった(過程でなんらかの不具合が生じた)か、検査がうまくいかなかった(評価者や評価のしかたがよくない)かのどちらかではあるまいか。期待どおりのうんこが出なくとも、うんこに向かってダメ出ししてどうするんだ

UI/UXデザイナーに求められる職能や業務はなにか

言うまでもないが、上に記した内容ぜんぶ。UIに触れる前、触れるとき、触れたあとを含む全体的なUXの道すじを立てて設計する係だ。当然、プロジェクトが開始する前段階から業務は始まるだろう。

受託事業なら、契約前の交渉段階で営業担当に同行し見込顧客にしっかりヒアリングしないと、見込顧客がどんなことを成しとげたいのか把握できず、必要となりそうなアーキテクチャも検討できないから、適切な契約(=見積もりの合意)もできまい。
自社事業なら、マーケターがマーケティング施策を思案しているときに顔を出して、施策の内容をともに考える必要が生じる可能性が高い。

UXデザイナーはプロダクトマネージャ(製品を開発するプロジェクトの管理者)とほとんど同じとみなす説を実際に耳目にしたことがあるし、そういった考えを背景に人材募集をかけているんじゃないかと推察できる記事もある。UI/UXデザイナーには、そういった広範な役割に加えて、フォトショやイラレの作業成果物も出してほしいと求めるのだろう。

「デザイナー」がソースコードを書くところまで担当することもあるようで、その場合のUI/UXデザイナーは、劇団ひとりならぬ実装ひとりである。交渉契約設計実装公開と、まさにワンストップだ。それは…、事業主ではないか?募集すると応募してくる人材だろうか。応募というより営業をかけてくるかもしれない。「私できますよー。月単価200万円でどうですかー」

結論

UI/UXデザイナーは事業主。雇用契約より準委任契約が望ましい

あとがき

たぶん、多くの場合は上記まで整理整頓や定義が進まず、聞いたことのある言葉を当てこんで情報公開しているに過ぎないだろう。「UI/UX」と併記するのが適切かどうかにまで考えが至らないのだ。その結果、「見ためをつくるデザイナーがUXもしっかり考えてくれるといいなー」程度の認識で、とんでもなく広い範囲の業務をまかせようとしているのが現実に起きた。
UI/UXデザイナーではないが、営業&PM&UIデザイン&実装をおこなうディレクター職を月給20万円代で募集している案件について「どう思う?」と質問されたことがあり、「どう回答すべきかわからず困惑している」と即答をにごした経験がある。
月給ですべて表現できると思わない。事業背景や賞与などさまざまな前提条件も知らないまま「誰もやりたがらないだろうね、そんな給与じゃ」と言うべきではない。

でも、限度ってものがあるよね。限度を超えたらUXポリスにつかまっちゃうから、デザイナーになにを求めるか整理してまとめてみよう!今すぐやろう!

UXポリスにタイホされてしまった方はご一報くださいw https://twitter.com/toruhjp

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