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たばこ・肥満が2大危険因子(劉凱鵬)

 糖尿病や高血圧、動脈硬化、がんなどについて、成人病という言葉が使われてきましたが、ほぼ同じ病気を生活習慣病と呼ぶようになりました。

 偏った食事、運動不足、喫煙などの生活習慣の積み重ねが病気を引き起こす原因になるため、子どもの時からの生活習慣が重要だと考えられるようになったからです。

 厚生労働省では、「健康日本21」というタイトルで健康対策を打ち出し、栄養と食生活、身体活動と運動、たばこやアルコールの問題などについて、10年後の目標を立てています。栄養、食生活で一番重要なことは、適正体重の維持です。子どもの肥満も心配ですが、逆に若い女性ではやせることによる健康障害が問題になっています。

 基準になる数値をBMI(ボディー・マス・インデックス)と言い、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割ります。22前後なら理想的。25以上は肥満傾向、30以上だと肥満とされています。また、若い人のやせ過ぎでは、20以下が問題になります。簡単な計算なので、時々自分でチェックしてみて下さい。

 肥満は糖尿病、高血圧、動脈硬化の原因になり、痛風や呼吸障害にも関係しています。統計的に見ても、肥満の人はやせている人に比べて寿命が短くなっています。それなのに日本では、若い女性を除くすべての年齢層で肥満が増えています。

 「サイエンス」という外国の雑誌に発表された猿を使った研究では、カロリーの低い状態で飼育したやせた猿は、普通のカロリーで育てた猿よりも糖尿病、心臓病、がんになる割合が少ないという結果が出ました。ネズミの筋肉にある6000種類の遺伝子を調べた研究では、体重を増やさないことにより、加齢に伴って起こる遺伝子の変化を抑えることができることが証明されました。

 「健康日本21」では、健康維持のために体を動かす人を増やし、日常生活の中ではなるべく歩数を増やそうという目標を掲げています。カロリー消費を見ると、水泳、縄跳び、テニスなどが効率がいいですね。個人的な考えでは、高齢者の場合には、関節の障害や骨折などが避けられる水泳が推奨できると思います。

 たばこが健康に良くないのはよく知られた事実で、肥満とたばこが健康への二大危険因子です。たばこは肺がんだけではなく、喉頭(こうとう)がんや食道がんの発症を増やすことも強調したいですね。男性では喫煙者は減っていますが、若い女性や未成年者で増えているのが問題です。

 飲酒では、一日平均でアルコール量が約60グラムを超えると肝臓などに障害を起こす可能性が高まります。少量のアルコールは心臓病とか動脈硬化など体にいいというデータもあります。適度な飲酒とは、一日平均でアルコール量が20グラム程度。ビールだと大瓶1本、日本酒1合程度とされています。

 約2000人を対象に生活習慣と日常生活の自立の関係を32年間追跡調査した米国の研究では、太っていて喫煙し、運動をしないグループは64-67歳ぐらいで日常生活に支障が出てきました。それに対し、たばこを吸わず、体重が正常で適当な運動をするグループは73-74歳からで、ざっと10年の開きがあることがわかりました。

 人の世話にならない生活を送りたい。すべての人の願いである健康寿命を延ばすには、たばこを吸わない、体重を増やさない、歩くなど適当な運動をするという三つのことを守ることが大切です。

 生まれつきの体質もありますが、健康寿命を延ばす要因の約3分の2は健康な生活習慣を守ることにかかっていることを強調しておきます。

http://www.m-chiro.info/karada/jiritu.html


劉凱鵬