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提案依頼書。

以下は企業へ提出しているRFPです。

ものすごく長い文面です。ご容赦くださいませ。

1.プロジェクトの全体像

・自己紹介
私は札幌市で平成19年から在宅医療を行っている開業医です。
介護事業者や病院と日々連絡を行い日々往診を行っております。
医師3名、他の医療職種を17名雇用し、医療法人の理事長およびクリニックの院長として、日々診療業務を行っております。
別に合同会社を立ち上げ、保育園を未経験から設立、自主運営しており、保育士など18人の職員を雇用しております。

・プロジェクトの背景
平成19年から在宅医療を行っている間、常に患者・医療者・介護者間での情報共有に悩み続けてきました。
現在でも電話、FAX、郵送での伝達方法が未だ続いており、医療介護分野でのソフトウェアの利用が進んでいるとは思えません。
連携するための介護ソフト(事業所内での介護記録作成を兼ねているもの)も存在しますが、事業所への費用負担が多大なこと、
および各事業所で同じソフトウェアを導入しなければならないことから普及しておりません。
大手のソフトウェアでの情報共有システム(○○リンクという名前が多くあります)の普及を厚生労働省が進めておりますが、
医療機関ごとで異なるシステムを導入しており、この5年間程度で普及は止まっております。

その原因としては、病院同士で診療情報提供書を作成する方法が長く定着してきたこと、
地域連携室でのソーシャルワーカー配置が普及し医師や看護師が直接に外部の医療機関などと連絡を行う必要性がなくなったこと、
単純に医療者が多忙かつIT技術に対する興味が薄いために導入に消極的であること、
情報そのものがプライバシーに深く関わり明確化できないものが多いこと、などがあると考えています。

・プロジェクトを開発しようと考えた発端
この数年で実際に起きている事象として、
ひとつは高齢者がスマートフォンを利用している場面を多く見るようになったこと、
次に院内でラインワークスやSlackなどのSNSを利用するケースが急激に増えてきたことが挙げられます。
電子カルテや介護記録ソフトウェアなどの種類に影響することなく、
病院や介護事業者の間で情報を共有するシステムの必要性を切に感じるようになりました。
特に当院のようなクリニックと介護事業者は、形式だけの書類をコピー+郵送するだけの業務を毎月行っており、
互いに何を行って何を考えているのか全く分からないこと、それによるストレスが日常的に発生しています。

私はメモリとCPUの区別も理解していなかった、ただの開業医ですが、
上記のサービスを開発するためにIT技術者の方々がどのような作業を行いどのような困難に直面し得るのか理解しようと思い、
以下の技術の基礎部分を半年間、実際に手を動かしプロジェクトを作成し公開まで試みて学びました。

昨年9月からOREILLYの本をきっかけとして、オブジェクト指向言語であるpythonでの一般的な技術,
ローカルでのDjangoアプリケーションの作成,OCRやGSPRなどのライブラリ導入,
HTML+CSSでのBEMエンティティやprefixedCSSなどの設計方針の大切さ,
mySQLでのデータベース操作の基本、
JavaScriptの基礎及びnodeJS,webpackでbundleしたREACT.jsの実装とコンポーネント志向の基礎、
LINUXを用いたコマンドライン、Bashスクリプトとvim操作の基礎、
Linuxディストリビューションを用いた仮想化や認証技術の基礎
 (LINUXベースである日本医師会ORCAプロジェクトが手元の端末で操作できない理由が、初めて分かりました)、
Dockerを用いたコンテナ技術の有用性とAWSでのEC2+CodeDeployを用い基礎的なクラウドサービスへの理解、
nginxとgunicornを用いたWeb/Appサーバー構築の必要性、
Gitを用いた分散型バージョン管理システムの基礎、コンフリクトが起きうることへの理解、
CI/CDを用いたテストと日々対峙しなければならないことへの理解、など

個人での開発ではどこまでしかできないのか、自分自身が何を分かっていないかを理解し、
IT技術者が日常業務としてどのような問題と対峙されているのだろうか、
どのような技術知見を備えた方にどのような業務を依頼すればサービスを開発することができるか、
具体的に判断し提示できる最初の段階には到達できたと判断して、今回のお願いを差し上げた次第です。

・プロジェクトがターゲットとするペルソナ
①クリニックで患者さんの情報をやり取りする看護師、ソーシャルワーカー
②周囲の介護サービス事業所との連絡調整に追われているケアマネージャー
③病院で患者さんの退院支援を行うソーシャルワーカーと看護師
④常に契約枠を埋めたい介護施設の経営者
⑤かかりつけ医と介護サービスが必要になった患者の家族
⑥常に孤独な、患者
(⑦転職を考えている医師、看護師、介護士、社会福祉士など)

①:20~50代の女性が多い。院内外にある情報の整理と連絡・調整に大きく時間を割かれている。
  残業が日常的で、充分な情報共有を外部とできていないため、院外からのクレームにも対応している。
  社会性が高い。ストレスが多い。時間に追われている。
  本来は人のために役立ちたいと思ってこの仕事をしているが、それを忘れてしまっている。
②:30~60代の男女。3:7くらいで女性が多い。
  毎月に細かなケアプランを作成し、それを患者に説明し、介護サービスとの調整を行う。
  患者と介護事業所との間に挟まれる。患者からもクレームを受けることが多いし、不毛な会議や説明に時間を割かれる。
  介護サービス選定のキーパーソンになる。かかりつけ医の薦め、施設の薦めなどについても実際の決定権がある。
  ①~⑥までをつなぐhub機能になる。
③:20~50代の女性が多い。ベッド回転率のノルマがあるので、常に退院調整に追われている。
  経営側からはベッドの回転率を維持するように求められ、患者さんからは退院したくないと言われ、
  退院調整時には退院先の施設やケアマネ、訪問看護やクリニックへお願いをしなければならない。
  ストレスが非常に大きい。
④:40~60代の男性。中小企業の社長が多く、介護事業というよりは賃貸住宅事業に近い。
  賃貸契約の充足率を上げることに必死になっている。
  介護に対する思い入れや働くスタッフへの思い入れには大きな幅がある。
  医療依存度の高い方や認知症が重度の方、看取りなどの面倒なことについても、大きな意識の幅がある。
⑤:突然の入院により、親や夫が急に通院と介護が必要になりどうすれば良いか分からず困っている。
  病院のソーシャルワーカーからの支援を受けるか、区役所の社会保険協議会からケアマネを紹介されて介護が始まる。
  どこに相談すれば良いか分からない。
  どこの病院やクリニック、介護の種類、そのイメージ、など、何が分からないのかが分からない。
  親が食事を食べられなくなった時にどうしたら良いか分からない。
  いろいろとネットを調べるが、適切な情報が見つけられない。
⑥:70~80代の女性。5年前は普通に旅行などにも行けたし、ひとりで何でも生活ができた。
  去年の入院をきっかけに足が不自由になり、家の中にいるまま、通いたくないデイサービスに行く。
  もう死んでもいいなど、冗談でも言葉にしてしまうようになった。
  同居する娘は働いているのでデイサービスで入浴を受けているが、行きたくない。
  周りに話ができる人もいない。デイサービスの活動はまるで子ども扱い。
  最近はiPADを見て生活している。SNSや掲示板に常駐している。
  毎日テレビを付けている。CMでやっている青汁も飲んでいたことがある。
  どこの医者にかかるかや、どんな薬を飲んでいるかをいつも気にかけている。

・何を提供するか
①:日々の診療内容を毎日簡単に、外部のケアマネと訪問看護に伝達するツール。
  電子カルテ内で情報作成は完結させて、その内容を抽出してSNSなりでも各事業所に通知する。
  毎月に作成する訪問看護指示書・居宅介護療養管理指導書の作成もその内容で自動化させる。
  電話と診療の実コミュニケーションに集中させる。
②:どこの介護事業所やかかりつけ医が空いているのか、この患者さんは受け入れてもらえるのか、
  質の高い介護を行っているのか、それとも割り切っている施設なのか、
  自動的に選定できるツール。患者さんの住所や医療内容、病状、経済的条件など抽出条件が多い。
  「看取ってくれるか」「人が足りない」など、通常は表にはでないことも設定条件になる。
③:労力をできるだけ少なく、退院調整に必要な介護サービスの選定を速やかに行えるツール。
  年齢や必要な医療内容、介護条件など必要なものだけを入力することで、
  受け入れが可能な介護施設、介護サービス、訪問診療医などを提案する。
  普段は電話で依頼をする作業を、ツールが自動的に行い受け入れの可否を応答する。
④:自分の施設ではどれくらい空きがあるか、いつから入居できるか、どういう患者なら受け入れられるか、
  などの新しい情報を常に病院とケアマネに発信できるサービス。
  経営者の考えや理念を発信するプラットフォームができれば、患者家族にとっては有益な情報になる。
⑤⑥:これを見れば、自分が思うようなかかりつけ医、介護サービスを受けることができる。
  「HomeDoctor OrderMade」サービス。
  今までは病気の治療は生活の選択肢を阻害する要因でしかなかったが、
  自分の親に見合ったかかりつけ医と介護のサービスを自分自身でデザインしたい。
  「この医者にかかりたい」、「このケアマネにお願いしたい」、「この看護師さんがいい」。
  事業所単位ではなく、出会った医療介護者個人に頼みたい。
  注文住宅を作るようなもの。

・プロジェクトの短期の目的と目標(1~3か月後)
フロントエンド、バックエンド、サーバーと環境管理業務を行う人を決めて、
お互いの考えを理解し合い業務契約を結んで、アプリケーション開発が可能な条件を揃える。

・プロジェクトの短中期の目的と目標(2~3か月後)
毎週ひとつずつ、開発が進めることができている。
アプリケーションが利用できるようなものになり、実際に診療業務から利用を始める

・プロジェクトの長期の目的と目標(1年後)
利用実数は伸び悩んでいるが、①~⑥の提供するものをひと通り実現できるようになっている。
ユーザーからの反応を取り入れ、改善点を具体化し、実際に改善していく、
というサイクルを日常的に回すことができるようになっている。

・プロジェクトの長期の目的と目標(2年後)
札幌市内一円の介護事業所などの30%以上でgo-athomeアプリケーションが利用されるようになる。
首都圏でもアプリケーションが利用できるようになる。

・プロジェクトの長期の目的と目標(3年後)
東京にも医療法人の分院を作って、go-athomeアプリケーションを利用して集患をしている。
北海道、一都三県で医療介護者ならば一度は聞いたことがある。
収益化について検討する段階になる。

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