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私のAPU生活と、立命館アジア太平大学の”混ぜる教育”を通して学んだこと

立命館アジア太平洋大学(以下APU)は、大分県別府市の山の上にある大学です。学生約5600人で、アジア太平洋学部(APS)と、国際経営学部(APM)の2学部あります。大きな特徴としては、90か国以上の国と地域から集まった国際学生が学生の半分を占める多文化環境です。そのため日本語、英語両方で授業が開講され、国際生と日本人が混ざって、グループワークなどのアクティブな学びが実施されています。また、ピアリーダー制度といって、学生同士がサポートし合いながら学び合う制度が充実しており、他にも留学など多種多様なプログラムが充実しています。オフィスや教授と学生の距離がとても近く、オープンな環境があります。1年生は必ず1年間寮に入り、国際生と共に共同生活を経験することになっています。

私は大学受験をし、東京の有名な大学も受かっていました。しかし周りからの意見を押し切って、神奈川の実家を離れ別府に行くことを決めました。理由としては、APUの多文化環境、「混ぜる教育」にひかれたからです。アメリカに4年間滞在後、日本の教育に苦しんだ私は、もう一度アメリカの時のように様々な価値観が混ざった環境の中で自分らしさを取り戻したいと思っていました。そんな時にAPUを見つけ、ここなら自分を変えられる、自分らしく学べると確信したため、入学を決めました。


私はオナーズプログラム生としてAPUに入学しました。Honors Program for Global Citizenship(オナーズ) は、APUの人材育成のモデルとなる学生を育成するため、2016年度秋セメスターから開始した4年間に渡るプログラムです。通常寮生活は1年のところ、オナーズ生は2年間寮に住むことができ、月一回のセミナーなどを受けながら、主体的に自ら行動してAPUや地域に貢献することが求められます。大分の山の上の大学に来るくらいなのでAPU生は皆どこかいい意味で変わっていて、何か夢や目標を持って行動している人が多く、そのような文化があります。しかしオナーズプログラム生はその中でも選ばれた人達が集まっているため、入学当初から活動的な人と暮らしながら刺激を多く受けました。10か国以上の国際生のミックスで共同生活をし、家族のような存在となり夜な夜なキッチンに集まって語り合っていました。APU、特にオナーズにいると常に「今何しているの?夢は?やりたいことあるの?」と聞かれます。このように実際に目標を持って行動している人に囲まれていると刺激を受け、自然と自分も行動し始めるようになりました。そもそも国籍、日本の中でも様々なバックグラウンドを持った仲間が混ざっているため、皆が違うことが当たり前、違う価値観、違う夢、違う興味があってそれでいい。それぞれがそれぞれのフィールドでキラキラと輝いていました。私も少しずつ、今まで自分の中で隠していた自分、アメリカにいたときの自分、シュタイナー教育を受けいていた自分、教育に興味ある自分などに誇りも持てるようになり、自信、自分らしさを取り戻しながらどんどん自分が変わっていったのを思えています。

このように変わった私が地元に帰り、高校の時の友達と話した時にとても衝撃を受けました。「最近何してるの?夢は?やりたいことあるの?」と私としては自然に質問すると、驚かれたと同時に、今はバイトとサークル、夢とかやりたいことはないという答えが返ってきて、話すことがなくなってしまいました。どれだけAPUの仲間は目標を持って自分から行動していたのかということを客観的に再確認した時でした。


親元を離れ、一人暮らしを始めたことで自己管理能力がついたと同時に、国際生と共同生活するということで世界を身近に感じ、自分の世界が広がりました。隣の部屋のインドとスリランカ人の友たちの部屋に行くだけでインドやスリランカに行った気分になれます。ムスリム教の人が多く、ハラール料理やスリランカの辛いカレーなどを一緒に作ってみたり、一か月昼間はご飯を食べないという宗教的な行事であるラマダンを一緒に体験してみたりと、異なる文化を肌で感じ、それまで知らなかった世界を知りました。またそれが当たり前となり、国際生とご飯を食べる時は自然とハラールの子、ベジタリアン、ビーガンの子の食事を考えるなど、まさに異なる文化を知り、理解し、共生する力が身に付きました。同時に、奨学金制度を利用し、オナーズプログラム継続のためにGPAなどの成績を保つ必要もあったため、学びにもしっかりと力を入れていました。

1回生の時はひたすらAPUの環境、文化に刺激を受けながら、自分のアンテナが立つところに足を運んで行動しながらネットワークを広げていました。APUはグループワークや課題が多いため、自分のキャパオーバーになることも経験し、自分の自己管理力や責任観が身に付きました。ここで、行動して自分のコンフォートゾーンを少しでも踏み出せば必ず新しい人に出会い、新しい気づきがある。その結果成長し、変化する自分を実感して次の行動やステップにつなげられるというサイクルを学び、積極性や行動力が身に付きました。


APUには、多文化環境を活かして国際生と日本人がミックスになってプロジェクトを考えたり、グループワークをする授業がたくさんあります。まさにこれは社会に出る前の、異なる人々と協働しながら、異なるものがぶつかり合うことで化学反応を起こしながら新しいものを創り出すという練習を実践的にしました。一人では限界があるものも、違う人、違う価値観が混ざることでより良い新しいものが生れる。そんな体験を授業を含め、APUにいると常に感じることができます。また、仕事や時間に対する考え方は国によって大きく違います。やはり皆違って当たり前、文化によって違って当たり前、それを理解した上でどう協働するかを考える力が身についたと思います。例えば、インドネシア人のAさんはいつも時間にルーズだとすると、彼には15分早く集合時間を設定しようなどということが自然とできるようになります。


刺激だらけの1回生も終わり、2回生に入ると私はどこか物足りなさを感じ始めます。APUは多文化環境であるとはいえ、日本にある大学であり、日本人がマジョリティです。まだ自分がコンフォートゾーンにいることに気づき、文化も全く違う地で自分がマイノリティになる環境に行きたい、好きな教育について深く学びたいと思い、ノルウェーへの留学を決めました。実際にノルウェーの私の大学と地域には日本人はほぼいなく、アジア人もマイノリティでした。一人いた日本人とも英語で話すというルールを作ることで、ヨーロッパという新しい世界に出会い、新しい友達に出会い、英語も徹底的に伸ばし、好きな教育についても教育先進国のノルウェーで現場を見ながら学ぶことができました。新しい世界に飛び込んだことで日本人としての自分、日本という国、文化、APUを客観的に外から見ることができ、視野が広がり、自分の知らない世界がまだまだたくさんあるということに改めて気づきました。

帰国後3回生では、「教育」というものを軸に自分からもっと行動していこうと思い、教育系インターンシップを始める、英語維持のために英語で開講されている授業のみを履修するなど、自分から自分が成長できる環境を選べび行動できるようになりました。何事も広い視野で考えることができるようになり、まだまだ知らない世界を見いたいというさらなる行動力が身についたと思います。

目標を持って行動し続けることで、自分の夢を自信もってシェアし続けることで自然と仲間が見つかり、たどりつくべきところところにたどりつく。3年間APU生として走り抜けてそう感じています。

APUの魅力はもちろん世界の縮図である多文化環境、そこに集まる仲間、国際的なネットワーク、そして自分の成長のために用意されている環境とプログラムなど多様な機会だと考えています。この3つの要素をフルに活用することで、APUではどんなことでも成し遂げられると思います。

APUの「混ぜる教育」を通して学んだことは、”違って当たり前、違うから面白い”ということ、コンフォートゾーンを一歩踏み出すことで見える新しい世界とそれによって得られるネットワークやより広い視野です。

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