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肉親による障害者虐待の実情

 東京都八王子市の精神科病院「滝山病院」での非人道的な虐待が報道されたのはたった2年前です。また、昨年は全国で障害者向けのグループホームなどを運営する会社「恵」が、愛知県内の施設で利用者から食材費を過大に徴収していたことが発覚しました。さらに北海道江差町の社会福祉法人「あすなろ福祉会」が運営する知的障害者施設では不妊治療を勧めて問題になるなど、これほど高頻度に告発があると言う事は、これらは氷山の一角に過ぎないのでしょう。
 しかし、福祉施設などでの虐待はまだ第三者からの介入が期待できます。私はそれ以上に親からの虐待が表面化されていないが深刻であると考えています。その背景には、障害者グループホームの不足が関係しています。障害者グループホームの需要供給率はたった3%です。ですからもし障害児が生まれた場合、殆どの親はその子供を一生世話する必要があります。これを受け入れられる親はまずいないでしょう。するとそのフラストレーションが虐待となって現れていきます。昨今は特に核家族化しており周囲に助けてもらうことも難しい為、ネグレクト(育児・介護放棄)も多く、問題が表面化しづらく親子共々客観的に虐待だと言う事に気付いていない、或いは親が世間体などのために意図的に隠している場合もあります。それらが障害をさらに悪化させ、悪循環となっていきます。
 日本では、現在、障害児の出生率がうなぎ登りになっています。また、同時に高齢者の割合も増えています。しかしその福祉施設は圧倒的に不足しています。何故なら介護や看護の人材が不足しているからです。人材を日本人だけで賄うのは不可能でしょう。また、障害者グループホームに住まなければ家賃補助が下りないため障害年金だけでは生活できず、生活保護を受けなければなりませんし、例え一人暮らしを始められたとしても、生活能力のない障害者は生活習慣病にかかり、早いうちに死に至るでしょう。長年虐待を受けてきた障害者が生活保護を始めとする様々な支援を受ける際の「水際作戦」に耐える事は難しく、そこで病状が悪化したり、支援を受けるのを諦めて死を選ぶこともあります。もちろん犯罪に走る事もあります。特に精神疾患はまだ未解明の部分が多く、一度病気になると投薬で治らない、すなわち「薬漬け」の人生になる事も多いのです。虐待を受けてきた障害者が、自らの意思で虐待する親を離れて福祉に助けを求めるのは至難の業です。彼らに対する救済は今のところ「薬漬け」意外皆無と言ってよいでしょう。このように、現在の福祉制度では、機能不全家族下に生まれた障害者とそうでない障害者の間に広い格差がある事が社会の問題と言えるでしょう。この状況を解決する為には環境ホルモン等の原因物質究明と規制、移民の積極的な受け入れや公用語の変更、或いは共産主義国家に変更するなどが考えられるでしょう。

◆厚労省補助金事業「よりそいホットライン」
https://www.since2011.net/yorisoi/

◆総務省行政相談センター「きくみみ」
https://www.with-kikumimi-soumu.go.jp/

◆障害者虐待の相談窓口について - 東京都福祉局
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/tokyoheart/sabetsu/index.html

◆障がい者虐待の相談窓口 | 東京弁護士会
https://www.toben.or.jp/bengoshi/soudan/syougaisya/gyakutai.html

★こちらもご参照ください:宮口 幸治『ケーキの切れない非行少年たち