国で変わる自社サービスの利用体験
環境が変われば小さな所作が変わる、ということをこの前つらつらと文章に綴っていたのですが、そこであげた事柄の他にも、自分のサービスの利用体験というのもちょっとだけ変わりました。ので、社内共有も兼ねてちょびっとだけ書いておこうと思います。
海外に行ってあるサービスの利用体験を変えてしまうことのひとつとして、「ネット環境の良し悪し」が最初に思い浮かびました。かなりの頻度でこの国のネット環境について不満をこぼしてしまっているわけですが、私が今使っているQ&AサービスのHiNativeや添削サービスのHiNative Trekもまた、日本とは違う使い方を提案してくれます。
私たちの運営しているサービスについてさらっておくと、HiNativeは外国語学習をする上ででてきた質問を投稿すると、その国のネイティブが教えてくれるという、Q&Aサービスです。HiNative Trekは、1日1題の英語課題が送られてきてその課題を音声と文章で提出すると、英語ネイティブの先生が音声と文章で答えてくれる、有料で提供しているアウトプット型英語学習サービスです。
私が使用感に大きな変化を感じたのはHiNative Trekだったというのもあるので、今日はこれについて書いてみようと思います。
変化1: 自分の音声投稿体験が改善した。
たとえば、恵比寿ガーデンプレイス1階にあるスターバックスでHiNative Trekを投稿してみようと思った時、こういう心のステップが発生しました。
ステップ1
自分が頑張っているかどうかは他人にとっては蜜の味がするわけでもtwitterのネタになるわけでもなんでもない気にしない、というふうに自分を説得する
ステップ2
課題を丁寧に説いて、大きな間違いがないかチェックする
ステップ3
なるべく音声投稿が一度で済むように何度も暗唱する
ステップ4
失敗して再度音声投稿ということにならないようにゆっくり、慎重に発音したいでもゆっくりすぎると恥ずかしい普通っぽく言いたいアアアアアアアアアアアーーーー!!!!となって思春期の男子が読んだ英語の教科書に限りなく近い音声が投稿される
ステップ5
半日後、担任のアーロン先生から「アキコ、今日は声が小さいから自信をもって大きく言ってみようネ!」と前とおなじことを指摘される。成長しない自分にたいへん落ち込む。
サンフランシスコで生活をおくる中で省かれたのは
ステップ1、ステップ4、ステップ5です。
そして、ステップ2とステップ3にかける時間や緊張感も大きくとりのぞくことができました。
そもそも私は自分の声や発音に対するコンプレックスが大きくて、日本にいるときはカフェや電車の中で拙い英語を喋ったり、言いたいことがなかなか出てこずに言葉をつまらせたりしているとき、誰かが影で笑っているような気がして萎縮してしまうことがあります。
サンフランシスコの生活の拠点としている場所は中国系とイタリア系、スペイン語系の言葉や人が多く行きかう場所です。いろんな見た目の人がいろんな言葉を話したり、訛りのある英語で意思疎通を図ろうとする場所です。アメリカはどこででも電話をするし、独り言を喋っているような人いるし、いろんな国の人がいろんな言語を話しながら、バス停でバスを待つこともあります。言葉も見た目も違うから、他人と自分は世界に期待していることも何もかもが違う、という認識を強めてくれます。
この環境が、私の音声投稿に対するハードルを限りなく下げてくれていて、バスを待つ間に「トム様、トラブルが解決してとても嬉しく存じますわ」と課題文と一緒に音声を投稿するのが楽ちんになったのです。幸いバス停の近くはネットが安定しているので、怪しい人に背後を狙われていないかソワソワしながら、違う誰かになりきって音声を投稿することができます。
変化2: 毎日の復習の時間がつくりやすくなった。
ジムは完全にオフラインなので、オフラインで使えるアプリを利用します。
Google Playで音楽や映画をダウンロードして、走っている間に聞く事はできても、常に通信が発生するHiNative Trekは利用することができません。
そこで、私はしばらく使っていなかったAnkiを再開して、ながら勉強をすることにしました。ジムでは最初にランニングマシンをウオーキングモードにしておいて、そこでAnkiという単語帳アプリを使って予め登録しておいたHiNative Trekのフレーズを復習します。Ankiのカードを全て消化し、気分が向いてきたら音楽を聞きながらちょっとだけ走って、飽きたらそこで終了。Ankiは忘却心理曲線の考え方に基づいて登録した課題を再度出題してくれるため、毎日たまり続けます。
いつでもできるけど、しばらく使わないと精神的な圧迫感がすごいところが、HiNative Trekと似ています。ここにいると、オフラインという環境を利用してやることを切り替える、というタスク管理の選択肢も生まれます。自分の「やらなきゃ」という意志に頼らずに時間を区切ることができるので、ひとつの行為を継続的に自動化することが可能になります。
このように私がまとめた意図は、「皆に問題点改善点を知らしめたいでござる!スタバでTrekできない私というユーザーの体験なんとかしろ!オフラインでも使えるようにしろ!単語帳機能つけろ!HiNative Trekつかってね!」とかではなくて、
「使って欲しい人ってだれだろう?どこの、何歳の、年収はどのくらいかな?猿田彦好きかな?左利きかな?フィリピン語学留学は経験してるのかな?海外出張にいくことはあるのかな?今まで語学学習をしてきてぶつかった壁や、達成感はどんなものだったんだろう?日本ならバスより電車かな?オフィスでアプリを使うなら、ネットで困ることはなさそうだね。」、と思いを馳せることで、次に私たちが提案したいすてきななにかを、すてきかウ◯コかをスピーディに判断し、適切にかぎりなく近い提案を、適切な順番で作り出していくことができるんじゃないかなあと考えております。
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