納期のないトップからの指示が組織を壊す理由
仕事をしていると、トップや上司からこんな依頼を受けることがあります。
「これ、早めにお願い。」
「時間がある時でいいから。」
「できるだけ早く見ておいて。」
もちろん、現場からするとトップの指示を優先するのは当たり前です。
経営者には経営者の視点があり、現場には見えていない背景があることも少なくありません。
だから私は、「トップの仕事だから後回しにしていい」と言いたいわけではありません。
ただ、一つだけ気になることがあります。
それは納期が決まっていないことです。
現場は優先順位を背負うことになる
現場には、すでに納期の決まった仕事があります。
お客様への回答。
請求書の発行。
入金確認。
イベント準備。
社内の問い合わせ対応。
そこへ新しい仕事が追加される。
でも、「いつまでに必要なのか」が分からない。
すると担当者は考えます。
「今日やるべきなのかな。」
「明日でも間に合うのかな。」
「今やっている仕事を止めた方がいいのかな。」
本来、優先順位を決めるために必要な情報が不足しているため、現場がその判断を背負うことになります。
緊急度と優先度は違います
私は仕事を整理するとき、「緊急度」と「優先度」を分けて考えています。
一番後回しになりやすいのは、
「緊急ではないけれど、優先度の高い仕事」です。
例えば、
・業務マニュアルの整備
・引継ぎ資料の作成
・権限整理
・教育体制の見直し
・業務改善
どれも今日止まる仕事ではありません。
だから、目の前の急ぎに追われて後回しになります。
しかし、数か月後には属人化や引継ぎトラブルとして表面化します。
「できるだけ早く」が現場を疲弊させる
「できるだけ早く。」
この言葉自体が悪いわけではありません。
問題なのは、その仕事の優先順位が共有されていないことです。
例えば、
「今日中」
「今週中」
「来月まで」
この一言があるだけで、現場は他の仕事との優先順位を判断できます。
逆に納期がない仕事は、担当者が勝手に優先順位を考え始めます。
その結果、
納期のある仕事が遅れる。
他部署への回答が止まる。
問い合わせ対応が後回しになる。
そして、「まだですか?」という新しい仕事が増えていきます。
私が構造を見る理由
私は、トップを批判したいわけではありません。
トップは組織全体を見ています。
現場は目の前の仕事を見ています。
だからこそ、その間をつなぐ「伝え方」や「優先順位の共有」が必要だと思っています。
私は会社を批判するために構造を見るのではありません。
現場で起きている問題を整理し、改善策を設計し、経営者が判断できる状態をつくることが私の仕事です。
トップは仕事を増やしているのではありません。
優先順位を伝えないまま仕事を追加してしまうことで、現場が優先順位を背負う構造になってしまう。
私は、その構造を少しでも減らしたいと考えています。
そして、この「緊急ではないけれど、優先度の高い仕事」を後回しにすればするほど、
会社の成長は止まります。
業務改善。
マニュアル整備。
教育体制の構築。
権限整理。
引継ぎ資料の整備。
どれも今日の売上には直結しないかもしれません。
しかし、これらを積み重ねることで、担当者が変わっても止まらない組織が育っていきます。
会社を成長させるのは、目の前の「緊急な仕事」だけではありません。
未来のための「重要な仕事」に、時間を確保できる組織こそ、長く成長し続けるのだと私は考えています。