「社長、どうしましょう?」
仕事をしていると、社長や上司に判断を求める場面があります。
自分では決められないこと。
会社として判断が必要なこと。
金額や契約に関わること。
イレギュラーな対応。
こうしたことを決裁者へ確認するのは、とても大切です。
そんなとき私は、
社長が「YES/NO」あるいは「A/B」を返せるところまで情報を整理してから上げる
ことを意識しています。
なぜなら、社長にお願いしたいのは「判断」だからです。
状況を読み解く。
過去のやり取りを探す。
不足している情報を確認する。
選択肢を考える。
そこまで社長にやってもらえば、判断以外の仕事まで社長へ渡していることになります。
判断の返事ができるところまでお膳立てしてから渡す。
それだけでも、社長の時間を奪わない報告になります。
まず、結論から伝える
例えば、
「A社から納期を早めてほしいと言われました。どうしましょう?」
という相談。
これだけでは、社長は判断できません。
「いつまでに?」
「今の納期は?」
「前倒しできるの?」
「他の案件への影響は?」
「先方はどのくらい急いでいるの?」
判断する前に、社長が一つずつ質問することになります。
さらに、
「A社から連絡があって、〇〇さんにも聞いたんですけど、以前はこうしていたらしくて、今回は先方がこう言っていて……。」
と、最初から経緯をすべて説明してしまうケースもあります。
聞いている社長からすれば、
「で、私は何を決めればいいの?」
となります。
だから、まず結論です。
「A社から納期を3日早めてほしいと相談が来ています。前倒しを受けるか判断をお願いします。」
これなら最初に、何について考えればいいのか分かります。
結論を伝えてから、判断に必要な情報を渡す。
私は、この順番が大切だと思っています。
スクリーンショットは「説明」ではなく「根拠」です
チャットやメールのスクリーンショットを何枚も送り、
「こんな感じです。どうしましょう?」
という報告もあります。
確かに情報は共有されています。
しかし、それは情報を整理して伝えていることになるでしょうか。
スクリーンショットを受け取った社長は、
何枚もの画像を読む。
話の流れを把握する。
重要な部分を探す。
何が問題なのかを整理する。
そのうえで判断する。
つまり、情報整理という仕事まで社長が行っています。
私は、スクリーンショットは状況を説明するためのものではなく、
整理した情報の根拠を示すもの
だと考えています。
まず、
「A社から納期を3日前倒しできないか相談が来ています。」
と伝える。
必要であれば、
「先方からの連絡はこちらです。」
とスクリーンショットを添える。
スクリーンショットを読ませて状況を理解してもらうのではありません。
こちらで整理した内容が正しいことを確認してもらうために添える。
この順番です。
判断に必要な情報を整理する
私が意識しているのは、
結論
→ 事実
→ 選択肢
→ 影響・リスク
→ 自分の提案
→ 期限
→ 必要なら根拠資料
という流れです。
先ほどの納期の例なら、
「A社から納期を3日前倒しできないか相談が来ています。変更を受けるか判断をお願いします。」
まず結論と判断事項を伝えます。
次に選択肢です。
A:3日前倒しする。
B:現在の納期のまま進める。
さらに、
「Aの場合は、現在進めているB社の作業を1日後ろ倒しする必要があります。」
「Bの場合は、A社から今回は難しいかもしれないと言われています。」
と、それぞれの影響を伝える。
そのうえで、
「今後の取引も考えると、今回はAで対応するのがよいと考えています。」
と自分の提案を添える。
最後に、
「本日17時までに回答が必要です。」
と期限を伝える。
ここまであれば、社長は必要な情報を確認して、
「Aでお願いします。」
と返すことができます。
「どうしましょう?」の前に、自分の考えを持つ
もちろん、経験がなく、選択肢すら分からないこともあります。
その場合は相談して構いません。
しかし毎回、
「どうしましょう?」
だけでは、社長が選択肢を考えるところから始めることになります。
だから、
「私はAがよいと思います。」
「理由は〇〇です。」
まで考えてから相談する。
その提案が採用されなくても構いません。
自分で考える。
上司の判断を聞く。
なぜ違ったのかを知る。
これを繰り返すことで、会社の判断基準も少しずつ分かるようになります。
やがて同じようなケースなら、自分で判断できるようになります。
情報を整理して上げることは、単なる報告スキルではありません。
担当者が判断力を身につける機会でもあるのです。
「事実」と「解釈」を分ける
もう一つ、気を付けたいことがあります。
事実と自分の解釈を混ぜないことです。
例えば、
「A社の担当者が怒っています。」
これは事実とは限りません。
電話の声が強かった。
返信が短かった。
担当者がそう感じただけかもしれません。
一方、
「A社から『本日中に回答がなければ、今回は見送ります』と連絡がありました。」
これは実際に伝えられた内容です。
そのうえで、
「私は、先方がかなり急いでいると感じています。」
と自分の見解を伝える。
事実と解釈を分けることで、判断する側も正確な情報をもとに考えることができます。
社長には「判断」と「ありがとう」だけ返してもらう
私が理想だと思っているのは、社長から長い返信をもらわなくても仕事が進む状態です。
「Aでお願いします。」
「承知しました。」
そして最後に、
「ありがとう。」
それくらいのやり取りで、次の仕事へ進める。
そのためには、相談する側が事前に情報を集め、整理し、選択肢をつくり、自分の提案まで用意しておく必要があります。
社長に状況を整理してもらうのではありません。
「この内容なら判断できる」という状態までお膳立てしてから、判断を渡す。
そして判断をもらったら、その先は担当者が進める。
社長から返ってくる言葉が、
「OK、お願いします。」
そして、
「ありがとう。」
それだけで済むくらいが理想です。
社長の時間を奪わないことも、仕事の一つ
会社が大きくなるほど、社長にはさまざまな相談が集まります。
一件の確認に10分かかったとして、それが一日に何件もあれば大きな時間になります。
しかも、その時間の大半が、
状況を聞く。
不足情報を質問する。
スクリーンショットを読む。
選択肢を考える。
という時間だったとしたら、本来担当者側でできる仕事まで社長が行っていることになります。
社長の仕事は、すべての情報を自分で整理することではありません。
必要な情報をもとに、会社として判断することです。
だからこそ、
結論から伝える。
必要な情報を整理する。
選択肢と自分の提案を用意する。
スクリーンショットや資料は、その根拠として添える。
そして、
判断の返事ができるところまでお膳立てする。
それによって、社長の時間を奪わない。
これは社長への報告だけではありません。
管理者への相談。
お客様への提案。
チーム内での確認。
どんな場面でも同じです。
私は、伝える力とは、たくさん説明する力ではなく、
相手が次の判断をできる状態をつくる力
なのだと思っています。