「〇日、空いていますか?」
「はい、大丈夫です。」
「では、何時にしますか?」
「その時間は難しいです。」
「では、別の日はいかがでしょうか?」
ここまでで、すでに3ラリーです。
そして、まだ日程は決まっていません。
仕事をしていると、打ち合わせや会議の日程を調整する場面はよくあります。
一見すると、
候補日を聞く。
時間を聞く。
予定が合わなければ、別の日を聞く。
普通のやり取りのように見えます。
しかし、これを参加者が複数いる日程調整で繰り返すと、
一人に確認する。
返事を待つ。
別の人に確認する。
時間が合わない。
別の候補を出す。
また全員に確認する。
日程を一つ決めるために、参加者全員へ何度も「返信する」という仕事を発生させることになります。
私は、日程調整とは、
「空いている日を聞く仕事」ではなく、「必要な人が参加できる日時を、できるだけ少ないやり取りで決める仕事」
だと考えています。
日付と時間は、最初からセットで聞く
先ほどのやり取りなら、
「〇日はいかがですか?」
ではなく、
「〇日14時、〇日16時、△日10時のうち、参加可能な日時をすべて教えてください。」
と聞けば、一度で必要な情報を集めることができます。
さらに、
「候補日の中に参加できる日時がない場合は、それ以外で参加可能な日時をいくつか教えてください。」
まで添えておく。
これなら候補がすべて合わなかった場合も、
「では、いつなら大丈夫ですか?」
と、もう一度聞き直す必要がありません。
一度の連絡で、次の判断に必要な情報まで回収する。
日程調整では、この考え方が大切です。
第一希望ではなく「参加できる日時」を集める
複数人の日程調整では、
「第一希望を教えてください。」
だけでは十分ではありません。
例えば、
Aさんは、1日・2日・3日すべて参加可能。
Bさんは、2日・3日が参加可能。
Cさんは、3日だけ参加可能。
だったとします。
それぞれが第一希望だけ回答すると、
Aさん「1日」
Bさん「2日」
Cさん「3日」
となるかもしれません。
一見すると、全員の予定が合わないように見えます。
しかし実際には、
3日なら全員参加できます。
だから複数人の日程調整では、
「一番都合のいい日時」ではなく、
「参加できる日時をすべて」
回答してもらいます。
そして回答が集まったら、参加可能人数を集計する。
全員参加が必須でなければ、
必須メンバーが参加でき、そのうえで最も参加人数の多い日時で決定する。
日程調整は、一人ずつ予定を聞きながら正解を探す仕事ではありません。
最初に必要な情報をまとめて集め、条件に合う日時を判断する仕事です。
「いつ空いていますか?」から始めない
日程調整をするとき、いきなり参加者全員へ、
「いつ空いていますか?」
と聞く必要はありません。
まず確認したいのは、すでに分かっている情報です。
共有されている予定はないか。
参加必須なのは誰か。
オンラインでもいいのか。
所要時間は何分なのか。
いつまでに開催する必要があるのか。
すでに埋まっている予定が分かっているなら、そこを候補にする必要はありません。
全員へ質問する前に、すでに持っている情報を整理する。
それだけでも、候補日はかなり絞れます。
参加者の都合も考慮して候補を出す
日程調整では、参加者の働き方や生活のリズムも条件になります。
会社員であれば、平日の日中は勤務している可能性が高い。
店舗を経営している人なら、営業時間中は難しいかもしれない。
子育て中の人なら、送り迎えなどで動きにくい時間帯があるかもしれません。
もちろん、すべての事情を把握する必要はありません。
ただ、すでに分かっている情報があるのであれば、それを考慮せずに候補を出す必要もありません。
明らかに参加が難しい時間を候補として提示すれば、相手はその予定を確認し、「参加できません」と返信する仕事をしなければなりません。
候補日は、自分が空いている日時ではなく、参加者が参加できる可能性の高い日時から考える。
日程調整は、自分の予定だけを見て行う仕事ではありません。
参加者の都合を考慮して、最初から成立しやすい候補をつくることも調整の仕事です。
候補日は「多ければ親切」ではありません
候補日をたくさん出せば、どこかは空いているかもしれません。
しかし、候補が10個あれば、受け取った側は10個の予定を確認する必要があります。
反対に、
「私はいつでも大丈夫なので、皆さんで決めてください。」
も、親切に見えて、候補を考える仕事を相手へ渡しています。
候補日は、必要な範囲まで絞る。
そのうえで、
参加できる日時をすべて回答してもらう。
選択肢を増やすことより、相手が回答しやすく、その回答から決定できる状態をつくること。
これも日程調整の仕事です。
回答期限がなければ、調整は終わりません
候補日を送ったあと、
一人だけ返信が来ない。
そこで何日も待つ。
その間に、ほかの参加者の予定が埋まる。
そして、また最初から調整する。
こうしたことも起こります。
日程調整には、
「〇日までにご回答ください。」
という回答期限も必要です。
さらに、
期限までに返信がなかった場合はどうするのか。
全員の回答が必要なのか。
回答が集まった人の中で決定していいのか。
あらかじめ決めておけば、調整は止まりません。
複数人の日程調整は、ツールを使うと早い
複数人の日程調整では、LINEの投票機能や、日程調整ツール「調整さん」を使うと便利です。
特にLINEで普段やり取りしているメンバーなら、わざわざ別のツールへ移動しなくても、そのまま回答を集めることができます。
LINEのイベントカレンダーは、開催日を決める用途には便利ですが、細かい時間帯まで含めて複数候補を比較したい場合には向かないことがあります。
その場合は、投票機能を使って、
- 複数回答可能
- 項目追加可能
- 回答期限を設定
にしておくとスムーズです。
例えば、
「9/5 14:00」
「9/5 16:00」
「9/6 10:00」
のように、日付と時間をセットで候補にします。
こうしたツールを使えば、参加可能日時を一覧で確認でき、一人ずつ確認を繰り返す必要がありません。
日程調整ツールを使う目的も、ツールを使うことそのものではありません。
やり取りを減らし、一度で判断できる情報を集めることです。
本当に全員が参加する必要がありますか
どうしても日程が合わない。
そんなときは、
そもそも全員が参加する必要があるのか
を考えることも必要です。
情報共有だけなら、議事録やチャットで十分かもしれません。
一部の判断だけ必要なら、その判断者だけ参加すればいいかもしれません。
「関係者だから、とりあえず全員参加」
にすると、一人の予定が合わないだけで、会議そのものが決まらなくなります。
日程を調整する前に、
誰が参加必須なのか。
誰が任意参加なのか。
ここを整理しておくことも大切です。
日程調整にも、判断が必要です
日程調整は、単純な連絡作業に見えます。
しかし実際には、
誰が参加必須なのか。
どの時間帯なら参加しやすいのか。
候補をいくつ出すのか。
どの情報を回収するのか。
いつまで回答を待つのか。
どの時点で決定するのか。
いくつもの判断があります。
だから、
「みんなに日程聞いておいて。」
だけでは、調整する人が迷うことがあります。
依頼する側も、
「〇日までに開催したい。」
「AさんとBさんは必須。」
「60分必要。」
「オンラインでOK。」
といった条件を渡しておく。
調整する側も、その条件を整理してから参加者へ連絡する。
この両方が必要です。
日程調整は、相手の時間を扱う仕事です
日程調整がうまい人は、返信が早い人だけではありません。
やり取りの回数が少ない人です。
必要な情報を先に集める。
条件を整理する。
候補日時を絞る。
参加できる日時をすべて回答してもらう。
回答期限を決める。
集まった回答から、参加人数の多い日時を判断する。
そして、決まったらすぐ共有する。
一つひとつは小さなことです。
しかし、5人、10人と関係者が増えれば、一回の余計な確認が、組織全体では大きな時間になります。
日程調整は、単なる事務作業ではありません。
参加者全員の時間を扱う仕事です。
だからこそ、
「自分が連絡したか」ではなく、
「必要な人の予定を、最小限のやり取りで確定できたか」
までを見る。
日程調整ひとつにも、組織の仕事の進め方は表れます。
一つずつ聞いて、一つずつ回答してもらうのではなく、
次に何を判断するのか。
そのために、どの情報を最初に集めればいいのか。
一回の確認で済む仕事を、三回のやり取りにしない。
それだけでも、相手の仕事は減らせます。
そこまで考えて仕事の流れをつくる。
私は、こうした小さな業務の設計も、組織全体の余計な仕事を減らすことにつながると考えています。