仕事をしていると、
「急ぎでお願いします。」
「今日中に確認してください。」
「できれば早めに。」
そんな依頼が次々に飛んできます。
通知が来る。
メールが来る。
チャットが来る。
そのたびに手を止めて対応していると、一日中忙しく働いているのに、
「今日やるはずだった仕事が終わっていない。」
ということがあります。
私は、こういう状態を見ると、
仕事の量だけではなく、優先順位の決め方に問題がないか
を考えます。
「急ぎ」と「重要」は別です
仕事の優先順位を考えるときによく使われるのが、
緊急度と重要度
という考え方です。
仕事を、
「緊急で重要な仕事」
「緊急ではないけれど重要な仕事」
「緊急だけれど重要度は低い仕事」
「緊急でも重要でもない仕事」
に分けて考えます。
ここで大切なのは、
緊急度が高いからといって、重要度も高いとは限らない
ということです。
例えば、
目の前に届いた問い合わせ。
社内チャットの質問。
すぐ確認できる修正依頼。
こうした仕事は、目に入りやすく、急いでいるように感じます。
一方で、
来月の売上につながる提案書を作る。
業務フローを見直す。
採用計画を考える。
マニュアルを整える。
こうした仕事は、今日やらなくても大きな問題が起きないことがあります。
だから後回しになりやすい。
しかし、組織にとって本当に重要なのは、むしろ後者であることも少なくありません。
忙しい人ほど「緊急な仕事」に引っ張られます
緊急な仕事には、特徴があります。
目の前に現れます。
誰かから催促されます。
通知が鳴ります。
期限が近づきます。
つまり、
やらなければならないことが分かりやすい。
一方で、重要だけれど緊急ではない仕事は、誰かが催促してくれるとは限りません。
業務改善。
人材育成。
仕組みづくり。
顧客管理の見直し。
将来に向けた営業活動。
これらを一日やらなくても、会社は今日すぐ止まりません。
だから、
「時間ができたらやろう。」
になりやすい。
そして、その時間はなかなかやってきません。
「できる仕事」から手をつけない
もう一つ、優先順位を崩しやすいものがあります。
それが、
今できる仕事から手をつけること
です。
返信しやすいメール。
簡単な入力作業。
片付け。
資料整理。
こうした仕事は、終わった感覚を得やすい。
だからつい先にやりたくなります。
しかし、
「できる仕事」と
「今やるべき仕事」は、
同じとは限りません。
仕事を選ぶときに必要なのは、
自分が取りかかりやすいかではなく、今どの仕事を進めることが全体にとって重要なのか
という判断です。
では、すぐ終わる仕事も後回しにするのか
ここで、
「では、重要度の低い仕事は全部後回しにすればいいのか。」
という話になります。
私は、そうは考えていません。
例えば、
「確認しました。」
と返信するだけ。
予定をカレンダーへ入れるだけ。
数値を一つ確認するだけ。
数十秒から数分で終わる仕事まで、すべてタスクとして抱えると、それだけで頭の中に未処理の仕事が増えていきます。
だから、
秒で終わる仕事は、その場で終わらせる。
という判断もあります。
大切なのは、
何でも即対応することでも、
何でも後回しにすることでもありません。
その仕事にどれくらい時間がかかり、どれくらい重要で、いつまでに必要なのかを見て判断することです。
「緊急だけれど重要ではない仕事」を減らす
緊急な仕事が多すぎる組織では、
そもそも仕組みに問題があることもあります。
毎回締切直前になって慌てる。
同じ問い合わせが何度も来る。
毎月同じ作業なのに、当日になって思い出す。
承認が遅れて、最後だけ急ぎになる。
こうした仕事は、
本当に突然発生した緊急業務なのでしょうか。
実際には、
事前に予定を入れる。
マニュアルを作る。
回答テンプレートを用意する。
承認期限を決める。
担当者を明確にする。
それだけで、「急ぎ」にしなくて済む仕事もあります。
緊急対応が多い組織は、仕事が多いのではなく、仕事が緊急になるまで放置されている可能性があります。
重要だけれど緊急ではない仕事を、予定に入れる
重要な仕事ほど、
「空いた時間にやる」
では進みません。
だから私は、
重要だけれど緊急ではない仕事こそ、
先に予定として時間を確保する
ことが必要だと考えています。
例えば、
毎週金曜日の午前中は業務改善。
毎月1日は数値確認。
毎月第3週は翌月の計画。
というように、あらかじめ時間を取る。
そうしないと、
目の前の「急ぎ」に全部時間を持っていかれます。
重要な仕事を守るには、
意志の強さより、
予定として確保する仕組み
の方が有効です。
優先順位を、個人の感覚だけにしない
組織でさらに重要なのは、
何が緊急で、
何が重要なのかを、
個人の感覚だけに任せないことです。
例えば、
顧客からのクレームは最優先。
契約に関わるものは当日中。
通常の問い合わせは翌営業日まで。
社内確認は〇日以内。
経営判断が必要なものは管理者へ上げる。
こうした基準があれば、担当者は判断しやすくなります。
反対に、
「優先順位を考えて動いてください。」
だけでは、
人によって判断が変わります。
ある人はメールを最優先にする。
ある人は上司から来た仕事を最優先にする。
ある人は自分が得意な仕事から始める。
これでは、組織全体の仕事の順番が揃いません。
優先順位も、仕組みとして設計する必要があります。
忙しいことと、仕事が進んでいることは違います
一日中返信していた。
次々に依頼へ対応した。
たくさんの仕事を終わらせた。
それでも、
本当に進めるべき仕事が進んでいなければ、組織としては前へ進んでいません。
大切なのは、
「どれだけ仕事をしたか」ではなく、
「何を優先して進めたか」
です。
緊急度を見る。
重要度を見る。
かかる時間を見る。
期限を見る。
そして、
今やるのか。
予定に入れるのか。
人へ任せるのか。
やめるのか。
を判断する。
私は、優先順位とは「忙しい順」に仕事を並べることではないと思っています。
今、何を進めることが一番大切なのかを判断できる状態をつくること。
それも、仕事を仕組みにするということです。