なぜ私は『誰にどんな価値を?』に執着するのか?~熱狂するGOALを生み出すために~
私が仕事をする上で、まず考えるのは「誰にどんな価値を提供したいか」です。 言い換えれば、まず「目的」を確認する、あるいは見出すことから始めます。さらに深く掘り下げれば、それは「本質的な目的」であり、「人やモノがどのような状態だと問題が解消され、機能しているのか」というビジョンや理想の姿を追求しています。
資料作成一つでも同じです。「この資料は誰にとって本当に必要なのか?」を確認します。そのステークホルダーが価値を感じなければ意味がありません。だからこそ、その人が抱えている「本当の問題」を理解しようと努めます。この理解が浅いと、クリティカルな価値提供の難易度は格段に高まります。だから私は問題が生じている現場に出来る限り寄り添って傾聴し、全体を俯瞰しようと努めます。
すると次に見えてくるのが、「その問題は本当の問題か」という問いです。
多くの場面で、問題を捉えるときに主語を大きくしてしまったり、事実と感想を混同してしまい謎理論を発明してしまうこともあります。誤って問題を捉えていると勝手に解くべき問題が複雑化してしまいます。問題が複雑化するとどこから手を付けていいかわからず、スキル的に取り掛かりやすそうなところから手を付けようとします。しかし問題の本質がわかっていないため効果的な解決にならないことが多く施策だけが乱立して、無駄な労力やシステムが積みあがってしまうのが実情です。
前職でご支援させていただいた半導体製造装置メーカー様の半導体装置の性能向上PJにおいて、そのヒントとなるであろうと考えられた画像データを分析できるメンバーとして途中参画しました。そこでは「この画像データから性能向上の示唆を生み出すこと」を指示されました。しかし私は現状を分析し、慣習的に用いられている性能指標では複数の物理現象を混在して評価している問題を指摘しました。性能向上には性能に寄与する因子に分解して理解する必要があると考え、現場エンジニアメンバーへのヒアリングを通じて性能に寄与する因子を整理し、従来使用されていた評価指標を性能に寄与する要因ごとにMECEに分解する方針を立てました。それぞれの要因ごとに性能を再定義し、評価するプログラムを作成し、PJ継続に繋げることが出来ました。いただいた最初の指示では正直何から手をつけたらよいか、またその画像データが必ずしも有用かどうかも判りませんでした。与えられた前提を疑い、問題の本質を捉えなおし、問題を分解してシンプルにしてきました。このような経験は、このPJに限らず複数のPJで私自身の強みとして発揮されてきました。
小学生の算数で長文問題を解く際に、求めるものをはっきりさせること、問題を分けて考えることを習いました。問題を解く際はいかにシンプルにするかが重要であり、シンプルに問題を分解するためには、正しく問題の本質を理解することが不可欠です。
本質的な問題を定義するためには、適切な問いが必要に感じます。
バイアスや固定観念に縛られた相手から問題の本質を引き出すことがゴールへの近道だからです。本気で問題に困っていたり悩んでいる当事者であれば、束縛していた前提条件を一緒に取っ払い、例え難易度の高い道を歩むことになっても互いに励まして明確な目的やゴールに向けて進む価値があると思うのです。
目的もなくリソースも無限であれば、興味や好奇心に従って行き当たりばったりで思いつくままに行動するでしょう。そんな旅をしてみたいと思いますが。
一方でビジネスにおいてはリソースが限られていますし、解像度の程度はあれど目的もあります。その目的に向けてリソースを適切に活用していかなければなりません。
「誰にどんな価値を提供したいか」を明確にすることで、それをみんなが熱狂して成し遂げたいGOALと設定して共感するからこそ本当に価値があると思います。