アクションは、問いの再設計から始まる
副業として参画したオンラインコミュニティプラットフォームでのことです。
契約が始まるまでの数回の面談の中で、コミュニティオーナーを支援する文脈のもと、「解約に着目した分析」というテーマをご相談いただきました。
ユーザーの解約を、データの観点からどのように支援できるか。
それがプロジェクトの出発点でした。
担当役員の方は、プロダクトに対して、特にコミュニティオーナーへの支援に対する想いがとても熱い方でした。
そして、解約においてもダークパターンのような不健全なアプローチは望まない。
その姿勢が印象的でした。
一方で、違和感も抱いていました。
分析をすること自体はできる。
けれど、その分析によって何を得たいのか、どんな価値を提供できるのかが、まだ見えていなかったのです。
解約を減らすことが目的なのだろうか。
それとも、オーナーが目指すコミュニティの「あるべき姿」を支えることが目的なのだろうか。
私は一度問いを持ち帰り、テーマを上流から組み立て直しました。
そのとき、未来が見えました。
自分がどんな価値を提供できるのか、その輪郭がはっきりと立ち上がったのです。
起点に置いた問いは、シンプルです。
「コミュニティオーナーは、自身のコミュニティをどうありたいと望んでいるのか?」
その答えの一つとして、「コミュニティが熱狂の場である」という仮説を立てました。
この立場になったときに、コミュニティやユーザーの「熱量」を推定できないか、というアイディアが生まれました。
解約は、熱量という状態の結果に過ぎないのではないか。
結果に着目するのであればその要因である状態を理解する方が本質的な問題解決になるのではないか。
であれば、まずはユーザーの状態を推定できないだろうか。
そうして提案したのが、「Fan度」や「失望度」といった代理指標の設計です。
熱量という目に見えない状態をデータから間接的に捉えようとする試みでした。
ただ数値を可視化することが目的ではありません。
その数値を見たオーナーが、次の一手を選べる状態をつくること。
分析して終わるのではなく、
アクションにつながる構造を設計する。
それが、このプロジェクトで目指した支援の形でした。
解約に着目したプロジェクトではありましたが、
プロダクトやサービス、ひいては企業が目指す理念を基にした「あるべき姿」から「解約」を見つめなおし、
「誰にどのような価値を提供するのか」がより明確になりました。
その後、担当役員の方と納得感を大切に議論を重ねながら進めました。
問いに共感していただけたからこそ、アプローチは前に進んだのだと思います。
依頼されたテーマをそのまま解くのではなく、
そのテーマが本当に解くべき問いなのかを考える。