前回書いたビジネスの公理1は、あまりにも当然のことでした。当然のことだから公理と呼んでいますので、それはまあそうなんですが、当然ビジネスの公理(2)もやっぱり当然のことです。なんでまた当然のことを書いていくのかという話ですが、実際問題この当然のことが忘れ去られているケースが実に多いからです。
あなたの価値のうち、ビジネス上の価値について、です。これはずばり「実績の他者からの評価」と言えます。この時点でこれに反対する人はあまりいないと思いますが、実際の現場ではよく勘違いする人がとても多いです。
▼とにかく実績を出すことの大切さ
まず、ビジネス上の価値が「実績」に対してのものであること。これは大変重要です。キャリアをスタートしたばかりの人、つまり新卒の方は今まで何もなしたことがないわけですから、ビジネス上は実績0が前提となります。そのため採用する側は、学生時代の努力ややる気といった実績以外の要素で採用の是非を判断しないといけません。いわゆるポテンシャル採用というやつです。
しかし、いざ社会人としてのキャリアが始まった瞬間から「実績」が問われることとなります。もちろん新卒1年目や2年目まではそれでもなおポテンシャルの比率が比較的高い時期ですが、それでも実績が問われることに変わりはありません。
このことを意識しないでいつまでも新卒気分でいると、「これに挑戦したいです」「こういうビジョンを持っています」「頑張ります」といったポテンシャル採用時の考え方で次のキャリアが築けると勘違いしてしまいます。
新卒として会社に入ったら、それがどのような環境であれ、とにかくがむしゃらに実績を出すことに必死にならなければいけない理由がここにあります。いつまでもやる気とポテンシャルだけでは通用しません。
▼相手が求めていないものは評価されない
そしてビジネス上の価値のもう一つのポイントは、評価は他者が決める、ということです。同じビジネス成果であっても、それを評価する人が違えば、それに対する評価も違ってきます。これも当たり前のことです。
私はDeNAが300人規模の頃に人事労務のリーダーを務めていました。そこでの人事制度の構築のスキルや経験は、同規模のステージである現職のFor A-careerではとても役に立っていますが、1000人規模以上の会社にとってはあまり評価されないでしょう。もうそのステージのことは必要ないからです。同様に20人くらいの規模の会社から見たら、まだいらない価値になります。そうした会社から見た私は低い評価になるでしょう。
これは転職のようなシーンだけではなく、社内での評価も同じです。あなたの成果の出し方が、その組織(上司)が求めるものであればあるほど評価が高くなります。例えば営業職であれば、会社によっては細かい事務的なところがお粗末でも受注をガンガンとってくるほうが評価される環境もあれば、一定以上の法務・経理知識を踏まえて適切に計上できないと受注が多くても評価されない、という場合もあると思います。その会社において評価される点はどこかを見極めながら、自分の仕事の仕方を変えていく必要があります。
もちろん、仕事のやり方には自分なりの価値があると思います。こういう仕事の仕方をしたい、こういう仕事の仕方はしたくない。それはそれで大切にしたほうがいいです。それは自分の価値観の問題です。ただ、自分自身の価値観の問題はビジネス上の価値とは異なります。これはビジネスの公理(1)でやりました。会社が評価する軸と自分の価値観の軸のずれが大きくなってきた場合、それでもなお会社の評価する軸に沿った仕事をしてその会社での評価を取りに行くか、自分の軸に沿った仕事ぶりを評価してくれる他者を探すかは人それぞれですが、いずれにせよ「ビジネス上の価値は他者が決める」という公理は忘れないことです。