Vol.04 第1章:すべては、あの日から始まった
Vol.04「金か、心か」第1章:すべては、あの日から始まった
そんな時、彼女から連絡があったのだ。
「仕事関係の実業家の方が主催で、伊豆下田の会員制ホテルでパーティーを開く。全国から経営者の方たちも集まるし、社会勉強になると思うよ」
正直、乗り気ではなかった。
そんな世界が自分に関係あるとは思えなかったからだ。
だが、久しぶりに彼女に会える。
その理由だけで、参加することにした。
会場は、プールサイドだった。
そこに広がっていたのは、自分の知らない世界だった。
国内から集まった経営者や弁護士、医者など、当たり前のように会話を交わし、
その隣には、モデルのような女性たちがいる。
自分がいる世界とは、まるで違った。
そして、その瞬間が来た。
彼女は、主催者である実業家を私に紹介した。
何を話したのかは覚えていない。
ただ、頭の中が真っ白になっていたことだけは、はっきり覚えている。
そして、すべてを悟った。
彼女とその実業家の距離感を見て、何が起きているのか、説明されるまでもなかった。
その夜、パーティーが終わり、部屋に戻った。
海側の窓を全開にした。
多々戸浜海岸が、月と星の光を受けて、静かに揺れていた。
本来なら、美しいと感じるはずの景色だった。
だが、そのときの自分の中には、別のものが渦巻いていた。
屈辱。
怒り。
そして、強烈な悔しさ。
何も考えられなかった。
ただ、黙って海を見ていることしかできなかった。
やがて空が白み始めた頃、ひとつの感情だけが残った。
「必ず見返してやる」