Vol.05 第1章:すべては、あの日から始まった
Vol.05「金か、心か」第1章:すべては、あの日から始まった
「必ず見返してやる」
そのとき、初めて考えた。
「金」と「心」、どちらが強いのか。
人としての想いなのか。
それとも、現実的な力なのか。
高校生の自分には、心では負ける訳がない。
そう思い込むしかなかったのだ。
だが、その思い込みの裏側には、どうしようもない現実があった。
だったら、金の側に行く。
そして、確かめればいい。
金や地位を本当に手に入れてから、考えればいい。
何も持っていない自分が、今ここで結論を出したところで、意味はない。
それはただの理想か、負け惜しみにしかならない。
だったら――
すべてを手に入れる側に回る。
その上で、もう一度問い直せばいい。
金か、心か。
そう決めた。
だが、決意したところで、現実は何も変わらない。
次の日から、自分が特別な人間になるわけでもない。
相変わらず、何も持っていない高校生のままだ。
人脈もない。
経験もない。
金もない。
あるのは、あの日の悔しさだけだった。
そしてその後、私は大学に進学した。
そこで、ひとつのことを始めることになった。