●マーケティングリサーチとは何か
マーケティングリサーチとは、
「企業がより良い意思決定を行うために、生活者からデータを収集・分析し、課題解決に役立てること」
です。
企業が抱える課題は様々であり、それに応じて調査方法も変わります。
アンケートやインタビューはあくまで手段であり、本質は
「人から情報を集め、意思決定に活かすこと」
にあります。
●なぜマーケティングリサーチが必要なのか
現在はWebサイトの閲覧履歴や購買データなど、多くのログデータを取得できるようになりました。
一方で
・なぜその商品を選んだのか
・なぜそのブランドを好きになったのか
といった、人の意識や感情はログデータだけでは分かりません。
こうした内面的な情報は、現時点では本人に直接聞くことでしか把握できません。
マーケティングリサーチは、そうした目に見えない意識や感情を可視化するための重要な手段だと考えています。
●マーケティングリサーチの難しさ
ただし、意識や感情は非常に曖昧なものです。
そのため、質問の仕方や調査設計を誤ると、本来とは異なる結果が得られてしまいます。
マーケティングリサーチの怖いところは、
「データが取れないこと」
ではなく、
「それっぽいデータが取れてしまうこと」
です。
誤った調査結果は、誤った意思決定につながる可能性があります。
●「何を聞くか」と「どう聞くか」
マーケティングリサーチには大きく2つの難しさがあります。
① 何を聞くか
調査を通じて何を明らかにするのかを考えることです。
課題設定や仮説構築、調査企画にあたる部分であり、
「どのような課題課題を解決したいのか」
「そのために、どのような情報が分かれば意思決定を行えるのか」
を整理する作業です。
② どう聞くか
明らかにしたい内容を、どのような設問や調査手法で取得するのかを考えることです。
こちらは主に調査票作成やインタビュー設計にあたります。
実は、こちらの方が見落とされやすいと感じています。
例えば、
「○○を好きですか?」
「○○している理由は何ですか?」
と直接聞けば答えが得られるとは限りません。
人は必ずしも自分の感情や行動理由を正確に認識しているわけではありません。
そのため、アンケートやインタビューでは、
・答えやすいもの
・説明しやすいもの
・社会的に望ましいもの
が回答として選ばれることも少なくありません。
重要なのは、歪んだデータから真実を見つけることではなく、まずは歪みの少ないデータを取得することです。
●見落とされがちなリスク
仮に「何を明らかにするべきか」が正しく設定できていたとしても、
「どう聞くか」を誤れば、取得できるデータも歪んでしまいます。
そして厄介なのは、
間違っているのに、それらしく見えてしまうこと
です。
結果として、課題解決に向かっているように見えていたものが、実は見当違いだったということも起こり得ます。
「問いの設定」と同じくらい「聞き方の設計」も意識すべき重要なポイントです。
●調査は閉じた領域
アンケートやインタビューは、一見すると誰でも実施できるように見えます。
しかし、先ほど述べたように、「何を聞くか」「どう聞くか」には多くの落とし穴があり、調査品質によって得られる結果は大きく変わります。
さらに、本当に意思決定に貢献している調査は企業の重要な資産であるため、社外に公開されることはほとんどありません。
その結果、優れた調査事例に触れる機会が少なく、調査の品質差や専門性が外部からは見えにくい環境になっています。
こうした背景から、マーケティングリサーチは事業の意思決定に大きな影響を与えているにもかかわらず、その専門性や価値が伝わりにくい領域なのだと感じています。
(余談)
プライベートでも、見かけたアンケートにはできるだけ回答するようにしていますが、「こうしたらもっとよくなるのに…!」と思うものも少なくありません。
もはや半分趣味のようになっているので、もしレビューしてほしいアンケートがあれば気軽に送ってください。(機密情報に抵触しない範囲でお願いします)