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「仕事はマラソン」リーダーがなすべきタスク

【そもそもリーダーの立ち位置って?】

リーダーの定義を語る経営者・書籍等はこの世の中に多数存在します。

そのほとんどが、優秀なリーダーの立ち位置として定義していること、それは

 「チーム成果を達成する人」  

です。これはビジネスマンである限りどの業界においてもどの分野においても共通認識でしょう。

それでは、その優秀なリーダーとなるためにはどうすればいいのでしょう。

実はリーダーがなすべきことは極めてシンプルで、突き詰めれば次の四つの行為に収束して紹介します!


【その1:目標を掲げる】

まず、リーダーに求められるものとは、「チームが目指すべき目標を定義する」ことです。

人が辛い環境の中でも乗り越えていくことができるのは、その目標、「達成したら報われるゴール」が見えているからなんですね。

例えばあなたがマラソンを走るとします。

 「ゴールのないマラソン」

ほど地獄のものはないですよね(笑)

どれほど走っても走ってもいつ終わるのかわからない。あと10キロも100キロもあるかもしれない。そんな中、力尽きるまで走り切れるメンタルをお持ちの人はごくわずかの超人のみです。

逆に、「あと10キロ」走れば、家族・友達が自分の完走を心待ちにし、涙を流し微笑んで自分の帰りを待ってりるビジョンが見えれば、ゴールがわからずただ直向きに突き進む「10キロ」と比べると、

「その10キロを完走するモチベーション」には天と地の差がつくと思います。

それは仕事においても同様です。

例えば上司に、「とりあえず限界まで追い込んで売上を上げろ」、「死ぬ気で頑張れ」と言われたとしてもそれは

  終わりの見えないマラソン

をガムシャレに走れ。と言っているようなものです。それではごく限られた超人しか止まらず進み続けることができません。

その一方で、「先月の売り上げが100万で〇〇を改善すれば300万上げれるから、今月は売り上げ300万でそれを達成できれば来月には昇格できるから達成しよ!」と具体的かつ実現可能な目標を提示し、それを達成することによってどのようなビジョンが待っているのかを明確化することによって、それは

 「達成することによって報われる明確なゴール」

となっており、だからこそ頑張れるのです。

よってリーダーとはチームを目指すべき目標を定義し、さらには達成した後にどのような未来が待っているかのビジョンを明確化することが必要なんですね。


<その2:先頭を走る>

リーダーは後ろに下がって、部下が自発的行動できるようにさせる。これが正しいと思ってませんか?

もちろんそれも大事です。ただより大事なのは

 マラソンの「先頭グループ」

に立って突き進むことなんですね。

ちなみに、マラソンの先頭グループを率いる、先頭ランナーは時に雇われているのってご存知ですか?

実はマラソンの選手が、ある程度の地点まで早いペースを維持することで、先頭グループ全体の記録を伸ばすことができるんです。

当然先頭を走る雇われランナーは、先頭であり向かい風も一身で受け止め突き進み、他ランナーに追いつかれないよう、離しすぎないように距離感を調整しつつ走り、中間地点で離脱します。

この話で分かるように、

 「先頭を走ることの負担の大きさ」

が理解できます。先頭を走るということは自らの最終的な勝利を犠牲にせざるを得ないほど大変なことなのです。

反対に言えば、人の後をついていく、誰かの背中を見ながら走ることは、相対的に非常に楽なことなのです。

これはマラソンだけに限りません。何にせよ、一人で負担の大きな先頭と言う立ち位置に立ち、背後にいる部下を率いてペース配分をしていく。その立場に身を置くのはものすごく勇気が必要になります。

リーダーというポジションをただの「目立ちたがり」と勘違いしている人は、これまでリーダーとしてチームを牽引した経験がないのでしょう。

ところで、誰が先頭に立っているのかわからない組織やチームも散見されます。

海外企業と共同でプロジェクトを進める場合など、プロジェクトリーダーであると紹介された部長が、キックオフミーティングの席上で最初の挨拶以外は一切発言しない、などという事態に遭遇すると、海外のメンバーはみんな、びっくりしてしまいます。

この、最初の挨拶しかしない部長は、日本語では「このプロジェクトの責任者」と呼ばれており、中にはずっとチームの後ろに控えている人がいます。

会議でも部下が交渉し議論するのを注視しているだけです。そして何か問題が起こった時だけ後ろから現れて判断をし、最後の責任を無条件に背負い、最終決裁のハンコを押すのです。

こうなるとチームの進むべき道は誰が決めているのだろうか。

部下を前に立たせ、後ろでその仕事ぶりを見つめているのは「部下に自発的に考え動かしている優秀な上司だ」と評価する人もいるでしょう。

ですが「何かの時には後ろから神の声が聞こえて判断が下される」などという経験を何度かすれば、前にいる部下は常に、後ろにいる責任者の顔色を伺って仕事をするようになります。

前に出て交渉をしているのは自分なのに、何かを決める際にはいつも「会社に持ち帰って......」

責任者の意向を確かめなくてはなりません。リーダーというのは先頭を走る人であって、後ろに控えている人ではないのです。

優秀なリーダーは、真っ先にマラソンの先頭に立ち、向かい風も一身に受け止め進んでいく。

だから後ろにいる部下もついてくるのです。


<その3:決める>

リーダーとは「決める人」です。検討する人でも考える人でも分析する人でもありません。

もちろん、高い分析力や思考力を持っていることは、より良い決断をするために役立つんでしょう。

しかしこの世の中には高い分析力や思考力を持っているにも関わらず「何も決めない」リーダーが多くいます。

リーダーとは例え十分な情報が揃っていなくても、例え十分な検討を行う時間が足りなくても、決めるべき時に決めることができる人です。

欧米の組織と(さらに言えば中国や韓国の企業と比べても)日本の組織の決断が遅いと言われるのは、この点におけるリーダーシップの差が現れているのだと思います。

日本人は、「それはどこで決まったのか」という問いと、「〇〇会議で決まった」という回答をする。

これは日本における「決める」と言う行為の特殊性をよく表しています。

決めたのは場所ではなく、人のはずです。

誰かがその会議において決めたはずです。しかし私たちは決めた人をあえて曖昧にするため、「会議で決まった」という言い方をするのです。

決めることができないのは、責任を取るのが怖いからでしょう。決断を下す人には、常に結果責任が問われます。それが怖い人はいつまでも決断を引き伸ばします。

優秀な人は即・自ら決断を下すことによって進むべき道やするべきタスクを直ちに明確化することができる。だからこそ、チームの成長が速いのです。


<その4:伝える>

リーダーの大切な仕事が、コミュニケーションです。明示的と言う意味での力は重要です。

家族など極めて近しい人を少人数だけ率いるのなら、言葉ではなく態度で示すなり、背中で教えることも可能でしょう。

しかし一定数以上の組織を率いる場合や、多様な価値観を持つ人が混在していうる場合、また、成果を出すことが極めて困難亜状況では、言葉によって人を動かすことが必須になります。

高い目標に向かって進ませるには、なぜそれが必要になるのか・なぜそう判断したのか・他にどんな選択肢があったのか、などについて、論理的かつ明示的に伝える必要があります。

言わなくてもわかっているはずと考え、伝えることを軽視する人の大半は、多様性のあるチームを率いた経験がありません。もしくは、自分のチームメンバーが多様であると言うことに気がついてません。自分と同じものを見れば他人も全て自分と同じように感じているはずだと考えるのです。

しかし、それではそんなチームが達成できる成果はたいしたレベルにはなり得ません。

全く同じ人間が二人いるなら、どちらか一方は不要です。

同じものを見たときに、常に同じことしか考えないのであれば、一つのチームにその二人が存在する意義はありません。同じものを見ても、時には異なることを感じるからこそ、それぞれの人の存在価値があるのです。

そうであれば、「言わなくても分かるはず」などという原則が通じるはずはないことは自明です。強いチームとは、多様な価値観を持つ人が集まったチームです。そして多様な個性の人が集まったチームでは、リーダーには常に「言葉で伝える」ことが求められるのです。


<まとめ>

このように優秀なリーダーがすべきこと、それは

  ① 目標を掲げる

  ② 先頭を走る

  ③ 決める

  ④ 伝える

の4つに収約します。シンプルに見えてとても重要なことばかりです。

逆に言うと、成果目標を掲げてくれない人、先頭を走らず後方で芋を挽いてる人、決断することを恐れている人、思考を伝える努力をしない人はリーダーとして失格です。

目標を掲げ、その目標に対しての先陣を切り、行く道の要所要所で決断を下し、常にメンバーに語り続ける、これがリーダーに求められている4つのタスクになります。