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リーダーシップは磨くもの

リーダーシップ”ポテンシャル”(可能性であって実績ではない)を評価されて採用された若者たちが、半年・一年あたりで成長していく方々を多く見てきました。

彼らはリーダーシップを身につけることで可能になることの大きさに気がつき、それが自分のキャリアや人生にどのような意味を持つのか、理解し始めます。そして次第に誰かに評価してもらうためではなく、自分のためにリーダーシップを発揮しようと考え始めるのです。

<基本動作1:バリューを出す>

弊社に入社すると、みんなが呪文のように唱えていることが「バリューを出す」という言葉です。

「バリューが出る(もしくは出す)」とは「何らかの成果(付加価値)を産む」

ということで、会議で有益な発言をすればバリューを出したことになるし、ユニークな情報が入手でき、それを分析した結果、

画期的な洞察が得られれば、バリューのある分析、バリューのあるメッセージ、と呼ばれます。

よくいう「会議で発言ゼロの人はバリューゼロ」というのも同じです。どんな会議であれ、話を聞くだけで一言も話さなければ、その人がその会議にいてもいなくても、会議の結論すなわち成果物は一切変わりません。つまりその人の出した付加価値はゼロということになります。

例え稚拙であっても何か発言をすれば、他の人の思考を刺激したりする可能性もあり、会議の成果物が変わるかもしれませんが、発言ゼロでは価値が出る可能性は完全にゼロです。

漠然と作業をすることがなくなり、価値を生まない無駄な作業は笹と切り上げ、できる限りバリューの高い仕事に優先して取り組もうと考えるようになります。これによって、リーダーが最もこだわるべき成果の重要性や、それにこだわる姿勢を叩き込まれるのです。

常に「バリューを出す」ことを意識しましょう!

<基本動作2:ポジションをとる>

よく言われるのが、「ポジションをとれ」という言葉です。これは、「あなたの意見は何か」、「あなたが意思決定者だとしたら、どう決断するのか」という意味です。

自分の意見を明確に述べるように求められます。

資料を集めて分析し、企画案をいくつかまとめて会議用の資料を仕上げれば、後の判断は上司や”上の人たち”が会議で決めるといった役割分担があります。

私たちは結論は何か、顧客企業はどのような判断をすべきか、と問われます。

会議、これまでにやってきた分析の結果を順序立てて説明しようとすると、すぐに言葉を遮られ、「で?」とか「so what?」と短く(冷たく)問いただされます。

「まずは自分の意見をいえ、分析結果や理由はその後に述べよ」ということです。

こうしてこの質問に答えられないと、どんなに膨大な分析資料を用意しても、「バリューはゼロ」と認定されてしまいます。

「ポジションを取れ」と言われ続けると、何に関しても常に「自分の意見は何か?」と意識するようになります。例え自分に直接関係のない事柄であっても、「もし自分だったらどうするのだろう?」と当事者意識を常に持ちましょう!

<基本動作3:自分の仕事のリーダーは自分>

入社してすぐの頃、先輩に教えられたのが、自分の仕事に関しては自分がリーダーであり、パートナーやマネージャーを含めた関係者をどう使って成果を最大化するのか、それを考えるのがあなたの仕事だと言われました。

自分の仕事に関しては自分がリーダーであり、パートナーやマネジャーを含めた関係者をどう使って成果を最大化するのか、それを考えるのがあなたの仕事だという意味です。

自分を舞台監督だとすれば、パートナーは主演男優、マネージャーは主演女優とも言えます。

自分よりも彼らの方が給与も高いし、知名度や立場も上かもしれません。それでも「舞台を作り上げ、成功させる」ことについて主導し、責任を取るべきは監督、すなわち自分である。ということです。

だからこそ、「上司をどう使うか考えるのも、あなたの仕事だ」となるわけです。

例えば新人コンサルタントが調査分析を行い、マネージャーやパートナーも出席する会議で説明するとしましょう。

通常の企業は、これは「下の人がつくった資料を上司に報告し、上司がチェックする」会議です。

しかし自分が中心の組織図が示すのは、資料を作った本人が、自分自身の結論(顧客企業への提案内容)をより良いものにするために、上司や他のメンバーからのインプットを獲得し、利用するための場として会議を活用する、というコンセプトです。各メンバーはその会議の中で、マネジャーには何をしてほしいか、

パートナーには「自分の担当分野の結論の質をより高めるために」どう貢献してほしいか、と事前に考えておき、それを実現しようとします。

常に「自分の仕事のリーダーは自分」という意識を持ちましょう!

<基本動作4:ホワイトボードの前に立つ>

常に「バリューが出ているか」と問われることにより、プロセスや作業ではなく、結果(成果)にこだわる意識がすりこ込まれます。

常に自分の意見を明らかにするよう求められることで、「決断する」ことが訓練されます。さらに上司に対してさえ、その知識や判断力、ネットワークを、目標の達成のためにどう活用するべきかという視点を持って、向き合うことが求められます。

これらすべては、リーダーシップをとるために必要な要素技術です。

そうなると次は、それらの力を総合的に使いこなし、実際にチームで問題を解決する前の実践訓練が必要となります。その舞台として使われるのが、インターナルチームと呼ばれる社内チームの活動です。

インターナルチームとは、顧客の企業のためのプロジェクトチーム(クライアントチーム)とは異なり、社内のさまざまな活動に関わるチームで、ファーム内に無数に存在しています。特定の産業や機能分野についてコンサルタントが知見を磨くための専門研究チームはよく知られていますが、それ以外でも、採用イベントやトレーニングを企画するための人材関連チーム、忘年会や社内旅行の企画など、各種イベントのために組成されるチームもあります。

「忘年会のビジョンを明確にせよ」と問われます。私は入社直後に、社内旅行のメインイベントを多数決で決めようと提案したところ、「多数決ではなく、事実と論理による検討を行った上で、どの案を選ぶべきか、仮説を立てて提案せよと言われてたまげました」社内イベントであるにも関わらず、情報収集や分析の方法論はもちろん、ロジックから結論への流れまで、甘い部分があると何度も突き返されます。

こういった経験を通して新人コンサルタントは与えられた使命をチームで達成する方法を実地に学んでいきます。そういった場所では、新人コンサルタントもすぐに「ホワイトボードの前に立つ」ことが求められます。コンサルティングにおいて、これは議論のリーダーシップを取るには、会議の参加者が発する意見を全体像の中で捉え、論点を整理して議論のポイントを明確にしたり、膠着した議論を前に進めるために視点を転換したりと、さまざまなスキルが求められます、この「ホワイトボードの前に立つ」という経験を通して新人コンサルタントはディスカッション・リーダーとしての訓練を積んでいくのです。

常に「ホワイトボードの前に立つ」を心に刻み日々の業務に精進していきましょう!