AI生成による「おばあちゃんYouTuber風動画」の流行は「目的を失ったバズ」の象徴か
最近よく目にする、AIが生成したおばあちゃんが無茶をする動画。SNSでもやたら流れてきますよね。で、なぜか「生肉」が頻繁に登場します。(理由がわからないのでご存じの方がいたら教えてください)
この流行は、現代の動画コンテンツが抱える2つの大きな変化を象徴しているように思います。
1つは、ショート動画の役割変化。 ショート動画は、長尺の本編動画や商品購入へ誘導するための「予告編」「広告」でした。しかし、短い時間で満足したい視聴者が増えたことで、今やショート動画自体が「メインコンテンツ」へと昇格しました。AIおばあちゃんは、どこにも誘導しない、その場限りの驚きを提供することで、このニーズに完璧に応えたのです。
もう1つは、ブランディング手法だったFOOH(フェイク屋外広告)の変質です。本格的CGIとハンディ風の映像を掛け合わせて作られたインパクト重視のフェイク動画は企業の技術力や遊び心を示すための「ブランディング」でした。しかしAIの普及で誰でも作れるようになると、企業という文脈は消え失せ、ただただ奇妙で「シュール」なだけの動画が溢れかえりました。
その結果、「何のための動画か分からない」シュールなコンテンツが飽和状態に陥っています。AIのおばあちゃんが生肉を食う映像も、この流れの中にあります。そして当初は新鮮だったそのシュールさも、模倣が繰り返されることで、次第に「またこのパターンか」という既視感を生みつつあります。
結論として、この流行は「ひとつの導入の手法」から「メイン」へと変わったショート動画の成功例であると同時に、本来の目的を失い「シュールなだけ」のコンテンツが飽和していく現代の危うさをも示しているのではないでしょうか。
目まぐるしく流行が移り変わる今、視聴者の心はどこへ向かうのか。「もっと見応えのあるコンテンツを」と、かつてのように重厚な物語を求める時代が来る…?それとも、ショート動画のような手軽なエンターテイメントが、想像もつかない形へ進化を遂げる…?
確かなことは誰にも分かりません。しかし、作り手にとって、このカオスはむしろ創造の源泉とも言えます。