1
/
5

Japonをもっとフランスに売り込みたい!

私のフランスとの出会い

高校で、超絶美しいフランス人女性ALTデルフィン先生に釣られてフランス語を履修してから、僕は今までフランスに魅了され続けています(ちなみに、そのデルフィンは翌年すぐに転校。後任はスーツよれよれのケベック人のおじさまでした...)。

初めてフランスの地を踏んだのが大学の卒業旅行で、社会人になってからも縁があってパリなどに住みました。美しい街並み、ややこしいフランス語、オープンで親切なフランス人、水回りや施工の弱い住居、貧しい移民街、臭い地下鉄、、、清濁合わせて僕はフランスという国が大好きです。

マルセイユで日本雑貨店を経営して気づいたこと

そんな思いがあって、どうしてもフランスに戻りたかった私は2019年、南仏のマルセイユでフランス人の知り合いに出会い、起業することにしました。現地で会社を設立し、日本の雑貨店を始めたのです。お弁当箱、御箸、茶碗、陶器、お菓子、瓶ラムネ、こけし、折り紙などを販売していました。

1年間の起業で、痛烈に感じたのは、想像以上にJaponの人気、需要があるということでした。

アニメ、漫画が世界中で人気なのは、皆さんも少し想像のつくことかもしれませんが、フランス人の日本愛はそれにとどまりません。

書道、茶道、墨絵、盆栽など文化的な体験会を企画すれば、毎回定員いっぱい。しかもみんなリピーターになる。

日本語教室への問い合わせは毎日のようにかかってきました。

私たちのお店に来る人だけでなく、街で出会った人から「日本に旅行したよ」「日本に旅行したいんだよね」という話を何回聞かされたか。

他にも、隣町のエクスアンプロヴァンスでは、北斎や広重など浮世絵展が開催され大盛況。"Hokusai""Hiroshige"というフランス語訛りの浮世絵の巨匠の名前も何回聞いたことか。フランス各地で開かれる日本イベント。

「え、こんなの好きなの?」という発見だらけの日々でした。みんなそれぞれの視点で日本のことをとても評価していました。

私が特に楽しかったこと

私たちのお店にやってくるフランス人から品物に対してよく聞かれる質問がありました。それは「このモチーフはどういう意味なんですか?」という質問でした。私たちが扱う足袋靴下はそれぞれ、唐草、亀甲、千鳥などの日本の伝統的な柄や、だるま、鶴、獅子舞など日本の伝統的なキャラクターがモチーフになっていました。

そこで自分の国の文化のことを十分に答えられるように、全ての柄に関して調べてフランス語でまとめました。千鳥には厄除けと幸運を運んでくると言われている、たぬきは「他抜き」と言われ成功、繁栄をもたらすと言われている、などなど。それらを理解して靴下を買ってくださった時の喜びは何にも替えがたいものがありました。自分自身、日本の文化をもっと深く勉強できることも、ただ知的好奇心を満たす以上の喜びがありました。

小さな問題点と今後やりたいこと

現地でビジネスに従事する中で、気づいたことは、この日本人気と需要を一番享受しているのは日本人ではなく、中国人やベトナム人だなということでした。日本人経営の食事処や日本人が企画する日本イベントは少数派でした。それ自体を馬鹿にするつもりも否定するつもりも毛頭ありません。日本にある大多数のフランスパンやクロワッサンだって本場のものに比べたら、フランス人に笑われるでしょう。

このような状況なので、量的にも質的にもJaponデマンドにサプライが全く追いついていないと感じました。私自身、フランスの方々に、日本のことを説明するのはとてもエキサイティングでした。何より僕が母国のことを再発見しました。自分の国のことを自分の好きなフランス語で、フランス人に伝えてゆく...その作業に私は大きな喜びを見出しています。

そのためこれから、ライフワークとしてJaponをフランスに売り込んでいき、フランス人に楽しんでもらえたら最高だな。そんなことを考えております。