「良いLPとは何か?」仮説設定から構造分析までの記録
私はWebデザインの学習を始めるにあたり、「自分はWeb上の何を制作する職種なのか」という疑問を持ちました。
Webサイトには多様な種類が存在し、それぞれ目的や構造が異なります。その整理を行った上で、最も目的が明確で設計意図が読み取りやすいと感じたのがランディングページ(以下、LP)でした。
そこで本記事では、「良いLPとは何か?」という問いに対し、「誰の・何を・どのように解決するのかが明確なページである」という仮説を立て、実例分析を通して検証を行いました。
目次
- 1.課題設定:Web制作対象の整理
- 2.分析対象としてLPを選定した理由
- 3.仮説設定:「誰の・何を・どう解決するか」
- 4.分析設計と評価項目
- 5.仮説検証の結果
- 6.考察:良いLPの本質と今後の課題
- 7.参考書籍
1.課題設定:Web制作対象の整理
Webデザインの学習を始めるにあたり、そもそも自分は「Web上の何を制作するのか」が不明確だったので、まずはWebサイトの種類について調べてみました。
書籍『イラスト図解式 この一冊で全部わかるWeb制作と運用の基本』にて、
Webサイトの利用者ごとに分類されたページが分かりやすかったので、下記に引用させていただきます。
【コンシューマー向けのWebサイト】
・企業サイト(コーポレートサイト)
・商品サイト(プロモーションサイト)
・採用サイト・転職サイト
・ランディングページ
・ポータルサイト
・ニュースサイト
・ECサイト
・比較・レビューサイト
・検索サイト(飲食、物件など)
・会員サイト(クレジットカードなど)
・取引サイト(銀行など)
・電子マネー
・SNS
・ブログ
・動画サイト
・地図・カーナビサービス
・予約サイト
・Webマガジン
・クラウドサービス
・フリマサイト
・コミュニケーションサービス(チャットなど)
など
【企業内利用のWebサイト】
・スケジュール管理サイト
・情報共有サイト
・手続きサイト
・バックオフィス支援サービス
・営業支援・顧客管理サービス
・ファイル転送サービス
・クラウドサービス
・MAツール
・アクセス解析ツール
など
NRIネットコム株式会社 小出 修平,塚田 一政,時津 祐己,羽廣 憲世
『イラスト図解式 この一冊で全部わかるWeb制作と運用の基本』SBクリエイティブ株式会社,2021年,pp15
上記から、Webサイトと一口に言っても非常に多くの形式が存在するのだということがわかりました。また、それぞれのWebサイトには違った目的があり、その目的に合わせた構成やデザインがあるのだと感じました。
次に、Webサイトを作成する目的の観点からその違いを調べてみました。
LP専門Webデザイナーである片岡亮太さんの記事がとても分かりやすかったので、参考にさせていただきました。
記事内でも説明されている通り、「自社を認知させたい」「短期間で認知や集客に集中して取り組みたい」などのクライアントの要望に応じて、提案するWebサイトの種類が変わることが分かりました。
ここまで調べて、ようやくWebデザイナーとして関わる可能性のあるWebサイトの種類とその目的が何となく見えてきました。
そしてWebデザイン学習を進めるにあたり、Webサイトの種類ごとに学んだ方が理解を深めやすいと感じたため、まずはLPについて詳しく学ぶことにしました。
2.分析対象としてLPを選定した理由
そもそもLPとは、以下の様に定義されています。
ランディングページ(以下LPと省略)とは主にWeb広告やSNSなどのリンクから流入したユーザーが最初に着地するWebページのこと。
片岡亮太『みるみる成果が上がる!ランディングページ制作入門講座』株式会社ソーテック社,2024,pp.8
流入元の具体例として、以下のようなものが挙げられます。
- Web検索
(例:「化粧水 おすすめ」などと検索→表示されたタイトルリンクをクリック→LPへ遷移) - インターネット広告
(例:閲覧中のWebサイトに表示されたバナー広告をクリック→LPへ遷移) - SNS
(例:Instagramフィード投稿やストーリーズに表示された広告のリンクをクリック→LPへ遷移)
など
このようにして辿り着いたLPでの目的は「LPに流入してきたユーザーに、こちらの意図する行動をとってもらうこと」となります。
ここでの〝行動〟とは、商品やサービスを購入・予約する、公式LINEやメルマガに登録する、などです。
以上のように、LPは「誰に・何をして欲しいか」が明確であり、その目的を果たすための知識や技術が言語化されやすいと感じました。
その知識や技術はマーケティングやコピーライティング、デザインなど、非常に幅広く理解する必要がありますが、初学者としてここを理解することには大きな意味があると考えました。
3.仮説設定:「誰の・何を・どう解決するか」
LP分析を始める前に、「良いLPとは何か?」という問いに対して、自分なりの仮説を立てることにしました。
良いLPについて、片岡亮太さんは著書内で以下の様に定義されています。
【良いLPの3つのポイント】
ポイント①LP自体が販売者・企画者の代弁者となること
ポイント②LPと出会ったユーザーが理想の未来を手にすること
ポイント③LPを通じて人間味のある情熱や熱意を伝えること
片岡亮太『みるみる成果が上がる!ランディングページ制作入門講座』株式会社ソーテック社,2024,pp.34-36
また、株式会社 FREE WEB HOPE 代表取締役の相原祐樹さんは著書にて以下の様に説明されています。
Webマーケティングのテクニック部分や技術的な部分に触れてしまうと難しく感じることもありますが、常に考えることはシンプルに「誰の何をどうやって解決する商品だっけ?」これに尽きます。
相原祐樹『現役LPO会社社長から学ぶ コンバージョンを獲る ランディングページ』株式会社ソーテック社,2023,pp10
これらの文章を読み、「LPはただの広告物ではなく、販売者・企画者などの提供者や、サービス・商品を受け取るユーザーなどの問題を解決する手段なのだ」
そして、問題解決が目的である以上、その解決方法が明確である必要があり、これがLP制作をする上で重要なコンバージョン(以下、CV)なのだと感じました。
コンバージョン(conversion)とは、特定の目的を達成するためにユーザーが取る行動や変化のこと。
片岡亮太『みるみる成果が上がる!ランディングページ制作入門講座』株式会社ソーテック社,2024,pp.38
そこで、以下のような仮説を立てることにしました。
【仮説】
良いLPとは、
「誰の・何を・どのようにして解決するのかが明確なページ」である。
この仮説を元に、様々な業種のLP10ページを分析していきました。
4.分析設計と評価項目
まずはそれぞれのLPに対し、以下の項目で構造を分解していきました。
・ファーストビュー(FV)
キャッチコピー、サブコピー、メインビジュアル、CTA(文言・色・位置)
・問題提起、共感パート
読者の悩みの言語化、「あるある」表現の具体度
・解決策提示、ベネフィット提示
サービス利用後の変化、Before / After表現
・商品・サービス概要
何を提供しているかの明確さ、内容・プラン・価格帯の出し方
・信頼・安心材料
実績、レビュー、お客様の声
・CTA
緊急性・限定性の有無、背中を押す一言
LPをセクションごとに分解し、それぞれの役割を横に記載。
5.仮説検証の結果
まず、仮説の「どのようにして解決するのか」について分析してみました。
「何を売っているか」という観点でみると、それぞれのLPが提案しているものは「サービスと商品」の2種類に大きく分けられると感じました。
ここで言うサービスとは、ジムでのトレーニングやクリニックでの治療など、物体としての形を持たない物のイメージです。それに対し商品は、美容品や生活用品のような物体として形のある物です。
「何を売っているか」という観点で分類。
そして、売るものが変わればCVも変わってきます。
【サービスを売ることが目的の場合】
→「予約する・問い合わせる」などのCTAが使用され、サービスを提供する場(店舗や会場など)に来てもらえるような工夫が行われている。
【商品を売ることが目的の場合】
→「購入する」などのCTAが使用され、その場で購入を決断・実行するように工夫されている。
今回選んだLPではユーザーにして欲しい行動が分かりやすく、LPに訪れたターゲットの課題をどのようなサービスや商品を使って解決するのかが明確でした。
次に、仮説の「何を」について分析してみました。
「何を」は、ユーザーの解決したい悩みや課題が当てはまる部分です。
これはLP構成の中で、FVの下部に問題提起として配置されることが多い印象でした。
今回選んだLPから具体例を挙げると、
- 不足しがちなタンパク質を摂りたいが、朝食は適当になりがち。
- 普通の着圧ソックスを試したが、効果が得られない。
- 医師に診療して欲しいが、病院まで行けない。
などのように、ユーザーの抱える悩みを詳しく代弁するような事例がみられました。特に、類似の商品と比較検討されやすい生活用品などはこの傾向が強く、瞬時に相手の気を引くようなコピーライティングが重要であると感じました。
最後に、仮説の「誰の」について分析してみました。
今回選んだLPでは、使用者の性別や年齢層、悩みなどでピンポイントに「誰の」が設定されているLPもあれば、もう少し幅広いターゲティングをしているLPもありました。
「誰の」という点は、性別や年代などの属性だけでなく、LPに至るまでの経緯やマーケティング・ファネル内での立ち位置などについても検討していく必要があります。
例えば、何となくその商品が気になりバナーをタップしてLPに流入してきたユーザーと、最初からその商品を購入するつもりで自ら検索しLPに流入してきたユーザーでは、欲しい情報や購入へのハードルが全く違います。
ここを深く理解していくことが「誰の」という部分をより明確化させることに繋がり、結果的に「良いLP」を作成することに繋がると感じました。
6.考察:良いLPの本質と今後の課題
今回、良いLPとは「誰の・何を・どのようにして解決するのかが明確なページ」であると仮説を立て、実際に様々なLPの構造を分析してみました。
その結果、どのLPにもCVという目的を達成するための緻密な工夫がされており、想像以上に奥が深い世界なのだと痛感しました。
今回はあまり触れられなかったライティングやデザインに関しても、これらの目的を達成するための手段として、とても細かい部分へのこだわりを持つ必要があるのだと思います。
また、LPは「問題提起→解決策の提示→行動を促す」という一連の流れを設計するものだと理解しました。
これは、私が理学療法士として患者さんに説明をしていた時も同じで、「なぜ痛みが起きているのか」「どうすれば改善するのか」を順序立てて伝えることが重要でした。
解決する手段は変わっても、相手に行動を起こしてもらうためには、伝え方の設計が肝になると感じました。
次回は、今回の分析を踏まえ、自分なりにターゲット設定から行い、1ページのLPを設計してみたいと思います。