ジュニアヨット教室物語61
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「おお!これで無事に組み立てられたじゃないか!」
お父さんは、艤装を終えたミニホッパーの姿に感動していた。
「お母さんには、もっと勉強しなさいとか成績を良くしなさいと言われ続けているけど、ちゃんとヨット教室で習ったことをしっかり覚えられているじゃないか」
お父さんは、素直に自分の息子、洋ちゃんのことを褒めていた。
「本当ね、勉強もこれぐらいしっかり覚えてくれると良いんだけどね」
お母さんが、お父さんの言葉に付け加えていた。
「乗ってみるか」
お父さんに言われて、洋ちゃんは、お父さんと一緒にミニホッパーに乗り込んだ。
「ヒールしないように、身体をこうして横向きにして、風上側に乗り出すんだよ」
洋ちゃんは、ティラーを持ちながら、お父さんに乗り方を説明した。
「こうか」
「それで、このメインシートを持って引くと、セイルが風を受けて走り出すから」
初めは、洋ちゃんがティラーを握って、お父さんがメインシートを操作していた。
「なるほど、こんな感じで走るのか」
「お父さん、もう少しだけシートを緩めて」
洋ちゃんは、メインシートを持っているお父さんにお願いした。
「あんまり引きすぎると、そのままヒールがきつくなって横に沈、倒れてしまうからね」
前回、片桐先生に言われたように上手くできず、何度も沈してしまっていたことを思い出していた。
「沈してしまっても、1人ならば上手くセンターボードに乗り移って、湖に落ちて濡れずに済むんだけど、2人だと、どちらかが湖に落ちてしまって、全身ずぶ濡れになってしまうからね」
洋ちゃんは、お父さんに言った。
「そろそろ1回ヨットハーバーに戻ろうか」
湖をぐるっと一周してくると、お父さんが洋ちゃんに言った。
「もう戻るの?」
「今度は、お母さんも乗せて上げたいだろう」
お父さんに言われて、洋ちゃんはヨットハーバーのポンツーンに着岸した。
「ほら、今度はお母さんが乗ってきなよ」
お父さんがヨットから降りると、お母さんに言った。
「お母さんは別に良いわよ。なんかひっくり返りそうだし」
お母さんは、ヨットに乗るのを拒んでいた。
「大丈夫だよ、ひっくり返っても濡れたりしないから」
洋ちゃんは、そうお母さんに言うと、1人でミニホッパーをポンツーンから離岸して、2人が見ているすぐ目の前で、ミニホッパーをわざとヒールさせて沈させてみせた。
「あらあら・・」
沈はしたが、横に倒れたミニホッパーの上で洋ちゃんは上手に船を跨いでみせて、船底側に出ているセンターボードの上に乗っかって、自分の体重で船を起き上がらせると、完全に起き上がる前に、また船を跨いで、ヨットの上に全く濡れずに戻ってしまっていた。
「あら、上手に起こしたわね」
お父さんとお母さんは、息子のことを褒めていた。
「お子さん、ヨットが上手ですね」
「ええ、まあ、毎週末にいつも横浜のヨット教室に通っていますから」
敷地内を見回っていたヨットハーバーの職員に言われて、お父さんは答えた。
「ヨット教室で習っていたとしても、沈からあんな見事に濡れずに、起き上がれるのは大したものです」
「そうですか」
お父さんは、我が息子に惚れ惚れしていた。
それはそうだ、当然だ。ついこの間、片桐先生の前で上手く乗れずに沈ばかりしていて、さんざん練習して上手に起き上がれるようになったのだ。
洋ちゃんは、2人の会話を聞きながら、思っていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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