警察の現場では、情報共有や書類作成がFAX・電話・紙・庁内端末の回覧に依存し、後から確認したい内容や複数人で共有すべき情報まで電話中心になりがちでした。
その結果、伝達漏れや確認の手戻り、同じ内容を何度も入力する重複作業が起きやすく、現場の負担になっていると感じていました。
私自身、引き継ぎ事項を文書化して共有したり、よく使う書類のひな形を整理して再利用できるようにするなど、手の届く範囲で改善を試みてきました。
その中で、入力の再利用やAIによる作成補助、API連携を使えば、もっと根本から効率化できる余地があると考えるようになりました。
ただ、警察業務は機密情報を多く扱うため、個人で作ったアプリを業務に導入することはできないと判断しました。
この経験から、現場で使われるシステムには、機能だけでなく安全性・運用ルール・使いやすさ・組織への適合まで含めた設計が必要だと実感しました。
「使う側で工夫する」だけでは仕組みそのものは変えられない。
だからこそ、課題に合わせて安全に動くものを“作る側”に回りたいと考えるようになりました。
これがエンジニアを目指す理由です。
数ある分野の中でWeb開発を選んだのは、特別な配布手段がなくても多くの人にすぐ届けられ、個人でも企画から本番運用まで一貫して形にできるからです。
学習を続ける中で気づいたこと
当直のある不規則な勤務の合間に、朝5時起床や休日を充てて学習を続けました。
続けるうちに、当初の「業務を効率化したい」という動機とは別のものが、自分の中で大きくなっていきました。
自分の書いたコードが実際に動く形になり、これならユーザーの課題や悩みを解決できるという手応えを感じられたことです。
作ること自体の面白さが、いつの間にか現状の業務を上回っていました。
警察の仕事から得たものは大きく、人命救助の現場では人の命に直接関わる仕事の重さと手応えを経験してきました。
その12年をやり切った上で、次は自分の手でサービスを作り、人の課題を解決する側に立ちたい。そう考えています。
現場で見てきた「情報格差」
山岳遭難救助の現場で、救助の遅れにつながる要因のひとつが、位置情報の伝達でした。
スマートフォンの地図アプリや登山アプリを使いこなせる人は、自分の位置を正確に伝えられます。
一方で、操作に不慣れな高齢の登山者や、二つ折り携帯を使っている人は、現在地を伝えられないことがありました。
同じ山で遭難しても、使っている端末やサービスへの習熟度によって、救助までの時間に差が生まれる。
これを「情報格差」だと感じました。
技術やサービスは、使える人にとっては当たり前でも、届かない人には存在しないのと同じです。
現場で起きている問題の背景には、こうした構造的なボトルネックがある。それを見つけて仕組みで解くことが、開発でも同じように必要だと考えています。
なぜ「レシピアプリ」を作ったのか
警察の業務課題は、扱う情報の性質上、そのまま個人開発の題材にはできません。
そこで、自分自身が確実にユーザーとなり、公開して検証できる領域から題材を探しました。
身近な悩みを洗い出す中で見つけたのが、次の2点です。
・調理プロセス(献立・検索・買物・調理)が分断されていること
・冷蔵庫の残り物が使いきれないこと
料理は多くの人が日常的に行うことであり、課題を感じている人も多い領域です。
加えて市場調査の結果、海外には類似の「AIレシピ生成・管理アプリ」があるものの、国内には見当たりませんでした。
この3点を根拠に、AIによるレシピ生成から買い物リストの自動作成まで、一連の調理体験を一気通貫でつなぐアプリとして「Ai-meshi」を設計しました。
Ai-meshi(AIを活用したSNS型レシピアプリ)
Rails API・Next.js・AWS(ECS Fargate)の構成で、要件定義から本番公開・運用まで一人で担当。公開後も自分で使いながら改善を続けています。
サービスURL:https://aimeshi.com
GitHub:https://github.com/kou-pro/ai-meshi