大学院進学。それが、私が中学生の頃からずっと思い描いていた目標でした。
私はフィリピン国籍で、小学生の時に日本に来ました。これまで、「外国籍ルーツを持っていたら、まともな職には就けない」という言葉を、何度も投げかけられてきました。悔しさと同時に、どこかで「それなら学歴で勝負するしかない」と思うようになっていた自分がいました。高崎経済大学の経済学部国際学科で学びながら、「もっと専門性を深めて、誰にも文句を言わせない実績を作りたい」という思いから、大学院受験を決意しました。
しかし、受験の結果は不合格でした。
ショックだったのはもちろんですが、それ以上に自分を苦しめたのは、「なぜ大学院に行きたいのか」を、自分の言葉できちんと説明できなかったという事実でした。「学歴で見返したい」という反発心だけを頼りに突き進んでおり、目的意識が曖昧なまま準備を進めてしまっていたのです。
このまま次の進路も同じように決めてしまえば、また同じ結果を繰り返してしまう。そう感じ、私は1年間の休学を選びました。
休学期間中、私は通信制高校でティーチングアシスタントとして、ほぼフルタイムで生徒と向き合う日々を過ごしました。
担当していた生徒の中には、自習中についスマホやゲームに逃げてしまい、卒業や進路決定、資格合格という目標が遠のいてしまっている子が何人もいました。最初は「頑張ろう」と声をかけるだけでした。しかしそれでは何も変わりません。一人ひとりとじっくり向き合う中で見えてきたのは、彼らが抱えていたのは「やる気のなさ」ではなく、「合格までの道筋が見えないことへの恐怖心」という風に感じました。
そこで私は、面談を通して一人ひとりの状況や特性をヒアリングし、その生徒の能力に合わせた最適な学習計画を、生徒と一緒に組み立てていきました。迷う余地のないスモールステップから始め、生徒の実力に合わせて期日を設定しながら、段階的に難易度を上げていくプランを継続的に組み直していきました。志望理由書であれば、まず志望校の魅力を3つ書くことから。資格勉強であれば、1日10単語の報告から。そして、担当者が変わっても支援が途切れないよう、進捗を可視化する仕組みや、TA同士で情報を共有する会議も、自分から提案して作りました。
結果として、担当していた生徒全員が、卒業・進路決定・資格合格を達成することができました。
この経験を通して気づいたのは、自分は「学歴で誰かを見返す」ことよりも、目の前にある複雑な状況を整理し、人が動ける仕組みに落とし込むことに、圧倒的にやりがいを感じるタイプだということでした。誰かに「まともな職に就けない」と言われることへの反発ではなく、自分自身が本当にやりがいを感じられることを軸に選びたいと思えたのです。
だから私は、目標を変えました。
「学歴で見返す」ことから、「現場の課題を仕組み化し、再現性のある形で成果につなげる力を、より大きな規模で磨いていく」ことへ。
今、課題解決に強みを発揮できる環境、そしてより成長できる環境を軸に就職活動を進めているのは、この1年間の休学で見つけた、自分にとって一番"やりがい"を感じられる方向だからです。今までの経験で培った課題解決力を、日々磨き続けています。
失敗から始まった休学でしたが、今振り返れば、あの1年がなければ、今の自分の軸は見つけられなかったと思っています。