カラーコーンの見方が変わる展示
普段歩いていてガードレールやカラーコーンなど目で認識はしているがなんとも思わない。心では見ていないものが街には溢れているとは思いませんか?
悪ふざけでカラーコーンを買って燃やしてみたことがきっかけ
友人に誕生日プレゼントでカラーコーンをもらいました。それを何か作品として使えないか考えていっそのこと燃やしてしまおうと思いつきました。
燃やしてみると中々かっこいいカラーコーンができ、この時はここで十分満足していました。
その後、街を歩いていると、今まで目に入っていたはずのカラーコーンに自然と目が向くようになりました。以前はただの障害物としてスルーしていたはずのそれに、少し面白さや、それぞれの“個性”のようなものを感じるようになったのです。
不思議だったのは、そんな些細な変化を通して、自分がそのカラーコーンのある“街そのもの”にも愛着を持ち始めたことです。マンホールやガードレールなど、普段は無意識に視界に入っているだけのものにも少しずつ気持ちが向くようになり、それが積み重なると、街全体に対する感情が変わっていくのではないかと考えるようになりました。
新しい商業施設やスタジアムの建設といった開発とは異なり、この視点の変化を共有することこそが、人が自分の街に本質的な愛着を持つための、より根本的なアプローチなのではないかと感じています。
実際に展示を開いてみる
中野駅周辺商店街にあるレンタルスペースを学生たちで折半して借り、それぞれ建築模型、や制作家具、制作衣服など各々自分が制作してきた課題を展示しようとしている中、1人だけカラーコーンを展示しようとしているので少し浮いている感がありました。
展示したカラーコーンは全部で五つ。
足だけのコーン、どぐろコーン、浮コーン、普通のカラーコーン、窓突き刺さりコーンの五つです。窓突き刺さりコーンに関しては展示会場の出入り口に設置させていただいたので上の写真にはありません。あとで紹介します。
カラーコーンに対して愛着を持ったのはなぜか?そこにまず注目して出た仮説が
個性的なモノを見た時にそれ以降そのモノに対して興味を持つのでは?
です。これを仮説として展示で検証してみることにしました。まず個性的なカラーコーンを設置、先ほど紹介したカラーコーン達です。ここでなんの加工もされてないカラーコーンを設置しているのは個性的なカラーコーンと一緒に普通のカラーコーンにも個性を見出して欲しいと感じたためです。
照明のレイアウトも結構苦戦していました。グループ展示なのでこのカラーコーンの周りには他の人の作品があったので他の作品を邪魔せず、かつお客さんの影がカラーコーンにうつらないような、ノイズなくカラーコーンを見てくれるような照明の配置を展示会前日何時間も試行錯誤をかさねていました。
出入り口に設置したコーンの意図
展示会場が商店街の一部だったため人はたくさん通っていましたが他の店に紛れているような場所だったため通行人の方がスルーしてしまうことが多くあるように感じました。そこで個性的なカラーコーンにこの展示のシンボル的な役割を担えないかと考え”窓ブッ刺さりコーン”を設置しました。
かなりインパクトがでかいありえない見た目のおかげで通行人がわかりやすく二度見し展示会場に入っていく様子を見ることができました。
実際は本当にブッ刺さっているわけではなくカラーコーンを二つに切断し、上部と下部をそれぞれ内側外側からガラスにくっつけているだけですが、、このカラーコーンに関しては前日思いつきで製作したモノでした。
展示を行ってみて
どうやって作ったの。。?どうなってるかわからない。。 非現実的な見慣れないカラーコーンはどんな構造なのか じっくり観察される来場者がたくさんいました。 ”カラーコーンを見るのが楽しみになりそう”といった言葉も聞くことができました。全体を通して展示したカラーコーンが来場者の頭に記録されていることを実感するような言葉や実際に見方が変わっているように感じた言葉をいただけたので当初の目的であるスルーしていたものに興味を持つ視点を養うことに成功したのではないかと思います。
今後も認識してるけれど見えていないような価値を表に出していきたいと考えています。