こんにちは!城間勝行です。
昨日の朝、駅の階段を前にしたとき、ふと思い立っていつもとは逆の左足から一段目を踏み出してみました。エンジニアという職種に就いている私は、無意識のうちにいかに無駄を省き、最適化された最短ルートで目的地に到達するかを身体に叩き込んでいます。階段を登るという日常の何気ない動作一つとっても、筋肉の動きや重心の移動はプログラムされたコードのように正確に実行されてきました。しかし、あえてその身体の慣習を裏切り、慣れない左足から重心を預けてみた瞬間、私の脳内には心地よいバグのような衝撃が走りました。視界がわずかに揺れ、いつもの階段が全く見知らぬ険しい斜面のように感じられたのです。
この小さな違和感は、私に仕事の本当の進め方を教えてくれました。私たちは日々、効率という名の自動運転に身を任せています。過去の成功事例や、使い古されたテンプレート、そして周囲が良しとする常識。それらのエスカレーターに乗っていれば、確かに大きな失敗をすることなく、平均的な成果を出し続けることができるでしょう。でも、その滑らかな自動化の中に安住している限り、私たちは自分自身の足で地面を蹴り、新しい景色を掴み取るための野生の感覚を失ってしまいます。あえて利き足ではない方から踏み出すという非効率な一歩が、眠っていた私の知性を激しく揺さぶり、昨日までの自分が盲目的に信じていた正解を疑う勇気を与えてくれました。
スタートアップの現場で私たちが求めているのは、予定調和な回答ではありません。誰もが正しいと信じて疑わない道から一歩外れ、あえて不自由で、たどたどしい一歩を踏み出すことからしか、真のイノベーションは生まれないのだと確信しました。一段登るごとに感じる左足の重みは、私が今、自分の意思でこの場所を歩いているという強烈な実感を伴っていました。システム開発も同じです。あえて使い慣れたツールを捨て、あえて手間のかかる手法で課題と向き合う。その不器用なプロセスの中にこそ、誰の真似でもない、あなただけの独自のロジックが宿るのです。
私はこれからも、最新の技術を駆使して世界を便利にしながらも、自分の中にこうしたあえて「逆」を選ぶ遊び心を持ち続けたいと考えています。スマートに解決することだけがプロの仕事ではありません。一段飛ばしで効率よく登ることよりも、一段ずつの不確かさを楽しみ、自分の限界を物理的に確かめながら進む。そんな泥臭い探究心を持った仲間たちと、まだ誰も登ったことのない未知の高みを目指していきたい。完璧に整備された階段を疑い、自分の足裏で新しいリズムを刻み始めたとき、世界はもっと多層的で、驚きに満ちた表情を見せてくれるはずです。
最上階に辿り着いたとき、私の呼吸は少しだけ乱れていました。でも、その胸の高鳴りは、単なる運動不足によるものではなく、未知の領域へ踏み出した者だけが味わえる静かな興奮でした。正解ばかりが用意されたこの世界で、あえて不自由な一歩を楽しめる人間でありたい。そんな小さな決意を胸に、私は今日という新しい一日への扉を、また左足から踏み出して開けていこうと思います。