完成予想図を捨てたとき、最高の設計図が動き出す
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こんにちは!城間勝行です。
真っ白なパズルのピースを、ただひたすらに机に並べているような感覚に陥ることがあります。多くの人が、完成した絵を目指してピースをはめ込んでいく中で、私はあえてその完成予想図を裏返して眺めてみることにしています。システムを作るという行為は、あらかじめ決められたゴールに向かって最短距離で走ることだと思われがちですが、実はその途中で見つけた脇道や、予期せぬ行き止まりにこそ、本質的な価値が隠されているのではないかと最近強く感じるようになりました。
新卒で大きな組織に飛び込み、数千人が使うような巨大な仕組みの歯車の一つとして働いていた頃、私は完璧な設計図こそが正義だと信じて疑いませんでした。一文字のミスも許されない、厳格に管理された世界。それはそれで一つの美しさがありましたが、独立してスタートアップの荒波に身を投じたとき、その常識は心地よく崩れ去りました。まだ誰も正解を知らない、霧の中を手探りで進むような開発現場。そこでは、昨日まで正しいと思っていた答えが、今日にはもう古びた遺物になっていることさえ珍しくありません。
私たちは、ついつい目に見える成果や数字にばかり心を奪われてしまいます。でも、本当に大切にすべきなのは、その数字の裏側に流れている名もなき情熱や、不器用な試行錯誤の積み重ねです。要件が固まっていないから動けない、という言葉をよく耳にしますが、私はむしろ、固まっていないからこそ自由になれるのだと確信しています。仮説を立てては壊し、また新しい種を蒔く。その繰り返しの果てに、ようやく辿り着く手触りのある確信。それこそが、私たちが本当に作りたかった「価値」の正体なのではないでしょうか。
技術はあくまで手段であり、主役ではありません。どんなに高度な仕組みを導入したとしても、そこに使う人の体温が感じられなければ、それはただの冷たい情報の塊に過ぎません。私は、誠実に、丁寧に、そして圧倒的なスピード感を持って、その情報の塊に命を吹き込んでいきたいと考えています。ビジネスの視点を持ちつつも、子供が秘密基地を作るような純粋なワクワクを忘れない。そんな一見すると矛盾するようなバランス感覚を持ち続けることが、これからの時代を生き抜くエンジニアにとって最も必要な資質なのかもしれません。
正解のない問いに立ち向かうのは、時に孤独で苦しい作業です。それでも、その先にある誰かの笑顔や、社会がほんの少しだけ便利になる瞬間を想像するだけで、また新しいキーボードを叩く力が湧いてきます。完成を急がず、変化を楽しみ、不完全な自分を認めながら、今日も最高に面白い未完成の物語を書き続けていきます。