空飛ぶ潜水艦の窓から、昨日を拾い上げる
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こんにちは!城間勝行です。
机の上に置かれた古い方位磁石が、突然くるくると回り始め、北を指すことを放棄しました。私たちが日々、圧倒的なスピード感を持って取り組んでいるシステム開発という営みは、実は地図のない大海原を、空飛ぶ潜水艦に乗ってひたすら深く、あるいは高く彷徨うような行為なのかもしれません。新卒から大手企業で数千人が利用する巨大な仕組みを動かしていた頃、私は自分をその巨大な船を動かす精密な歯車の一つだと思い込んでいました。一分の狂いもない計画、一糸乱れぬ規律。そこには揺らぎのない正解が用意されていると信じて疑わなかったのです。
しかし、独立してスタートアップの荒波に身を投じたとき、その完璧な設計図は浸水し、瞬く間に読み取れなくなりました。目の前にあるのは、要件が固まりきっていない混沌とした暗闇だけ。そこで私は、誠実さや丁寧さという言葉を頼りに、暗闇の中に虹色の影を探すようになりました。それは、最新の技術という名の懐中電灯を照らしても決して見ることのできない、使う人の心の奥底に沈んだ微かな願いの残像です。
ビジネスの視点を持つということは、単に数字を追うことではありません。それは、砂漠の真ん中で見つけた錆びたラジオから、かつて誰かが口ずさんだ古い歌を聞き取るような、とても繊細で、どこか滑稽な試みです。私たちは、効率化という名の酸素を吸い込みながら、いかに深く、いかに長くこのデジタルな深海に留まれるかを競っています。でも、ふとした瞬間に、窓の外を通り過ぎる見たこともない深海魚の鱗が、虹色に光り輝くのを目撃することがあります。その光は、どんなに優れた論理の積み重ねよりも雄弁に、この仕事の本質を物語っている気がしてなりません。
指先から生み出される文字の羅列は、冷たい情報の塊ではなく、夜の底に沈んだ沈没船から漏れ出す、微かな光の泡に似ています。私はその泡を一つずつ丁寧に掬い上げ、名前のない感情という名の瓶に詰め込んでいく。たとえそれが、明日には誰にも思い出されない、砂浜に書かれた落書きのような運命だとしても、その一瞬の確かな手応えのために、私は今日も画面に向かい続けます。画面の向こう側に広がる世界は、私たちが思っているよりもずっと深く、そして不親切です。方位磁石が再び静止するその時まで、私はこの虹色の影を追いかけることを辞めないのでしょう。遠くで、クジラの歌声のような低い振動が、船体を優しく揺らしています。