**七層の魂──
**七層の魂──
時間・記憶・痛み・祈り・喪失・赦し・再生**
**第一層:時間
──まだ形にも声にもならない、最初の震え**
始まりは、
音ではなく、
光でもなく、
ただ、わずかに震える時間。
触れるとほどけてしまうような気配が、
世界の底で静かに息をしている。
未来も過去もない。
ここには、
“生き始めるための一秒”だけが在る。
**第二層:記憶
──何も書かれていない白ではなく、思い出を受け止める白**
透明ではない白。
そこには、
うまく言えなかった言葉の埃や、
どこへ戻ればよいのか分からなかった日の体温が
薄く沈んでいる。
記憶は鮮明ではない。
しかし、
消えてはいなかった。
この白は、
思い出を拒まない場所。
**第三層:痛み
──形より先に立ち上がる、影の輪郭**
影のほうが先に生まれる日がある。
光の居場所を探すより、
痛みの輪郭が先に立ち上がってしまう日。
沈黙の奥に埋もれた傷は、
色になる前に
まず“影”として現れる。
それがひとの骨格を決める。
**第四層:祈り
──痛みの上に置かれる、未来の気配**
祈りは大声ではなく、
声になる前の温度。
悲しみを消すことはできなくても、
その上に
やわらかな風の気配を置くことならできる。
この層は、
痛みに触れた指先が
そっと未来の方向へ向く瞬間。
祈りとは、
願いではなく、
“向き”のことだ。
**第五層:喪失
──色を重ねても消えないもの**
どれほど鮮やかな色を塗っても、
その奥で消えずに残る何かがある。
思い出したくない日々。
手放したはずの名前。
戻らないものの輪郭。
それらは
厚く塗り込んでも、
完全には覆い隠せない。
喪失とは、
残るということ。
**第六層:赦し
──輪郭を柔らかくする、静かな手つき**
赦すとは忘れることではない。
痛みの輪郭をぼかし、
喪失の形を
やわらかく撫でることだ。
消し去るのではなく、
抱きしめ直す。
たとえ完全に癒えなくても、
触れられる場所になる。
赦しは、
強さではなく静けさ。
決断ではなく呼吸。
**第七層:再生
──深い光が、底からゆっくり戻ってくる**
重ねたすべての層の奥で、
静かに光が動き始める。
強い光ではない。
眩しさもない。
ただ、
“どこか遠くで確かに燃えている光”が
時間の深層から立ち上がる。
それは
過去を否定しない光。
痛みを置き去りにしない光。
赦しの上に、
そっと灯る光。
それが、
ひとの再生だ。
重なりの底で、魂はひとつの光になる
時間が土台になり、
記憶が沈み、
痛みが骨格をつくり、
祈りが風を呼び、
喪失が影を残し、
赦しが輪郭をやわらげ、
そして再生が光となる。
この七層は、
誰の内側にも静かに存在する。
変わるのではない。
忘れるのでもない。
ただ、重なって、深くなり、
光へと育っていく。
ひとは、そうやって
何度でも生まれ直す。